医療にチャレンジしないか?
この記事はフルリモートデザインチームGoodpatch Anywhere Advent Calender2023 12日目の記事です。
まえおき
皆さんこんにちは、きっとです。
Goodpatch AnywhereでUXデザイナーとして、さまざまな領域の皆さんと切磋琢磨し、モリモリと成長する日々を過ごしています。
普段は、バイオデザインを活用した医療機器開発の支援をメインでおこなっております。このほかにも医療系webサービスのデザインや他にもいわゆるデザイン事務所のように、ブランディング構築やロゴ、グラフィックを書いたり、チラシ1枚から制作することもあります。
大きく変わったことといえば、今年から神戸大学大学院医学研究科に在学することになり、臨床現場に入らせていただき、肌で感じる機会を得ることができました。これでようやく医療系の人なんだと思われるようになったようです。
さて今回は「医療機器の現状とお誘い」についてお話しします。
本題
医療系のデザインってなに?まず最初に聞かれることがこれ。
間違いなく、わかりづらい。
そもそも医療系ってなんやねんって感じ。
医療シーンにおける人々の行動をデザインする ってカッコつければこんな表現も使えますが、わかりやすくいうと、医療機器のデザインってことになりますね。
では医療機器って何?普段病院や街中のクリニックに行くことが少ない方は、あまりピンとこないかもしれませんが、ちゃんと法律に書かれております。こんな定義です。
平たくいうと
①人間もしくは動物に用いられるものに限る
②人間もしくは動物の疾病の診断・治療・予防に使用されることが目的とされている機械器具等
③人間もしくは動物の身体の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等
診断の際に使われる器具、例えば外科用X線撮影装置(レントゲン)、CT、MRIなどの機器は含まれますし、手術で使う器具、よくドラマとかでもみるナイフのようなメス、ピンセットのような鑷子(せっし)も含まれます。もっと詳しく説明するとクラス分類がありますが、ここでは割愛します。
医療産業ってどうなってるんだっけ?
さてここから少し面白くない話に突入します。
厚生労働省が出している医療機器産業ビジョン2013資料編に書いてある、市場や生産、輸出等についてみてみたいと思います。
こちらに添付しておきますが、グラフを読むのが面倒な方は、下のサマリーをどうぞ。
この資料で言いたかったこと
医療機器産業の市場規模は約2.4兆円
医療機器の輸入金額は約1.1兆円、国内売上高の約44.4%
2011年の医療機器における輸出入差額(=貿易収支)は、約5,780億円の赤字。
医療機器産業全体では輸入超過傾向にあるが、診断系機器については輸出額が輸入額を上回っている。
治療系機器については、年々輸出額は伸長傾向にはあるものの、輸入額との比較では4倍以上の開きがある。
とまぁ統計上はこのようになっているわけですが、本当にそうなのか?
医療施設の中に入ってみるとわかる
誰もが1度は病院やクリニックに行ったことがあると思いますが、流石に医療機器が置いてある場所へはなかなか入ることがないと思います。
私が院内に観察に行かせていただいた時のお話です。
CE室(臨床工学技士がいる部屋)や手術室の至る所に医療機器がありました。もちろん手術や検査に備えて置いてあるわけですが、説明してくれる医師やCEの方からは、驚きの発言が多々ありました。
なんだかそんな気がしてたんですよね、周りを見ても知らないロゴというか、海外カンパニーのロゴばかりで、日本企業を見かけなかったんです。で、いろんな人から聞いてみると、厚生労働省が出している資料のとおり、輸入超過だと。
平常時はメンテナンスやパーツ交換、ラーニングとか問題ないんでしょうが、例えば感染症が広まって各国がロックダウン状態になったら、国内で供給できないとなるとちょっと不安がよぎりますね。
神戸大の村垣教授と向井教授が取材の際に話していた「医療機器が入手できなくなる?未来の危機 世界との競争力を育む挑戦」
人間の活動に直結するような、インフラ、衣食住や医療はせめて国内で十分賄えるようになって、足りない分を国外から輸入する、そんなフレームが望ましいのではないかとも考えます。ただ製品が優れているという側面ももちろん見過ごせません。でも決して日本人が開発できないことはないはずです。
ドイツには医学と工学を学べる大学がある
そこで海外をちょっと見てみます。昔からよく聞くのが、ドイツ。
ドイツのアーヘン応用科学大学ユーリッヒ校には、生体医工学部門があります。この部門は、心臓血管工学、バイオメカニクス、医用情報工学、医用物理学、生体計測工学の5つの講座で構成されています。
医用生体工学は、医学と工学が融合した学問で、医療用ロボットや生体デバイス、生体材料の開発など、医療や福祉に応用されています。
ちなみに製造業で有名なシーメンスはドイツの会社。
このように、医学と工学をその場で学べる環境が揃っていることがその後の産業を支える礎になっていると思います。
神戸大学でそれをやってるよ!
そしてとうとう日本でも!ということで、神戸大学大学院に医療創成工学専攻という新たな専攻が立ち上がりました。
みてください、この五角形を。
創造性、課題解決、ニーズ探索。。。デザインですよ、これ広義のデザイン。医療現場における課題解決をニーズ探索からやっていく。私は修士ですが、工学系の学生がほとんどで、みんな必死に医療現場に足を運んでいます。アカデミーの世界でも、ようやく医療にもデザインの視点が足りていないことに気づいたんじゃないかって思ってます。学部もできるらしいです。
ちなみにNHKさんが取材に来てくれました。取材受けてベラベラ喋ったのは私ですw
入院に付き添えばわかる
デザインの視点が足りてないなぁって思ったもう一つのエピソード。
入院に付き添った経験ってありますか?
例えば小児科とかお子さんの入院は一人ではできないので、親御さんが付き添うことが多いと思います。その時の環境って、想像つきますか?
私の時は、ベッドの横の狭い隙間に、四角のソファを4つ並べて付き添いました。皆さんの想像通りで、朝起きたら体はバキバキでどうしようもなく、シャワーも浴びずに出勤したことがありました。全ての病院がそのような環境とは思いませんし、例えば特別室を使えばいいとの指摘もありそうですが、プラスで費用を支払わないと難しいのが現状です。
付き添いってただ横にいるだけなんだけど、横にいるだけじゃない。
ちょっと考えれば、もう少し良い環境にすることもできそうじゃない?って思うんです。観察してそこから課題を抽出して、解決するってこんな身近なシーンで役立てるはずです。
デザイナーのみんな、医療やらないか!
ということで最後のメッセージ。
デザイナーのみんな、医療シーンでは、まだまだデザインの知見を持つ人も少ないし、実践できる人もまだま足りていません。医療機器を開発するのもいいし、病院環境をより良くするのもいい。カルテなどの紙からデジタルへ変えていくシステムを作るのもいい。
デザインの力が明日の医療をより良くしていくはず!
そんな気持ちが少しでもあったら、ぜひ声かけてね。
ってことで、これからも医療やヘルスケアの課題を解決していく
Goodpatch Anywhereでぜひ熱く語らい&お仕事ご一緒しましょう!
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