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NZの牛のげっぷ税撤回から見える「日本の政治に足らないもの」

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こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。

今日はこちらのポストから。

NZ、「家畜げっぷ税」取りやめ=農家反発と政権交代で
ニュージーランド(NZ)政府はこのほど、温室効果ガスの発生源である家畜のげっぷや尿に対する世界初の課税計画を取りやめることを決めた。

2022年に当時のアーダーン労働党政権が排出削減策の一環として25年からの実施を決めていたが、飼育する農家は経営に打撃が及ぶと反発。昨年11月に発足した保守連立のラクソン政権が畜産業保護の観点から方針転換した

しかし、農家や畜産団体は「事業継続が困難になる」と強く反対。「畜産業が衰退すれば、草木の茂る農地が減って温室ガス吸収量が低下し、逆効果になる」と訴えていた。昨年の総選挙で課税見直しを公約した国民党などが政権交代を果たし、実行に移した。

減税新聞でも過去にちょろっと取り上げたニュージーランドの「牛のげっぷ税」がこのほど撤回されたというニュースですが、

この話、ただ単に「げっぷ税が無くなって良かったね」で終わらせるには惜しい話ですので、もう少し詳しく説明していきましょう。

冒頭のニュースを補足しますと、NZでは2025年より「CO2排出量価格設定制度」の導入が計画されています。

「CO2排出量価格設定制度」とは皆さんも時々耳にするであろうカーボンプライシングのことで、企業などに対して排出するCO2の量に応じて課税するといういわゆる「CO2への罰則的制度」です。

そんな「CO2排出量価格設定制度」の導入がNZの前政権時に決定されるのですが、そこには農業、畜産業などの一次産業を対象としたプログラムもありました。

これがいわゆる「げっぷ税」です。

これが開始されれば、畜産農家は土地の面積、家畜の数、総生産量、肥料の使用量に応じて課税されることになります。

当時の政府は「気候変動に配慮した製品は付加価値が生まれ、より高く多く売れるから畜産農家はそのコストを十分回収できる」という言い分でしたが、そんな暴論に納得できるはずもなく畜産農家は「トラクターデモ」などで強い反発を行っていました。

こうした「業界団体の数と圧力」は、当時は支持率が下落していた労働党政権から「げっぷ税の導入の半年延期」という譲歩案を引き出しますが、当然これでは話にはなりません。

一方、6年ぶりの政権交代を狙う当時の最大野党である国民党は

「げっぷ税の撤回」

を公約に掲げてわかりやすい争点を作り、業界団体の支持を獲得していきました。

そして昨年秋の総選挙において国民党は第一党に返り咲き、保守連立のラクソン政権の誕生となっていくわけです。

つまり今回の「げっぷ税の撤回」は選挙公約の履行であり、具体的には

2025年から開始される排出量価格設定制度から農業、畜産、肥料会社などを除外した

という内容となります。

ちなみに現政権は「牛のげっぷ」について、生産量や輸出量を減らすことなく技術的に排出量を削減するとして、排出削減技術の商業化事業への4億ニュージーランドドル(400億円)の投資や、ニュージーランド農業温室効果ガス研究センターの予算を5050万ニュージーランドドル(50億円)に増額するなどの業界へのバラマキもきっちりやっています。

やはり政治は「数と圧力」ですね。

逆に脱炭素対策予算が欲しい「環境左派」は当然これに猛反発していて、今回の決定に対し「政府が自然に対して全面戦争を仕掛けている」と怒り狂っている様子です。

野党に転落した労働党はこうした声を拾い上げ、政権返り咲きを狙っていくことでしょう。

さて、げっぷ税の賛否に関わらず、NZにはこうした与党と野党による政策対立があり、「増税か撤回か」が争点化されることによって選挙での選択肢が生まれる環境があります。

一方で日本にはこれが一切ありません。

皆さんも、野党側から「強行採決だ」「数の暴力だ」と与党の法案を批判する声を聞くことはあっても、「政権取ったらあの法案は廃止する」という声を聞いたことはないと思います。

しかし反対していた法案の廃止を公約しないのであれば、その反対はただのポーズであり有権者に対する酷い欺瞞でしかありません。

「反対」とは「その法案に同意しないこと」であり、「可決されたら何も言わない」は決して反対とは言わないのです。

「他の人が決めたこと」とそのまま放置することは「共犯」以外の何物でもないでしょう。

他国では現に前政権が決めた政策を廃止しているのですから、これが日本で出来ない訳がありません。

ちなみにNZでは「げっぷ税」だけでなく、前政権が決めた「たばこ禁止法」の廃止をはじめ

同じく前政権が計画していた育児手当や気候変動対策事業などを廃止しています。

裏金問題で息も絶え絶えの自民党のおかげで政権交代も現実味を帯びつつある日本ですが、だからこそ野党は「政権を取ったらこれをやる」だけではなく「政権取ったらこの法を廃止する」という主張をするべきです。

これこそが日本の政治に足らないものでしょう。

採決に反対票を投じた法案の廃止に反対する理由はないはずです。

野党議員には「政権取ったらあなたが反対した〇〇法案(例えば子育て増税)は当然廃案にしますよね?」と聞くことに何の不合理な点はありません。

どんどん投げかければいいでしょう。

ただNZのげっぷ税のように、それを廃止させるには「団体による可視化された数と圧力」が必要です。

政治家が「選挙に行くかどうかすらわからない”ぼんやりした集団”」より「確実に投票してくれる組織」を優先するのは当然だからです。

だからこそ「クルマ減税会」のような存在には非常に意味があります。

クルマ減税会は公共選択論の視点から

自動車関連諸税の減税を求める人の数を可視化し、数の力で世論や議員に訴える政治的アプローチを行うこと

を目的とした草の根団体です。

先日も2名の国会議員との公開意見交換会を行うなど、積極的に活動を行っています。

クルマ減税会については、登録費はもちろん、活動費等なども一切かかりません。

またなにか活動を強制されることもありません。

「数の可視化」という面において、クルマ減税会への登録だけでも十分な力になるからです。

その「可視化された数」は、NZの農業団体の様に国政政党並の力を持つことが出来るでしょう。

そしてその力で野党に増税撤回や減税公約を飲ませ、与党に対峙させた時に初めてそれらは議論のテーブルに乗ることになるのです。

政治は理屈ではありません。

「数と圧力」です。

NZの農業団体は、げっぷ税の撤回要求の際に減収の代替案など一切提示していません。

「増税を止めると公約する方に投票する」と言っているだけであって、あとの辻褄合わせは政治側がやっているにすぎないのです。

政治を動かす方法は「可視化された数で圧力をかけること」のみです。

これが常識だからこそ、他の団体も同じことをやっています。

その一番簡単な方法がクルマ減税会に入ることでしょう。

一緒に「可視化された数」になって圧力を掛けていきましょう。

ということで、今日はここまで。

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