ブラジルでお肉が非課税に。でも付加価値税率が世界最高になる可能性…という話
こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。
今日はこちらのポストから。
こちらはブラジル発のニュースで
お肉、チーズ、塩などが国の基本食品にカテゴリされたことで付加価値税がゼロになる
という内容です。
ブラジルでは7月に税制の簡素化を目的とした税制改正の議論が行われていました。
主な内容は複数あった税金を付加価値税に一本化することなどですが、その際に
「基本食品」に指定された食料品は「非課税」となる
という決定がされたのが冒頭のポストになります。
とはいえこのニュースは、決して手放しで喜べる内容ではありません。
というのもこの付加価値税への統合は、2026年から2033年にかけて段階的に移行する予定なのですが、その税率は26.5%という高税率になると言われているからです。
そのうえ当初の税制改正案では「軽減税率の適用」が予定されていた牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類が「非課税」となったために
その分を補うために付加価値税率を27.1%にする必要がある
と算定されています。
この数字は、現在27%であるハンガリーを抜いて
ブラジルが世界一付加価値税の高い国になる
ことを意味するものです。
この「世界一高い税率」というワードは世論の不満を煽る格好の材料になることでしょう。
政府もそれをわかっているので、早速「税のバランス」という詭弁を持ち出し
お酒や砂糖、タバコやギャンブルをターゲットにした増税
を画策して付加価値税率を少しでも抑えようとしているようです。
色々探したのですが、改革前と今回の改革後の税の国民負担率を示す記事が見当たらないためになんとも言えませんが、増税を許す雰囲気がある以上、政府は思い切った歳出削減に取り組むことは無いでしょう。
「政府は予算を減らせない」という為政者に都合の良いペテンを前提に「誰から税金を取るか」を議論している限り、税金は反発の少ないところから取られていくだけです。
そのことはブラジル政府が「大きい反発が予想される世界最高の付加価値税率」を嫌って「賛同を得られやすい酒やギャンブルへの課税」を選んでいることにも顕著に表れています。
そう考えると「世界最高の税率」はもちろん、日本の「増税メガネ」もそうですが、
増税に反対するにはやはり万人受けする「キャッチーなフレーズ」が大切
であることを再認識させられますね。
どんな言葉がバズるかは誰にもわかりませんが、日頃のSNSでの減税運動でもそれを意識することは決して無駄ではないと言えるでしょう。
さて今回のブラジルの「肉の非課税化」ですが、それが土壇場でねじ込まれたのも「業界団体の圧力」があったからこそです。
いつも言うように
政治は数と圧力
です。
ということで最後に、その「圧力」を示す記事をご紹介しておきましょう。
圧力の末、政府は食肉の免税を承認した
ブラジル政府は税制改正案を承認したが、土壇場になって「肉」を非課税リストに含めた。
議会は今週、肉やその他の動物性たんぱく質を非課税にするという野党案を承認し、賛成336票、反対142票で税制改革法案を承認した。
また同法案では肉に加えて、チーズと塩も課税から免除される。
肉の非課税化は財務省が反対していたが、ルーラ大統領も賛成に回り、最終的に業界の圧力に屈した形で決定となった。
承認後、与党・労働者党のロペス議員は、肉の非課税化について「これは社会全体からの要求である」とし
「ルーラ大統領も言ったように、ここにいる全員がブラジル国民のタンパク質摂取の邪魔をしてはならないと理解している」
とコメントした。
当初の案では、肉は付加価値税率が他より低く設定される予定だった。
しかしルーラ大統領自身が業界団体の要請を受け入れるよう政府側に指示したと言われている。
その後に議員たちは、ワーキング・グループと国会議員団を含む27,000時間以上に及ぶ会議と、終日にわたる激しい交渉の末、同法案を承認した。
ということで、今日はここまで。
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