佐藤達哉

♬ジャズテナーサックス奏者です。10代からジャズ喫茶に通いレコード鑑賞をしていました。…

佐藤達哉

♬ジャズテナーサックス奏者です。10代からジャズ喫茶に通いレコード鑑賞をしていました。今でも相変わらずジャズをこよなく愛しています。ここではジャズファンとプレーヤー両方の視点から作品について色々と感じた事、演奏者としての経験談も加えて書いて行きたいと思います。

マガジン

  • テナーサックス奏者佐藤達哉によるジャズアルバム・ブログ

    永年に渡り演奏し続けているジャズプレイヤー、アルバムをこよなく愛すリスナー、二つの視点のクロスアングルから様々な作品の内容を分析し論じたブログをまとめています。これまでに無い切り口の作品紹介にしたいと思っています。

最近の記事

タップ・ステップ/チック・コリア

 チック・コリア1979年12月、80年1月録音リーダー作『タップ・ステップ』を取り上げましょう。  コリアの豊かな音楽性とアレンジ、複雑なコードワークやリズム・パターンが随所に使われているにも関わらず、メロディアスさが優先となり、サンバを筆頭にした様々なリズムが用いられる事でダンサブルを掲げ、ヴォーカルやコーラス、コリア自身のヴォコーダーも用いたサウンドを巧みに管楽器と併用し、誰もが口ずさめる旋律を有するナンバーから、コアなコリア・ファンにまでアピールする楽曲を配した、大

    • パーソナル・マウンテンズ/キース・ジャレット

       ピアニスト、キース・ジャレットの1979年ライヴ録音リーダー作『パーソナル・マウンテンズ』を取り上げましょう。  キース・ジャレット、彼の所謂ヨーロピアン・カルテットの日本でのツアー、東京新宿にあった厚生年金会館、中野サンプラザ・ホールでの演奏を収めたライヴ録音になります。  メンバーはキースの他テナー、ソプラノサックス、ヤン・ガルバレク、ベース、パレ・ダニエルソン、ドラムス、ヨン・クリステンセン。  ヨーロピアン・カルテットは同一メンバーで74年4月録音『ビロンギング』

      • アウト・トゥ・ランチ!/エリック・ドルフィー

         1964年録音エリック・ドルフィーのリーダー作『アウト・トゥ・ランチ!』を取り上げましょう。  本作は夭逝した天才ジャズ・ミュージシャン、エリック・ドルフィーが米国でレコーディングした最後のリーダー作品、没後にリリースされました。  64年6月27日ドイツ、西ベルリンのコンサート最中に糖尿病の発作で倒れ救急搬送されましたが、医師の誤診により適切な処置を受けられず、2日後の29日に心臓発作で逝去します。  アルバム・ジャケットにはドルフィーが昼休み後に二度と戻らない事が暗示

        • ライト・ナウ!/ジャッキー・マクリーン

          アルトサックス奏者ジャッキー・マクリーン1965年1月録音作品『ライト・ナウ!』を取り上げましょう。  多作家ジャッキー・マクリーン、ブルーノート・レーベル15作目のアルバムです。 フレッシュでソリッドなアルバムの内容とリンクする、水墨画の如き秀逸かつ単刀直入なジャケット・デザインが光りますが、デザイナーは多くの名ジャケットを手掛けたブルーノート専属、リード・マイルスです。  ニューヨーク出身のマクリーンは、10代から幼馴染のケニー・ドリューやソニー・ロリンズ達と研鑽を重ね

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        • テナーサックス奏者佐藤達哉によるジャズアルバム・ブログ
          129本

        記事

          マッコイ・タイナー・プレイズ・エリントン

          1964年12月録音マッコイ・タイナーのリーダー作『マッコイ・タイナー・プレイズ・デューク・エリントン』を取り上げましょう。  マッコイ・タイナー第6作目のリーダー・アルバムです。彼の作品は全てインパルス・レーベルからのリリースでしたが、本作が同レーベル最後の作品になります。 次作67年4月録音、名盤『ザ・リアル・マッコイ』からブルーノート・レーベルに移籍しました。  本作『プレイズ・エリントン』では幾つか特筆すべき点があります。 まず全曲マッコイが敬愛するデューク・エリ

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          アダムス・アップル/ウェイン・ショーター

           テナー奏者ウェイン・ショーター1966年録音リーダー作『アダムス・アップル』を取り上げましょう。  ウェイン・ショーター10作目のリーダー・アルバムに該当します。64年4作目『ナイト・ドリーマー』以降は彼の音楽性開花が顕著になったブルーノート・レーベルからのリリースになりますが、時期を同じくしてショーターはマイルス・デイヴィス・クインテットのメンバーになります。  モダンジャズを変革する数々の傑作をリリースしたこのクインテットはハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー

          アダムス・アップル/ウェイン・ショーター

          リトル・ジョニー・C/ジョニー・コールズ

          トランペッター、ジョニー・コールズの1963年録音リーダー作『リトル・ジョニー・C』を取り上げましょう  1960年代初頭のジャズ界に多くのニューカマーが現れました。トランペッターも例外ではく、素晴らしい才能を持ちシーンを活性化させるエネルギーを発する奏者の存在を、何人も確認する事が出来ます。  本稿の主人公ジョニー・コールズもその中の一人ですが、彼は強く自己主張を表出するタイプではなく、味わいや枯れたテイストを前面に出す演奏を信条とし、どちらかと言えばサイドマンで個性を

          リトル・ジョニー・C/ジョニー・コールズ

          スタン・ゲッツ・アンド・ビル・エヴァンス

           スタン・ゲッツとビル・エヴァンスの共演を収めた1964年録音作品『スタン・ゲッツ・アンド・ビル・エヴァンス』を取り上げましょう。  スタン・ゲッツ、ビル・エヴァンス、白人ジャズプレーヤー両雄による共演作を多くのジャズファンが望んでいました。彼らの活躍ぶりと名演奏の多さ、何より音楽的テイストの合致度を誰もがストレートにイメージ出来、どれ程スリリングな演奏を展開してくれるのか、期待を抱かせます。  ところが意外な事にコ・リーダーとしてスタジオ・レコーディングされた作品は64年

          スタン・ゲッツ・アンド・ビル・エヴァンス

          キャノンボール・テイクス・チャージ/キャノンボール・アダレー

          1959年4, 5月録音アルトサックス奏者、キャノンボール・アダレーの『キャノンボール・テイクス・チャージ』を取り上げましょう。  キャノンボール・アダレー通算14枚目のリーダー作にして、初めてのワンホーン・カルテットによる作品です。 それまではトランペットや他の管楽器とのホーン・アンサンブル、またヴィブラフォン、ストリングスを迎えキャノンボールをバックアップすべくのサウンドを含めて演奏を聴かせましたが、本作でアルトサックス奏者としての全貌を明らかにします。  55年7月録

          キャノンボール・テイクス・チャージ/キャノンボール・アダレー

          1958 マイルス/マイルス・デイヴィス

           マイルス・デイヴィス1958年の演奏を収録したアルバム『1958 マイルス』を取り上げましょう。 本作には55年録音のナンバーも1曲収録されていますが、タイトルのコンセプトを鑑みここではオミットし、ボーナス・トラックとして後年追加されたフラン・ダンスの別テイクを取り上げる事にしたいと思います。  マイルス・デイヴィス・クインテットにもう一人のホーン奏者であるアルトサックスのキャノンボール・アダレーが加わり、セクステットとなったのが58年3, 4月録音の名作『マイルストーン

          1958 マイルス/マイルス・デイヴィス

          サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム/マイルス・デイヴィス

          マイルス・デイヴィス1961年録音作品『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』を取り上げましょう。  ジャズ界に於ける名盤、傑作、問題作を数多く発表したマイルス・デイヴィスです。彼の諸作中特に演奏クオリティとリラクゼーションのバランスが取れたアルバムが本作『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』、様々な要素が重なった事で作品が誕生しました。  55年から活動開始したマイルス・デイヴィス・クインテット、ジョン・コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィ

          サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム/マイルス・デイヴィス

          キャッティン・ウイズ・コルトレーン・アンド・クイニシェット/ジョン・コルトレーン、ポール・クイニシェット

          ジョン・コルトレーン、ポール・クイニシェット二人のテナーサックス奏者をフィーチャーした1957年作品『キャッティン・ウイズ・コルトレーン・アンド・クイニシェット』を取り上げましょう。  ジャズ鑑賞の醍醐味の一つに、同一楽器によるバトル演奏があります。 特にテナーサックス奏者同士、丁々発止とやり合うスリリングな展開はジャズファンには堪らない表現手段です。  バトルにはおよそ3種類のタイプが存在するように思います。 まずバトルの真骨頂と言えますが互いに闘志を燃やし、刺激し合いな

          キャッティン・ウイズ・コルトレーン・アンド・クイニシェット/ジョン・コルトレーン、ポール・クイニシェット

          メイティング・コール/タッド・ダメロン

          ピアニスト、作曲家タッド・ダメロンの1956年録音リーダー作『メイティング・コール』を取り上げましょう。  モダンジャズ華やかなりし1950年代バップ〜ハードバップ期、多くの個性的なピアニストが現れシーンを賑やかにしました。彼らの中には作曲の才を持つ者が多く、佳曲を切望するジャズファン、ミュージシャン、時代から求められたゆえにその才能を遺憾無く発揮出来ました。  主だったところではバド・パウエル、セロニアス・モンク、ホレス・シルヴァー、マル・ウォルドロン、そして本稿の主人公

          メイティング・コール/タッド・ダメロン

          ヴォヤージ/チック・コリア

          チック・コリアとフルート奏者スティーヴ・クジャラの1984年録音デュエット作品『ヴォヤージ』を取り上げましょう。  数多くのデュエット作品を発表しているチック・コリアです。相方にはヴィブラフォンやピアノなどのコード楽器奏者を中心に迎えていますが、スティーヴ・クジャラは例外的なフルート奏者、コリアと遜色なくカンヴァセーションを行える高度な音楽性、超絶テクニックとタイム感、明確な自己のスタイルを持ち、メロディアスなプレイの他、パーカッション奏者の如き効果音を巧みに繰り出すことで

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          ホワット・イット・イズ/デイヴィッド・リーブマン

          1979年録音デイヴィッド・リーブマンのリーダー作『ホワット・イット・イズ』を取り上げましょう。  まさに80年代に差し掛からんとする79年12月、ニューヨーク・マンハッタン、サウンド・アイデア・スタジオにジャズ、フュージョン・シーンを代表するミュージシャンが結集しました。デイヴィッド・リーブマンの日本企画アルバム『ホワット・イット・イズ』レコーディングのために。  プロデューサーにはヴィブラフォン奏者のマイク・マイニエリを迎え、ギター、ジョン・スコフィールド、キーボード、

          ホワット・イット・イズ/デイヴィッド・リーブマン

          ジャック・ディジョネット/スペシャル・エディション

          ジャック・ディジョネット1980年発表のリーダー作『スペシャル・エディション』(特別版)を取り上げましょう。  様々な編成、コンセプトでリーダー作をリリースし続けるジャック・ディジョネット、いずれの作品でも異なったなメンバーで様々な内容を聴かせるのは彼の音楽性の幅が広く柔軟なゆえ、溢れんばかりに豊かなサウンドが彼の頭の中で鳴っているのでしょう。  1968年12月録音初リーダー作『ザ・ディジョネット・コンプレックス』を皮切りにサックスカルテット、トリオ、デュオと比較的少人数

          ジャック・ディジョネット/スペシャル・エディション