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「お互いが自分たちのことしか知らずに話を進めていた」

AIに奪われる代表的な職業として、よく会計士があげられます。

一度、公認会計士が約半数、AI研究者が約半数で、「会計士の仕事はAIに奪われるのか」というディスカッションを行いました。

最初は、まったく話が嚙み合いませんでした。

なぜ、話が嚙み合わなかったのか。その答えは、恥ずかしながら、お互いが自分たちのことしか知らずに話を進めていたからです

会計士の方々は、AIと呼ばれている技術でいま、何ができるのかわからずに、「自分たちの仕事はなくならない」と主張していました。

一方、AI研究者たちも、会計士が実際にどのような仕事をしているのかをほとんど知らずに、「仕事がなくなる」と主張していたのです。


そこで、話を嚙み合わせるために、実際に会計士の仕事を一つひとつうかがい、それぞれについて、「これはAIでできる」「これはAIではできない」と振り分けていきました。

すると、AI研究者が知らなかったような、人と人との関係性が重要な仕事がたくさんあり、会計士の「作業」は代替できても、会計士”自体”をAIが代替することがいかに難しいかがわかってきました

   大澤正彦(AI研究者)

PHPオンライン衆知


私の職場でも似たようなことが起こっている。

私はITスキルがあまり高くないので、負け惜しみもあるのは自覚してるけど、それにしても、目先の便利さだけを過大評価するのは、危険を孕んでいると感じる。

この記事にあるように、「作業」と「それ以外の部分」を分けて整理して、仕事の本質をよく検討する必要があると思っている。


「業務改善」とか「DX」といった大義名分もあり、ITスキルのニーズが加速している。

確かに、何も考えずにひたすらデータを転記するだけの入力作業のような「作業」は、RPAを積極的に取り入れた方がいい業務改善だ。

RPAは高度なITスキルを持った人でないと対応できないのかなと思うけど、Excelのマクロ機能であれば、興味や趣味の延長でできてしまう人もいる。

マクロ機能までいかずとも、Excelの数式で、一気に作業が短縮できることもたくさんある。

使えるものを使って、どんどん駆使して、残業しなくてもいい働き方に変えていくのは大歓迎だ。


ただ、既存の作業を効率化していく場合に、それまでのやり方を全否定するのは注意が必要だと思う。

方法を変えることによる問題が潜んでいる可能性があるから。


私はExcelマスターでも何でもないので、あくまで個人的な感覚だけど、Excelを使って新しい作業シートを作る時やプログラミングをする時、実装する前に、全体像の把握、作業手順の簡素化、改修のしやすさの検討は無視できないと思っている。


私の職場でも、「こうしたら楽になると思います」と提案してくれる人たちがいるけど、作業手順の簡素化に重点を置きすぎて、漏れている内容があったり、人の判断が必要なプロセスを無視していたり、例外を見落としてしまう流れになっていたりして、「そのままでは使えないな」ということがある。

少し意地悪な言い方をすると、改善提案する人は、スキルの披露が目的になっていることがある。しかも、作った人は自信を持っていることが大半なので、スキル以外の問題点を指摘するのは気を遣う。


「Excelはよく分からないし、今までのやり方を変えたくないから」という理由で頭ごなしに業務改善を否定する態度は良くないけど、「Excelはよく分からないから、こんな改善提案してくれるなんてすごい。ありがとう。」と中身を検討せずに受け入れるのもあまり良くないと感じている。

「その作業で何をするべきなのか」と「技術やスキルで何ができるのか」は、分けて考えることが、本当にポジティブな業務改善なんじゃないかな。



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