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ドラゴンクエストⅦを語る

 2000年8月27日に何回も発売延期されてやっとドラクエ7が発売されました。当時僕は個人的な話になりますが、完全引きこもり状態で、受けるはずだった大学受験もほとんどやる気をなくして目標喪失状態にあり、精神的には人生で最もどん底にいました。死を意識することも何度もあったくらいどうしようもない正に八方塞がりの時代。そんな時に昔から一番好きなゲームだったドラクエの新作が出るということで、鬱のどん底でしたが少し興味が出ていたりしていました。しかしながら当時の僕はドラクエ7のハードであったプレイステーションを持ってなくて、幼なじみの友人がドラクエ7買ったということで彼の家に見せに貰いに行ったりしていました。久しぶりに見るドラクエの新作、プレイステーションで画面もスーパーファミコンの5や6とかより格段にきれいになっていて、見ているうちにどうしようもなくやりたくなって、当時働いていた友人が「俺仕事忙しいから、お前家におって暇やろうからちょっとくらいならプレステごとドラクエ7貸してもいいよ」と言ったかどうかは定かではありませんが「ちょっとの間」だけ借りるということで我が家にドラクエ7がプレステごとやってきました。冒頭でも紹介したように当時は現実の人生において何一ついいことがなく、絶望しかなかった時代ですから、このドラクエ7は僕にとって完全に「現実逃避」のアイテムとして機能していました。例えるなら夢の世界で満たされて幸せな感じであっても、目が覚めると全くいいことがない日常生活、みたいな。マッチ売りの少女みたいな、感じですかね。まだ幼いころにドラクエに魅了されたままの純粋な感受性が残っていて、でも大人になりそびれた現実の強い引きこもりのストレスがある、そのはざ間でドラクエ7をしたので、もの凄くゲーム内容が胸に刺さったというか、自分が本当にドラクエ7の世界で生きているようなリアルなロールプレイングゲームをしていたような錯覚さえ覚えました。しかし後に語り草になっているほど鬱展開の多いゲームとして有名で、ドラクエのナンバリング作品の中ではドラクエ3や5といった人気作とは異なりあまり評価の高い作品とは言えないらしいですが、ハマる要素は歴代でもナンバーワンといっても過言じゃないくらい、僕の中ではかなりやり込んだゲームでもあります。僕がハマリ込んだ要素は転職システムや職歴システムでしたね。戦士を熟練度5まで育てて「板についてきた」状態にして踊り子に転職して、また熟練度5まで育てると合わせ技の「剣の舞」とか強力で好きでしたね。あと羊使いの「どとうのひつじ」もかなりお世話になりました。あとはラストダンジョンでのプラチナキングとあんこくまどうの組み合わせでプラチナキングを魔神切りで倒して、それをあんこくまどうにザオリクで生き返らせてもらうのを延々とやって一回の戦闘で経験値50万とか稼いだりするのにもハマリました。その他のゲーム内容やシステムに関してはたぶん別のサイトとかで十二分に解説してあるのでそちらで見ていただくとして。最近とある動画を見てこの問題作「ドラゴンクエストⅦエデンの戦士たち」がひょっとしたらドラクエ史上最高傑作、いやゲーム史上の最高傑作にもなりえたのではないか、って思ったりしたのでそこのところを書いていきたいと思います。
 そのきっかけとなった動画がこちらですのでどうぞ。

まあ僕自身あまり知らなかったのですが、物語序盤の重要人物でグランエスタード王子のキーファとラスボスオルゴデミーラが実は同一人物だったのではないか、という都市伝説めいたものです。結構有名らしいですね。僕自身も確かにあまりに早くキーファが序盤でパーティーから離脱して、その後全く接点とかもないままストーリーが進んでいったことに、今思えば消化不良を起こしていたのだな、と思ったりします。転職とか技とかやり込み要素が好きだったので、どん底の精神状態でもやりまくっていましたが、ストーリー、シナリオ自体は暗いまま進んで、特に感動するほどの奥行きもなかったから、やっぱり一般的には問題作、ドラクエには珍しい失敗作と言われても仕方ないかな、とか思っていました。しかし、この「キーファ=オルゴデミーラ説」が仮に本当のシナリオで、さらにシステムとかシナリオを手直しして完全版とかであの当時「ドラゴンクエストⅦエデンの戦士たち」として世に問うていたら、とんでもない反響があり、たぶんそれはドラクエⅢの熱狂をも越える別次元の感動を日本国中に与えた20世紀末のゲームや文化を代表する一大イベント、エポックメイキングな出来事になっていたのかもしれません。詳しくはこの動画内でいろいろと紹介されているのでここでは書きませんが。……まあ、僕はあんまりドラクエ以外のRPGをやったことないし、21世紀に入ってほぼノーゲームな人間なので、たぶんシナリオ的にかなり奥深い内容のRPGも世の中にはたくさんあるのでしょうが、あの20世紀末に天下のドラクエがこの動画などで紹介されている「キーファ=オルゴ・デミーラ説」のままでバーンって出された日には、やっぱりとんでもない衝撃と感動、余韻をドラクエⅢ並にユーザーの心に人生に残して、今みたいな「鬱ゲー」「ドラクエにしては今イチ」という評価はなされていなかったのかもしれません。たぶんこのシナリオでエンディングでキーファの手紙を読んでいたら、あの2000年時点でのドン底ギリギリ精神の僕は大いに心を揺さぶられて、ひょっとしたら鬱が吹っ飛ぶほど感動してより早く引きこもりから立ち直っていた、かもしれません。今ではそんなことも思ったりするくらい、あの頃よりは安全、安心な生活を何とか送れているのは有難いですね。最後に余談ですが、プレステごと借りたドラクエ7を引きこもりで何もしてなくて、一日中ゲームばかり10時間以上やって10日で件のラスボス、オルゴ・デミーラを倒してクリアしてエンディング見たりして、その時まだ貸してくれた友人はクリアもしてなくて、その後ずっと苦笑いしながら「持ち主より先にドラクエ7クリアしよった」と事あるごとにいじられたりしてました。まあ若気の至り、青春の思い出ということで許してください。ではまた何かの思い出話などで会いましょう。

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