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オレンジ

純粋が残る
モータープールの
トラックの上で
油まみれになりながら
夕焼け空を
見ていた幼い日

あの空と
この空と
繋がっているのかどうか
忘れてしまう
隔たりと
手が届きそうな
温もりと

部屋に並べて
今日の空白が
ぼんやりと
埋まっていく

忘れたいことと
一緒に
これ以上
遠くに行かないで

そう真ん中で
叫びたいけど
心から笑ったことも
泣いたことも
あの日以来
しばらくないから
いつもの端っこで
過ぎ行く一切を
黙って見ている

分かっているよ
もう戻れないことは
浴びながら
それでも
前に進むしかない

それも
分かっている
でももう一回
真ん中に立って
夕焼け空の下で
心から笑ってみたい
泣いてみたい

オレンジに
染まってみたい──

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