ささくれ

何か書きます。読んでもらえたら嬉しいです。

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エスパー

君が何を考えているのか僕にはわかる 何が食べたいだとか、何が欲しい、何がしたいとか ただ君は僕みたいにエスパーではない 僕が何を考えているのか分からないだろう だから僕はいつも君をデートに誘う

    • チョコバニラ

      良いことすれば、良いことが起きるって思ってるから 人に優しくしてるつもり でも実際は 良いことしても、良いことは起きない なんかバランス悪いね 「あ、これ落としましたよ」 また一つ良いことした なんか起きるかなぁ なんて、少しでも思う自分がまだいた 「ありがとうございます」 そう言われた ちょっとだけ嬉しかった ほんのちょっとだけ 期待するなと言い聞かせても 僕の口角は少し上がっている

      • これまで、これから

        何もない平坦な道を歩きたいのに どこまで行っても荒れた道 やっと舗装された道かと思ったら 工事中だったり、行き止まりだったり 結局、いつもの荒れた道 歩きにくい靴だなぁ 足が痛くなってきた こんな道歩くつもりはなかった どこまで行くのか でも、後ろには確かに僕の足跡だ

        • 掃除

          部屋が散らかっている。 今までこんなことはなかった。 君が最後に散らかしていった。 落ちていたものを手に取り、元の場所に戻す。 部屋の中は元通り。 でも心の中は散らかったまんまだ。 ねえ、一緒に片付けてよ。

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          いつものエンディング

          結局こうなる。 きっかけはどうであれ、いつもこうだ。 綺麗だね。カッコいいね。 最初はみんなそうやって寄ってくる。 でも近づきすぎると、逃げていく。 勝手に期待したのはそっちでしょ。 勝手にハードル上げたのはそっちじゃないか。 何でそうやって簡単に捨てられるの? またいつもの暗闇で心臓が締め付けられる。 いっそのこと止めてくれないかな。 部屋には時計の音だけが響いていた。

          いつものエンディング

          「おはよう」 君はまだ寝ぼけた顔で慌ただしく準備している。 「いってきます」 君はそう言って部屋を出た。 「ただいま」 君は疲れた顔で帰ってきた。 「お疲れ様」 君は僕を見てそう言った。 「おはよう」 今日の君はどこか楽しげだ。 いつもより気合を入れて準備している。 「デート、いってきます」 明るく弾んだ声を残し、君は部屋を出た。 「ただいま」 暗く澱んだ声が響く。顔を見ると明らかに落ち込んでいた。 「僕は大丈夫だよ」 君は笑顔を作り、そう言っ

          「今日未明‥殺害されました」 ニュース番組が流れた。 今日も誰かが殺された。 「犯人は身柄を拘束されました」 犯人は罪に問われ、裁かれるだろう。 罪を償うために。 ただ僕は知っている。 捕まっていない犯人がいる。 そいつは何度も犯行に及んでいる。 被害者も知っている。 被害者は何度も殺されている。 僕はそれを黙って見ている。 僕が僕に殺されるのを。 僕は抵抗しない。 そして僕は泣いている。 泣きながらナイフを僕に突き立てる。 それを僕は黙って見

          前進

          流れていた。 何もせず、何も言わずに。 それで良いと思っていた。 でも君は違った。 不器用にそれでも自分らしく。 そんな君が眩しかった。 流れに逆らうその姿。 気付けば僕も流れの中で立ち止まっていた。 このまま流れる方が楽だ。 しかし僕は君の後ろ姿から目を離せなかった。 一歩、踏み出す。 流れが強く、バランスを崩す。 それでも一歩、前に。 僕にとっての前に。 いつか君に追いつくその日まで。

          落葉

          君に出会えなかったら、ここにはいなかった。 君に出会えたから、ここに来ることができた。 君は僕の前を、その華奢な体で傷つきながら歩いていた。 僕はそんな壊れそうな君の後ろを歩いた。 君のせいで苦しかった。君のおかげで楽しかった。 でも君とはここまで。 僕はここからも、君と一緒に。

          救い

          吊り下げられている頑丈そうな糸。 これを使えばここから出ることができる。 まるで「蜘蛛の糸」のようだ。 僕はそれほど悪いことはしていない。 しかし今、地獄にいる。 まったく不思議なことだ。 上ではお釈迦様が待っているのだろうか。 しかし見上げても天井があるだけだった。 椅子に乗り、糸に手をかける。 早くしないと罪人たちが寄ってくる。 そうなれば僕はここから出られない。 急がなければならない。 しかしそんな思いとは裏腹に手が止まる。 早く、早くしろよ。

          音色

          電車が来る、人の足音、アナウンス。 話し声、車の音、信号機。 先生の声、書く音、チャイム。 色々な音、見えなくても見える。 足早に歩く人、誰かに怒っている人、教えてくれる人。 みんなそれぞれの音を出している。一つ一つ違った色。 僕はそんな音の色を見ているんだ。

          マスク

          「マスクするのが当たり前になりましたよね」 彼が言った。 「マスクしてると息がしづらくて」 ずっと前から知っている。外したことなんてないぐらいだ。 「どんな顔しているのか分かりにくいですし」 僕のマスクの下の顔はどんな顔だっけ?何もないのではないか。 「マスク似合ってますよ」 彼は笑った。それはどういう意味だろう?冗談だろうか。どちらにしても良い気分ではない。 「ありがとうございます」 そう言って僕は笑った、またマスクを付けて。 「いつかマスクを外して生活

          終わりの瞬間

          「なんで夕暮れってこんなに綺麗なんだろう」 「最後の力を振り絞ってるからじゃない?」 「なるほど」 「花火だってそうでしょ」 君の最後も綺麗だった。 「じゃあね、また明日」 でも僕はずっと照らしていて欲しかった。 夕暮れなんか要らない。 君の下で居たかった。 それでも日は沈んでいく。 「じゃあ、また明日」

          終わりの瞬間

          そばにいる

          僕にはもう何もない。 生きてる理由も特にない。 何もかも失った。 もう終わりにしたい。 風が気持ちいい。 暗い街が下にある。 明るい月が上にある。 「なにしてんだ」 声をかけられた、気がした。 「昼間にも月はあるんだぜ」 彼の声を思い出す。 そうか、お前は見てるんだな。 夜になってようやく気づいた。 僕は自分の部屋に戻った。

          そばにいる

          colors

           僕は色が見えない、生まれてからずっと。見えるのは白と黒だけ。白と黒、おそらくもっとも単純な色で一番端に存在している色だ。色とはどんな物にでもある、そう聞いた。でも僕にとってはそうではなかった。僕が色を認識できないのか、それとも色なんてものがそもそもなかったのだろうか。  僕は白黒の部屋にいた。ベッドや机、絵本の中身やテレビの映像さえも全てが白と黒たった。そんな部屋で僕は生きていた。食べ物は時間になると自動で出てきた。ドアとは別に少し大きい窓くらいの扉があり、そこを開けると食

          空に行く

          大事な人を失ったその日は綺麗な空だった。 「死んだらどこに行くのかな」君は呟いた。 「空に行くだけだよ」僕は答えた。 「それいいね」 君は僕を残して行ってしまった。 「もし私が先に行ったら、すぐには来ないでね」 「どうして?」 「色々と準備があるの」そう言った君は笑っていた。 すぐに行くと怒るだろうから、少しの間僕は空を眺めることにする。

          空に行く