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【エッセイ】『半沢直樹』を好きな人にこそ今年の大河ドラマを観てほしい理由

 学生時代どちらかというと歴史の授業は苦手だった。ありがちな理由だが、暗記が苦痛なので頭にすっと入ってこない。
 仕方ないのでテストの前日に徹夜で無理やり詰め込み、翌日覚えきれてないものをポロポロとこぼしながら学校に行ってテストを受けていた。そりゃ良い成績になる訳がない。

 ところが大人になった今、数あるドラマの中でも欠かさず視聴しているのが大河ドラマだから人生は不思議だ。あの頃の自分に歴史は面白いぞって教えたいと切に思う。

 学生時代の私の脳内に無理やり詰め込まれていたその人物は、大河ドラマでは主人公だ。
 人間らしい苦悩や喜びのある生涯の軌跡は時代は違えど胸を打つし、史実をもとにしているため、観終わったあとにWikipediaやネットで検索して、その回の描かれ方と史実を比較するのも楽しい。

 大河ドラマは、当たり前だがおおよその展開はすでに決まっている。それゆえに描かれ方を楽しむドラマだと私は思っている。

 例えば、昨年の『麒麟がくる』では、序盤は主人公明智光秀と織田信長の関係性(平たくいうと仲良しっぷり)に、

「このまま〝本能寺の変〟は起こらないのではないか?!」

 と割と真剣に思っていたが、やはり〝本能寺の変〟は起きた。

 だが起こるべくして起こってしまった〝本能寺の変〟は、これまでの「明智光秀の裏切り」のイメージではなく、おかしな言い方になるかもしれないが、私的には最終回が一番〝信長の十兵衛(明智光秀)への愛〟を感じた。


 今年は『青天を衝け』が放映されている。

 吉沢亮さんが渋沢栄一を演じているのだが、吉沢さんの大きな瞳はまさに日本の未来を見据える雰囲気で、次から次と様々なことに関わり壁を乗り越えていく姿を観ていると勇気づけられる。

 前半の幕臣となるまでも面白かったが、明治期に入ってからの近代日本の礎を築くためにその曇りなき眼(まなこ)で邁進する姿は、毎度胸が熱くなるのである。

 ドラマの中で彼は決して妥協しない。忖度などしない。

 こんな人物が現代社会に居たならば!

 そう思わせるパワーが漲っている。新一万円札の顔である偉人をこんなにも魅力的な人物として描いている。だから大河ドラマは面白い。

 ドラマ好きのあなた、大河ドラマを観ていないなら騙されたと思って是非一度視聴してみてほしいと思う。『半沢直樹』とかが好きならば、特に今年の大河は面白く感じるのではないだろうか。


おわり

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