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二重課税の宿泊税を今すぐ廃止しろ

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こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。

今日は前回の続きで

「宿泊税」がいかに倫理も論理もない矛盾の塊の酷い税金か

というご説明しようと思います。

ちょっと長いので先に要点だけまとめておきます。

●宿泊税は、宿泊行為に「消費税」と「宿泊税」を課税する二重課税
●自治体はそれを否定しているが、過去に政府は二重課税だと認めている
●また自治体は宿泊税は税金に税金を掛ける「Tax on Tax」ではないから二重課税に当たらないともしている
●その理屈なら地方揮発油税、地方タバコ税は二重課税と認めた事になる
●どう屁理屈を捏ねようと宿泊税は「課税権の乱用」でしかない

ではまずおさらいしますと、この「宿泊税」は「ホテルや旅館への宿泊料金に課税される税金」です。

現在は東京都・大阪府・福岡県及び京都府京都市・石川県金沢市・北海道倶知安町・福岡県福岡市・福岡県北九州市・長崎県長崎市などの地方自治体で導入されています。

また他にも岐阜県や静岡県熱海市、北海道札幌市、北海道ニセコ町、沖縄県北谷町、沖縄県石垣市、沖縄県宮古島市、沖縄県恩納村、沖縄県本部町、島根県松江市など多くの自治体がその導入の検討を行っていて、導入自治体は今後もますます増えていくでしょう。

宿泊税は二重課税

こうして沢山の地方自治体で導入、また導入に向けての議論をしているわけですが、どこの自治体も非常に重要な問題から目を背けています。

その問題とは「二重課税」です。

私達はホテルや旅館に宿泊した際の宿泊料金に対し消費税を支払っています。

つまり「宿泊」という行為に対して「消費税」と「宿泊税」の異なる二つが課税されており、これは明らかな「二重課税」に当たります。

(入湯税の話もありますが長くなるので今回はちょっと置いておきます)

しかし国や地方自治体はそれを認めていません。

その理屈はこうです。

二重課税とは一つの課税要因に対して、同種の租税が重複して課税されることを指します。
消費税は国税であり、宿泊税は地方税であるため同種の税ではありません。

長崎市宿泊税に係るQ&A
長崎市宿泊税に係るQ&A

このように「消費税」と「宿泊税」は「国税」と「地方税」という違いがあるから二重課税ではないというのです。

政府は二重課税と認めていた

しかしこれは明らかに屁理屈であり暴論です。

なぜならかつての日本政府が

「国税」と「地方税」であっても二重課税に当たる

と認めてきたからです。

この国には過去に宿泊料金を課税対象とした

「料理飲食税(後に特別地方消費税に名称変更)」

という税金が存在していました。

もちろんこれも当時から「こんなもの消費税との二重課税だ」と指摘されていた悪税だったわけです。

最終的には消費税導入から12年も経ってようやく廃止されるのですが、その廃止が議論されていた平成9年当時の国会でこのような質疑が行われています。

横尾議員
私がまず問題にしたいのは、この消費税のほかに取られているところの3%の税金のことであります。
この特別地方消費税というのは、一人一回当たり7500円を超える飲食、また一人一回食事込みで15000円を超える宿泊に対して、消費税に加えてさらに3%の税金をかけるということであります。
これは本来、普通税としては二重に課税をしている、消費税で十分取っているはずのところをさらに課税をするという意味で、これまで8年の間、消費税が導入されてからずっと二重課税の批判をされ、強くその改正を求められてきたところであります。

第140回国会 参議院予算委員会 平成9年3月18日

日本政府の答弁
特別地方消費税というのを逆に取られていること自身をほとんどの方は知らないと思いますけれども、料理飲食税というのが昔あったと言うと思い出すと思います。
昔は10%いただいておりました。
これらは俗に言う間接税でございます、サービスに伴う間接税。
そして、平成元年に消費税を導入するときに、二重課税ということでこういうものは随分廃止されましたが、

10%ということで地方公共団体にとりましては大変大きな税目でございましたので、これをいきなり廃止されたのでは地方財政に穴があく、

こういうことで3%だけは残してくれないかということで、当時の自由民主党の中で、そして政府で決めてそうなったわけでございます。

第140回国会 参議院予算委員会 平成9年3月18日

このように当時の日本政府は、「料理飲食税(特別地方消費税)」が消費税との二重課税であることを否定していません。

二重課税だけど地方財政に穴が開くから税率を減らして継続させていた

と答弁しているのです。

少し話はズレますが、その廃止に関しても実はただ単に廃止したのではありません。

消費税は3%の時は全て国税でしたが、5%増税の際にそのうちの1%を新たに「地方消費税(1%)」として創設し、「料理飲食税(特別地方消費税)」はそれに付け変えたのです。

つまり

飲食や宿泊に課税していた料理飲食税(特別地方消費税)の3%を廃止する代わりに、全ての商品やサービスにもれなく1%の地方消費税が掛かるようにした

という詐欺のような内容なのが「料理飲食税(特別地方消費税)の廃止」なのです。

ちなみに実際に現在の消費税も、10%のうち2.2%は地方消費税です。

今でも姿を隠して、そして大増税されて「料理飲食税(特別地方消費税)」は存在しているというわけです。

話を戻します。

前述したように、この「料理飲食税(特別地方消費税)」について

日本政府は消費税と二重課税であることを否定していません。

そしてその「料理飲食税(特別地方消費税)」は、特別地方消費税という名前の通り「地方税」です。

地方税だからこそ、昭和63年に料理飲食税から特別地方消費税へ名称変更する際も「地方税法の一部を改正する法律」を改正しています。

なので現在の「宿泊税」が地方税であっても二重課税に当たることは明白であり、当時の答弁と廃止の経緯を考えると

「宿泊税は地方税だから二重課税に当たらない」は国会答弁の軽視であり愚弄

でしかありません。

「運転税」や「食事税」「トイレ税」も可能に!?

またなかには

「消費税は宿泊というサービスに対する課税、宿泊税は宿泊行為に対する課税。それぞれ課税原因が異なるため二重課税ではない」

と言っている自治体もあるようですが、よくもまあこんな恐ろしい話が出来たものだと呆れる以外ありません。

この理屈が通るなら「運転税」や「食事税」「トイレ税」となんでも無限に課税できるからです。

例えばレンタカーには、車を貸しだすサービスとして消費税、そして運転する行為には「運転税」が課税出来るようになります。

外食への消費税は料理の提供に対する課税となり、それを食べる行為には「食事税」、店のトイレを使うなら「トイレ税」となんでもありに出来るのです。

しかしこんな屁理屈でしか説明できないということは、逆に宿泊税は二重課税だと言っている様なものでしょう。

ガソリン税もタバコ税も二重課税

まだこれだけではありません。

二重課税に対しては

もっととんでもないことを自治体は言っています。

こちらをご覧ください。

また、宿泊税の課税対象は宿泊料金を伴うものですが、消費税、地方消費税は宿泊料金に含まないため、二重課税とはなりません。
また、宿泊税自体も宿泊施設が受け取る宿泊料金ではありませんので、不課税取引に該当し消費税はかかりません。

宿泊者から徴収する金額 = 宿泊料金 + 宿泊税

長崎市宿泊税に係るQ&A
長崎市宿泊税に係るQ&A

これも自治体が宿泊税が二重課税に当たらない理由として有権者に説明している内容です。

役所特有のわかりにくい日本語ですが、簡単に説明すると

宿泊税は「宿泊料金」を対象に課税する税金ですが、その「宿泊料金」の定義は「宿泊料金のみ」であってそこに消費税、地方消費税は含みません。

という意味です。

つまり

宿泊税と消費税は別計算なので、税金に税金を掛ける「二重課税」にはなっていない

と言っているわけですね。

確かに説明のとおり宿泊税には消費税はかかりません。

しかしこれは逆に言えば、

もし仮に宿泊税に消費税を掛けてしまえば「Tax on Tax」となり二重課税になる

と自治体が認めている事になります。

ちょっと待ってください。

身近にそういう税金がありませんか?

例えば本体価格に揮発油税や地方揮発油税を加えた金額に消費税を掛けるガソリンがそれにあたります。

また道府県たばこ税、市町村たばこ税として自治体も税収を財布に入れてるタバコも「Tax on Tax」です。

「宿泊税はtax on Taxではないから二重課税に当たらない」とするなら、揮発油税とタバコ税はアウトです。

今すぐ課税を停止しましょう。

ちなみに地方税で言えば不動産取得税も消費税と二重課税です。

これについても日本政府は「不動産を買う人はお金持ちだから」という、政府が金持ちと認定したら何重でも課税できるという恐ろしい屁理屈を捏ねてはいますが、二重課税ではないという合理的かつ論理的な答弁はありません。

ですのでこれも今すぐ止めましょう。

宿泊税は課税権の乱用

といったように、宿泊税はめちゃくちゃです。

東京都が宿泊税の増税を画策しているようですがそれ以前の問題で、かつての「料理飲食税(特別地方消費税)」のように廃止以外はあり得ません。

それなのにこんな倫理も論理も何もない矛盾の塊のような税金が今日も課税され、それだけでなく他の自治体もこぞって導入しようとしているのが現実なのです。

この問題は、宿泊税への賛否ではありません。

有権者への説明の矛盾点の指摘です。

真面目な話これらの点に対し、過去の国会答弁も踏まえながら論理的に矛盾なく有権者に説明できないのであれば、現在行われていることは

「課税権の乱用」

です。

これは税金が高いとか嫌だとかのそんなレベルの話ではありません。

確かに地方自治体には国税とは別に独自で税金を制定し課税することが認められています。

これを「課税自主権」といいます。

「課税自主権」があるから、各自治体で「宿泊税」が決められるわけですが、その権利を主張するなら「課税権の乱用」は即刻止めるべきです。

「課税自主権」とは「なんでもかんでも課税てし国民の財産を奪っても良い権利」でないことは説明するまでもないはずです。

これらの件に対して、地方議員でも国会議員でも構いませんのでぜひ反論をしてください。

論点は「この記事で指摘した宿泊税の矛盾点への反論」です。

財源がないとか海外ではどうとかそんな話では説明になりません。

それが無いようなら有権者がやるべきことは、こんなこともわからない地方議員や国会議員を片っ端から落選させ、駆逐していくことだと思います。

では今日の記事はここまで。

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