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THE BEATLES 個人的15選 Ⅲ

これまでに紹介したビートルズの曲はかなり前半に偏っていたので、今回が初めてくらいにちゃんと「ロックの歴史を更新していた」ビートルズ後期の曲をやっていきたいと思います。前期のみんなで楽しくやろうぜ的な陽気さが中期から後期にかけて一気になくなって、誰もが通る人生の問題、愛、人間関係、哲学、死、など普遍的なものにも取り込んでいって、ロックの表現の可能性を大きく切り開いていった側面が強いですかね。前期と後期の振り幅が歴史上どのロックバンド、アーティストよりも大きいし尚且つ、楽曲のレベルがずっと奇跡的に高いままっていうのがビートルズを解散後60年以上経っても唯一無二の存在にしている大きな要素なんじゃないかって個人的に思ったりします。まあ何だかんだ言っても始まらないので中期の名盤「リボルバー」の曲から、どうぞ。


Taxman (1966年)
ジョージのこの攻めた楽曲でいきなり幕を開けて、それまでのイメージをがらりと変えた「ロックバンド」ビートルズが現れてきました。これがかっこいいんです。あのなよなよしていた(?)ジョージがこんな切れのあるリフとソロを聞かせるロックを書くとは誰も想像していなかったんじゃないでしょうか? ジョンやポールならまだしも。このジョージの才能開花っていうのも後期のビートルズの魅力的なポイントですよね。さらに超一流がいたのかって。ビートルズの底知れなさがいきなり冒頭から鳴り響いた名盤です。


I'm Only Sleeping (1966年)
ジョンの気だるい感じがいい味出している佳曲です。少しインドのテイストが入っていたりして東洋思想的なものをいち早く取り入れてロックに昇華していくあたりが並みではないですよね。上手く深層心理を表現出来るジョンの才能が東洋思想に触れることでまた大きく開花していった、そんな時期にビートルズの後期は位置しているのかなと思ったりします。


For No One (1966年)
ポールの小洒落たセンスの塊みたいな一曲です。絶対に日本人には書けないヨーロッパのクラッシック音楽の伝統を正統に受け継ぐ才能をここで見せつけていたりします。それが本当によくて。ポールはちょっとした小品に凄くいい曲があったりするのでいろいろと探してみると面白いです。


Being For The Benefit Of Mr. Kite! (1967年)
昔から散々言われてきたロック史上最高の名盤「サージェントペパーズ」ですが、一部でも言われているように収録曲は決してビートルズを代表するようなパンチの効いた曲ってのがほとんどなくて、トータルのコンセプトやヒッピー文化の時代の雰囲気をアルバム全体で表しているその時代性が過大に評価され過ぎているきらいもなくはないな、と個人的に思ったりします。で、アルバムの中でこの曲が強いてあげれば一番パンチが効いてシングル曲っぽいかなと思ったので今回紹介した次第です。名盤とかはやっぱり自分の耳で聞いて好き嫌いを決めないとな、と思わせてくれたそう言う意味で思い出深いアルバムでもあります。まあでもトータルで聴くと本当に凄い名盤と思わせてくれる力はやっぱりありますね。どっちやねん。


All You Need Is Love (1967年)
昔テレビのCMとかでも使われていた中期のビートルズナンバーのスタンダードになっている一曲です。ジョンレノン作で、本当は世界初の衛星生中継の音楽イベントでポールの曲が使われる予定でしたが、やっぱりジョンの方が普遍性ある楽曲を持ってきてそれと入れ替えられたらしいです。ポールの曲が何だったかは忘れましたが。愛や平和を歌わせると、ってなっていったジョンレノンの記念すべき一曲ですかね。パブリックイメージが出来上がったみたいな。全世界衛星生中継ですし、あの時代で。


Magical Mystery Tour (1967年)
ビートルズの曲の中ではかなり聴きやすいメロディーラインの曲だと思います。僕も初めて聞いた時に「この曲知っている」と嬉しくなってのを覚えています。ビートルズはかなりスタンダードナンバーが多くて、こういう曲から好きになる人も後追い世代では多いのかもしれません。


Your Mother Should Know (1967年)
個人的にかなり好きな曲です。僕自身は青盤や赤盤から入って知らなかった曲なのですが、1995年に「ビートルズアンソロジー」という番組がテレビ朝日で大みそかに紅白の裏でやっていて、その年からビートルズのファンになった僕はかじりついて見ていました。そこで初めて知った曲です。当時まだ53歳くらいのポールや、存命中のジョージとかが現役当時を振り返っていろいろ語っているドキュメンタリー番組で今観てもかなり面白いと思うのでよかったら是非。


Hey Jude (1968年)
ビートルズと言えばな曲のひとつですね。最大のヒット曲でもあります。ビルボード9週連続1位とかになったり。僕自身はこの曲を初めて聞いたのは中学1年の音楽の時間で「やたら長い曲やな、いつ終わんねん」と思ったのが第一印象です。でも名曲は名曲ですよね。結構好きかも、いやでも長いから苦手意識はいまだにあります。賛否両論ありますね、たぶん、この曲に対して。


Happiness Is A Warm Gun (1968年)
異なる3つの曲を一つにまとめ上げて名曲に仕立て上げるジョンレノンの才能が凄いと思った曲です。最初はそこまですっと入って来る曲ではなくてこの曲の良さが分からなかったですが、耳が肥えてき出してからこの曲の良さがだんだんと分かってきました。レディオヘッドの「パラノイドアンドロイド」もこの曲を参考にして作られたらしいです。まあまあマニアックな話ですが。


Helter Skelter (1968年)
ヘヴィメタルの原型みたいな曲です。この時代に1980年代くらいの荒々しさを出せるところにビートルズの多様性を感じます。このホワイトアルバムにはたくさんそういうあらゆる方向に向けた音楽が鳴り響いていて、結構好きなアルバムです。ビートルズの名盤ランキングでも大概上位に入ってきますよね。


Get Back (1969年)
後期のビートルズが初期のロックンロール魂を取り戻して原点に戻った感じの一曲です。でも初期のアイドルでもなくいろいろと経験した大人がやっている成熟したロックをここでは響かせて後期屈指の名曲になっています。でも内容はビートルズを脱退しようとしていたジョンレノンに対してポールが「もう一度一緒にやろうよ」と呼び掛けている、切ない曲でもあります。そこを思うとこの曲の味わい深さがありますね。


Old Brown Shoe (1969年)
ジョージハリスンの曲でも結構好きな曲です。リズムやコード進行が独特でハマってしまいます。ジョンでもポールでもないジョージ独特の感性で第三の男の本領発揮って感じでいいですね。


Oh! Darling (1969年)
ビートルズの大傑作「アビーロード」の中の隠れた名曲で、ポールのソウル、ブルースが叫ぶ、バラードです。あんまりいい形容ではないですね、すいません。いい言葉が見つからなくて。でもジョンが「俺が歌った方がもっといい曲になるぜ」とか言ったりしてました。


Here Comes The Sun (1969年)
ジョージの曲でもう普通にビートルズの代表曲レベルですよね。大傑作「アビーロード」ではジョージの「サムシング」とこの曲が抜けている感じがして、ジョージが完全に天才二人に肩を並べた感じがして、もしビートルズが1970年代以降も続いていたらジョージも含めた三人の天才によって、レッドツェッペリン、ローリングストーンズが作った歴史を変えて行っていたのかも、と思ったりします。このPVも感涙モノですね。


The Long And Winding Road (1970年)
僕が買った当時の青盤の最後の曲で、ラストにふさわしい一曲ですね。ポール自身はこの曲のアレンジが気に入らなかったらしいですが、ビートルズの8年という短いながらも濃密で激動の時代を締めくくるにこれ以上ない曲だと思ったりします。ビートルズの最後の姿を映したこのフィルムも切ない感じがしていいですね。……だったんですが権利関係で動画が視聴できなくて静止画で失礼します。



僕的には前半のアイドル時代の陽の部分が好きなのですが、後期の崩壊へと向かっていくが故の人間的な葛藤、苦悩から出て来るリアルな感情、そしてそれを天才的に音楽へと昇華していくジョン、ポール、ジョージなどのミュージシャンとしての姿勢がいいですよね。あの時代を生き切ったからこその名曲群は世紀を超えても色褪せないですし、解散から60年以上経ってもまだまだ現役並みに新曲とか話題になったりするのも、クラシックとしてもう20世紀の音楽史に刻まれつつあるからなのかな、と思ったりします。ちょっとベートーベンやモーツァルトとかとイメージはかなり異なりますが、もっと時代が下れば、ビートルズの音楽はそういう存在になっていくと思います。
たしか赤盤や青盤の初期のライナーノーツにこんなこと書いてあったな、と今思い出しました。まあそんな感じですが、ではまた何かの10選で。


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