佐藤達哉

♬ジャズテナーサックス奏者です。10代からジャズ喫茶に通いレコード鑑賞をしていました。…

佐藤達哉

♬ジャズテナーサックス奏者です。10代からジャズ喫茶に通いレコード鑑賞をしていました。今でも相変わらずジャズをこよなく愛しています。ここではジャズファンとプレーヤー両方の視点から作品について色々と感じた事、演奏者としての経験談も加えて書いて行きたいと思います。

マガジン

  • テナーサックス奏者佐藤達哉によるジャズアルバム・ブログ

    永年に渡り演奏し続けているジャズプレイヤー、アルバムをこよなく愛すリスナー、二つの視点のクロスアングルから様々な作品の内容を分析し論じたブログをまとめています。これまでに無い切り口の作品紹介にしたいと思っています。

最近の記事

ジ・アート・オブ・ザ・サキソフォン/ベニー・ウォーレス

 テナーサックス奏者ベニー・ウォーレスの1987年録音リーダー作、『ジ・アート・オブ・ザ・サキソフォン』を取り上げましょう。  テナーサックス奏者ベニー・ウォーレスが4人のサックス・プレーヤーを招き、各々とサックス・バトルを行った作品です。  サックス同士のバトルには昔から名演奏が数多く残されています。サックスと言う楽器の特性でしょうか、互いの演奏に触発されたレスポンスが演奏を密なものにし、いつもとは違ったフレージング、アプローチ、ニュアンス、展開を引き出します。  同一

    • ニューヨーク・リユニオン/マッコイ・タイナー

      豪華メンバーを擁したマッコイ・タイナーの1991年録音リーダー作『ニューヨーク・リユニオン』を取り上げましょう。  マッコイ・タイナー・カルテット、名手たちジョー・ヘンダーソン、ロン・カーター、アル・フォスターを迎えた作品です。  録音の素晴らしさ〜奥行きを感じさせ、各楽器の魅力を引き出した音質と音像、セパレーション〜が第一印象です。良い録音状態のアルバムは自ずと内容への期待が高まります。   選曲に工夫が成され、マッコイのオリジナル、ジョーヘンやカーターのナンバー、スタン

      • ニュー・ヴィスタ/デイヴ・リーブマン

        デイヴ・リーブマン1996年録音作品『ニュー・ヴィスタ』を取り上げましょう。  独自の音楽観を持ち、1970年代初頭より意欲的にプレイし続ける孤高のテナー奏者、デイヴ・リーブマンの作品です。  ここではブラジリアン・テイストを散りばめ、彼が数多く発表した作品中、取り分けポップにしてキャッチーです。  かつて多くのジャズミュージシャンが発表したボサノヴァ・アルバム、本作はそのリーブマン・ヴァージョンです。  自身や参加メンバーによる収録オリジナルは耳に心地良いメロディを有する

        • ジャズ・コントラスツ/ケニー・ドーハム

           トランペッター、ケニー・ドーハム1957年録音リーダー作『ジャズ・コントラスツ』を取り上げましょう。  ハードバップ最盛期の57年制作、ケニー・ドーハム第5作目のリーダー・アルバムです。  アルバム・ジャケットで何やらツーポーズを決めたドーハム、意味するところはラフな雰囲気のいつものジャズ演奏と、ジャズでは珍しい楽器、ハープを交えたフォーマルなプレイとのコントラストを表現した、と言うところでしょうか。  実際にテナーと2管でのクインテットで3曲、ドーハムのワンホーン演奏に

        ジ・アート・オブ・ザ・サキソフォン/ベニー・ウォーレス

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        • テナーサックス奏者佐藤達哉によるジャズアルバム・ブログ
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          イン・ジ・イディオム/ランディ・ブレッカー

           ランディ・ブレッカー1986年スタジオ録音リーダー作『イン・ジ・イディオム』を取り上げましょう。 録音:1986年 10月19, 20, 25日 スタジオ:R. P. M. スタジオ、ニューヨーク エンジニア:ジェームズ・ファーバー プロデューサー:ランディ・ブレッカー コ・プロデューサー:クリスティン・マーチン エグゼクティヴ・プロデューサー:トム・ウエノ、カツノリ・コンノ レーベル:デンオン (tp, flg-h)ランディ・ブレッカー (ts)ジョー・ヘンダーソン

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          リユニオン/ジャック・ウィルキンス

           ギタリスト、ジャック・ウィルキンスの2000年12月録音リーダー作『リユニオン』を取り上げましょう。  ジャック・ウィルキンス、2000年12月11日ニューヨークでのスタジオ録音アルバムです。豪華参加メンバーと共に、外連味のない正統派の演奏をとことん聴かせる内容に仕上がっています。  本作の元となるアルバムが77年2月同じくニューヨーク録音『ザ・ジャック・ウィルキンス・カルテット』、ほぼ24年を経て再び同じメンバー、ランディ・ブレッカー、エディ・ゴメス、ジャック・ディジョ

          リユニオン/ジャック・ウィルキンス

          タップ・ステップ/チック・コリア

           チック・コリア1979年12月、80年1月録音リーダー作『タップ・ステップ』を取り上げましょう。  コリアの豊かな音楽性とアレンジ、複雑なコードワークやリズム・パターンが随所に使われているにも関わらず、メロディアスさが優先となり、サンバを筆頭にした様々なリズムが用いられる事でダンサブルを掲げ、ヴォーカルやコーラス、コリア自身のヴォコーダーも用いたサウンドを巧みに管楽器と併用し、誰もが口ずさめる旋律を有するナンバーから、コアなコリア・ファンにまでアピールする楽曲を配した、大

          タップ・ステップ/チック・コリア

          パーソナル・マウンテンズ/キース・ジャレット

           ピアニスト、キース・ジャレットの1979年ライヴ録音リーダー作『パーソナル・マウンテンズ』を取り上げましょう。  キース・ジャレット、彼の所謂ヨーロピアン・カルテットの日本でのツアー、東京新宿にあった厚生年金会館、中野サンプラザ・ホールでの演奏を収めたライヴ録音になります。  メンバーはキースの他テナー、ソプラノサックス、ヤン・ガルバレク、ベース、パレ・ダニエルソン、ドラムス、ヨン・クリステンセン。  ヨーロピアン・カルテットは同一メンバーで74年4月録音『ビロンギング』

          パーソナル・マウンテンズ/キース・ジャレット

          アウト・トゥ・ランチ!/エリック・ドルフィー

           1964年録音エリック・ドルフィーのリーダー作『アウト・トゥ・ランチ!』を取り上げましょう。  本作は夭逝した天才ジャズ・ミュージシャン、エリック・ドルフィーが米国でレコーディングした最後のリーダー作品、没後にリリースされました。  64年6月27日ドイツ、西ベルリンのコンサート最中に糖尿病の発作で倒れ救急搬送されましたが、医師の誤診により適切な処置を受けられず、2日後の29日に心臓発作で逝去します。  アルバム・ジャケットにはドルフィーが昼休み後に二度と戻らない事が暗示

          アウト・トゥ・ランチ!/エリック・ドルフィー

          ライト・ナウ!/ジャッキー・マクリーン

          アルトサックス奏者ジャッキー・マクリーン1965年1月録音作品『ライト・ナウ!』を取り上げましょう。  多作家ジャッキー・マクリーン、ブルーノート・レーベル15作目のアルバムです。 フレッシュでソリッドなアルバムの内容とリンクする、水墨画の如き秀逸かつ単刀直入なジャケット・デザインが光りますが、デザイナーは多くの名ジャケットを手掛けたブルーノート専属、リード・マイルスです。  ニューヨーク出身のマクリーンは、10代から幼馴染のケニー・ドリューやソニー・ロリンズ達と研鑽を重ね

          ライト・ナウ!/ジャッキー・マクリーン

          マッコイ・タイナー・プレイズ・エリントン

          1964年12月録音マッコイ・タイナーのリーダー作『マッコイ・タイナー・プレイズ・デューク・エリントン』を取り上げましょう。  マッコイ・タイナー第6作目のリーダー・アルバムです。彼の作品は全てインパルス・レーベルからのリリースでしたが、本作が同レーベル最後の作品になります。 次作67年4月録音、名盤『ザ・リアル・マッコイ』からブルーノート・レーベルに移籍しました。  本作『プレイズ・エリントン』では幾つか特筆すべき点があります。 まず全曲マッコイが敬愛するデューク・エリ

          マッコイ・タイナー・プレイズ・エリントン

          アダムス・アップル/ウェイン・ショーター

           テナー奏者ウェイン・ショーター1966年録音リーダー作『アダムス・アップル』を取り上げましょう。  ウェイン・ショーター10作目のリーダー・アルバムに該当します。64年4作目『ナイト・ドリーマー』以降は彼の音楽性開花が顕著になったブルーノート・レーベルからのリリースになりますが、時期を同じくしてショーターはマイルス・デイヴィス・クインテットのメンバーになります。  モダンジャズを変革する数々の傑作をリリースしたこのクインテットはハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー

          アダムス・アップル/ウェイン・ショーター

          リトル・ジョニー・C/ジョニー・コールズ

          トランペッター、ジョニー・コールズの1963年録音リーダー作『リトル・ジョニー・C』を取り上げましょう  1960年代初頭のジャズ界に多くのニューカマーが現れました。トランペッターも例外ではく、素晴らしい才能を持ちシーンを活性化させるエネルギーを発する奏者の存在を、何人も確認する事が出来ます。  本稿の主人公ジョニー・コールズもその中の一人ですが、彼は強く自己主張を表出するタイプではなく、味わいや枯れたテイストを前面に出す演奏を信条とし、どちらかと言えばサイドマンで個性を

          リトル・ジョニー・C/ジョニー・コールズ

          スタン・ゲッツ・アンド・ビル・エヴァンス

           スタン・ゲッツとビル・エヴァンスの共演を収めた1964年録音作品『スタン・ゲッツ・アンド・ビル・エヴァンス』を取り上げましょう。  スタン・ゲッツ、ビル・エヴァンス、白人ジャズプレーヤー両雄による共演作を多くのジャズファンが望んでいました。彼らの活躍ぶりと名演奏の多さ、何より音楽的テイストの合致度を誰もがストレートにイメージ出来、どれ程スリリングな演奏を展開してくれるのか、期待を抱かせます。  ところが意外な事にコ・リーダーとしてスタジオ・レコーディングされた作品は64年

          スタン・ゲッツ・アンド・ビル・エヴァンス

          キャノンボール・テイクス・チャージ/キャノンボール・アダレー

          1959年4, 5月録音アルトサックス奏者、キャノンボール・アダレーの『キャノンボール・テイクス・チャージ』を取り上げましょう。  キャノンボール・アダレー通算14枚目のリーダー作にして、初めてのワンホーン・カルテットによる作品です。 それまではトランペットや他の管楽器とのホーン・アンサンブル、またヴィブラフォン、ストリングスを迎えキャノンボールをバックアップすべくのサウンドを含めて演奏を聴かせましたが、本作でアルトサックス奏者としての全貌を明らかにします。  55年7月録

          キャノンボール・テイクス・チャージ/キャノンボール・アダレー

          1958 マイルス/マイルス・デイヴィス

           マイルス・デイヴィス1958年の演奏を収録したアルバム『1958 マイルス』を取り上げましょう。 本作には55年録音のナンバーも1曲収録されていますが、タイトルのコンセプトを鑑みここではオミットし、ボーナス・トラックとして後年追加されたフラン・ダンスの別テイクを取り上げる事にしたいと思います。  マイルス・デイヴィス・クインテットにもう一人のホーン奏者であるアルトサックスのキャノンボール・アダレーが加わり、セクステットとなったのが58年3, 4月録音の名作『マイルストーン

          1958 マイルス/マイルス・デイヴィス