救い
吊り下げられている頑丈そうな糸。
これを使えばここから出ることができる。
まるで「蜘蛛の糸」のようだ。
僕はそれほど悪いことはしていない。
しかし今、地獄にいる。
まったく不思議なことだ。
上ではお釈迦様が待っているのだろうか。
しかし見上げても天井があるだけだった。
椅子に乗り、糸に手をかける。
早くしないと罪人たちが寄ってくる。
そうなれば僕はここから出られない。
急がなければならない。
しかしそんな思いとは裏腹に手が止まる。
早く、早くしろよ。
早く、来てくれよ。この糸を引きちぎってくれよ。
誰でもいいから僕を救ってくれよ。
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