「あなたは家を守る人」
横浜中華街で手相だか生年月日だかを見てもらったときに、
「あなたは家を守る人」
と言われたことがある。
当時の私は、結婚、同居が決まっていたというタイミング。
「どっちの家のことでしょうか」
質問してみたが、
「あー、んー、だからね、そういうことよ」
返ってきたのは、なんだかよくわからない内容。
次男の嫁なのにわざわざ同居するわけだから、「嫁ぎ先を守る」なのだろうと、そのときは解釈した。だが実家も近かったことから、「嫁ぎ先と実家の両方を守る」なのだろうとも思うように。
離婚した今となっては、「実家を守る」で落ち着いている。
*
姉が先に嫁ぎ、その数年後に私も嫁ぐことになったとき、実はひとつ気になっていたことがあった。
「……墓守がいなくなっちゃうね」
そのことだけが、ずっと引っかかっていた。
だけど母は、そんなのどうってことない、という様子。
「私は長男の嫁だから、そりゃ昔は、私の代で終わらせるのはマズいと思ってたよ。でも今は違うよ。跡継ぎがいなきゃいないで、それはそれよ。今の時代、そんなの珍しいことじゃない。だから墓守なんかに縛られなくていい。私とお父さんは、共同墓地にでも入るよ」
ありがたかったが、だけどやっぱり、最後の「共同墓地」という言葉だけは引っかかった。
いや、母は本当に「その方が身軽でいい」と思って言っていると思う。だけど下の代がいないならともかく、私と姉がいるのに親を共同墓地に……という想像は、私の心を寂しくさせた。
だけどまぁ、無事跡継ぎとして舞い戻ってきたので、母には安心していただきたい。
私としてもお墓掃除や草刈りなどなど、実家を守ることに専念できて、ようやく気持ちがピタッと一致したというか、迷いがなくなった。
父が亡くなったこともあり、私の中でますます「母とこの家を守らなければ」感が強くなったと思う。
姉夫婦からも感謝されてしまって、気恥ずかしいながらものびのびとすごしている。
*
私の地元では、8月7日はお墓掃除をする日となっている。今年は都合があり1日遅らせたが、今日無事に済ませてきた。
次のお盆仕事は13日。
盆棚を組み立てる。
去年片付けるときにバラしすぎてしまったから、組み立てるのに苦労しそうだ。
今年は母の助けなしに、私一人で組み立ててみる予定。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?