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本とのつきあい

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本に埋もれて生きています。2900冊くらいは書評という形で記録に残しているので、ちびちびとご覧になれるように配備していきます。でもあまりに鮮度のなくなったものはご勘弁。
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2022年7月の記事一覧

『認知バイアス大全』(川合伸幸監修・ナツメ社)

『認知バイアス大全』(川合伸幸監修・ナツメ社)

「バイアスがかかる」という言い方を、近年よく聞くようになった。私も、物事の説明に便利だと思い、使うことがある。自分の思い込みをはじめ、他人の影響などにも基づき、適切な判断が阻害されることをいう。本書では、論理的な思考ができなくなること、という点で定義しているように見える。
 
認知が歪み、偏る。それは、どこかやむをえない錯覚も含まれるのかもしれないけれども、私たちが知らず識らず、「自分は正しい」と

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『りんごの木を植えて』(大谷美和子作・白石ゆか絵・ポプラ社)

『りんごの木を植えて』(大谷美和子作・白石ゆか絵・ポプラ社)

児童文学である。文字も比較的大きく、行間もあり、ふりがなも十分打ってある。図書館でこれを手に取ったのは、もちろんその題名による。ルターの言葉だとよく言われている、あの言葉をモチーフにしていることが、明らかではないか。
 
主人公は、みずほという五年生になったばかりの女の子。二世帯住宅で暮らすが、食事や生活は基本的に分離しているらしいことが、冒頭から分かる。場面を描くだけで、環境を説明してしまうとこ

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チャールズ・ハッドン・スポルジョン

チャールズ・ハッドン・スポルジョン

2022年の半ばを迎えたが、私は例年元日から、黙想用の本を決めて一年間続けるようにしている。自分の思いつきを中心としてはいけない、という戒めからであるが、それ以上に、すぐれた先人の黙想に従ってみるということの意義を、重視するからだ。
 
最近は、加藤常昭先生のものも何年か続けたが、今年からは懐かしいC.H.スポルジョンの『朝ごとに夕ごとに』を見つけて、それを読んでいる。一日ふたつなので、慣れるまで

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