見出し画像

建築写真について。

自分が設計した建物を世に発信するのに最も効率が良いのは建築写真。

ただ、気をつけなければならないのは写真(写真問わずメディア)によって、良くも悪くも建築の印象は決まってしまうということ。

建築は体験が全てであるのだけど、今の世の中はメディアで建築の評価が決まってしまう。
むしろ、建築家像がメディアによって作られている。
建築業界や建築学生においてでさえ、建築家の知名度の差は時代によって異なる。

グッゲンハイム美術館

独立して初めて竣工する建物の建築写真をどの写真家に頼むか悩んでいるこの頃。

できるだけ岡山県内か岡山近郊の写真家にお願いしたいと考えているけど、なかなか共感できる写真が見つからない。

自分で撮ってしまおうかとも考えはじめている。

もちろん全国を当たれば素晴らしい建築写真を撮る方はいる。

元「新建築社」の写真部長である小川重雄さんの写真は建築に対して謙虚な姿勢が読み取れる。良い意味で作家の個性はあまり感じられないように私は思える。

新建築臨時増刊の『日本の建築空間』は好きで何度も眺めては、たまにトレーススケッチもする。

雑誌『住宅建築』でよく見かける笹倉洋平さんの写真も好きで、その写真には人が写り込んでいなくても、人がそこを通った痕跡のようなものや、息をしているような空間を感じる。

ジュリアス・シュルマンの写真集もアメリカの西海岸らしいダイナミックな印象を感じる写真が面白い。

最近はイタリア人写真家ガブリエル・バジリコの写真集を眺めている。

ちなみに、私の好きな写真はゼラチンシルバー写真。

これから自分が設計した建物が完成していき、竣工写真というものを撮るようになるのだけど、メディアのフィルターにかかるのは避けては通れない。

それならば、あえて建築そのものの空気感をリアルに捉えようと奮闘するのではなく、割り切って「建築写真」として自分なりの詩を建築写真に込めていこうか…。

何かがうごめいている写真。
時を封じ込めている写真。

光と影。

かすかな風が流れる写真を撮りたい。

登呂遺跡
高梁市にて
因島にて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?