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「あなたからメール来るの嫌なんですよね」と言われた夜。私は組織のミスを謝る担当だった。

\連載企画の1発目!/

連載の勝手がわからないのでとりあえず書いていく。今回は、世の中にあるあるな理不尽話。
この話をここで書いて、あの時の辛く切ない気持ちを成仏させていく。
今回はどんなダンスを踊るのか。

筆者の自己紹介↓

1.プロローグ

「貴方からメール来くるのもういやなんですよね。毎回毎回、謝って対策してまたミスして。もういい加減にしてもらえますか。何回目ですか?!」

これが、私のミスであれば私は心底反省できたが、ミスを繰り返しているのは、私があった事もないパートナー会社の社員さん達だった。それを取りまとめているのはエンジニアの部門だった。

でも、自分の案件だから、、、私は声を絞り出してお客様のお怒りに、
「大変申し訳ございません」と頭を下げ続けたのだった。

2.お客様上層部に悪い意味で「マーク」されていた案件だった

私は、大手SIerのソリューション営業として、お客様の課題に対しての提案を行う仕事をしていた。今回の案件は、先輩社員が数年前に受注した半期で億規模になる案件だった。

具体的な内容としては、お客様先では部署のリソース不足に対応するために、業務委託でメンバを抱えていたが、その委託の配属部署がいくつかにまたがり出した事と、委託人数が膨らみすぎた事で、管理が行き届かなくなり、また俗人化の発生や、ドキュメントなどの未整備などの課題もあり、お客様での管理工数が膨らんでいるため、うちに管理業務を支援して欲しい。という案件だった。

それは、1年ほど前に先輩社員が受注したもので、私が引き継いでいた。
ただ、この案件はお客様の上層部からはとても悪い意味で「マーク」されていた。

元々の委託費用に加えて、うちが入ることで、管理工数としての費用が入り、体制費用自体は、お客様から見ると値上がりした状態だったので、半期での金額の大きさに加えて、以前よりも金額が高くなっているので、うちが管理に入ったメリットを早急に出してほしいという要望が続いていた。

3.見える化したら、見えてはいけないものたちが、次々に見えてきた。

私は、なぜ効率化などが進まないのか着任前は疑問であったが、エンジニアに事情をヒアリングして、ことをよく理解した。

うちがコントロールすることになり、今まで管理できていなかったものを数値化、見える化したら、見えては行けないものたちがたくさん見えてきてしまったのだ。

本来であればやっておかなければならない申請関係や、作成をしておかないといけないドキュメント関係、リスクヘッジのために取らないといけない冗長体制、セキュリティ面を考慮したダブルチェック体制など、各業務を委託者として請け負うには、あまりにも脆弱で危険をはらんだ体制だったのである。

少なからず、うちのような大手IT企業が請け負う際の作業品質には到底届いていなかった。
その整備を優先せねばならず、効率化などのプラスアルファの提案にまで、工数を割くと赤字案件になってしまうような状態であった。

4.一報は金曜日に。「またですよ、今回は貸与PCを破損したらしいです。」

うちの改善工数を食っていたのはそれだけではなかった。
パートナーの作業ミスだ。
今までは、「間違えてしまいました。」の一報をお客様担当者に連絡するだけだったようだが、うちが管理し見える化を進めた結果、その辺の数がしっかり管理され、見える化してきてしまった。

コピペミス、システム名を間違えたままメール送信、メールの宛先間違い(同じ苗字で名前の漢字が一字違いの人だった)など、細かいものが報告として上がるようになったのであった。ミス一つは小さいが、重要な根幹となる業務のトリガーメールだったりしたので、そのミスがお客様先の社内連携を阻害してしまい、対応に遅れが出るなど、影響はそれなりにあった。

その度に、私は作業ミスの内容、要因、影響、対処法を連絡し、謝罪を行うと同時に、対策書をPPTに起こして社内の事業部長レビューを通し提出した。
また、影響範囲の大きさによっては客先のマネージャークラスがアサインされたMTGをセッティングさせていただき謝罪を行うのであった。

そんなことが、ある月に立て続き3件起きた。3件目がタイトルにある通り、客先の貸与PC(作業PC)を段ボールの上に載せて運んでいて、つまずいた際に、慣性の法則に従って、PCだけが投げ出され、破損し使い物にならなくなったという報告であった。

5.「貴方からメール来るの嫌なんですよね」

このPC破損の謝罪の連絡をした時に、うちとやりとりをする窓担当になっていたお客様から言われた言葉だった。当時、私は2年目だった。流石に、自分でコントロールすることが難しい範疇で起きるミスに対して、謝罪を重ねることも、お客様からお怒りを受けることも、私にはこたえていた。

「申し訳ございません、弊社に管理者としての役割を期待いただいている事は、重々承知でございます。また、今月にこういったご連絡が重なっていることの意味も、重々理解しております。改めまして社内で対応を検討させて頂きお話させていただければと思います。大変申し訳ございません。またご連絡させていただきます。」

2年目としては、苦しさ悔しさ、苦々しさを抑え、よく謝罪できたのではないか。

6.疲弊する現場を見て

疲弊していたのは、私だけではなかった、現場のメンバが一番きつかった。
元々からいるパートナーの方が客先と仲良く関係を作っており、ミスがあれば報告と対策をいうのは自分たちで、効率化に時間を割いてほしいという、客先の期待と、視線を浴びながらも、現状のカオスになっている膨大な業務整理に追われていたのである。

だから、私は、次回以降も謝罪を一生懸命頑張った。
彼らの苦労を見たら、私に出来ることが謝罪ならそれを頑張ればいいじゃない。

現場のメンバは言った。
「また、やるんすか、謝罪のMTG 。もういいっすよ。」
「報告書レビューが明後日とか無理っすよ、じゃあ逆に作ってくれます?」
「パートナーから対策が出てこないんで、報告書なんて作れないっすよ。」
「もうやる気ないっすよ」

私は「私が言いにくい、謝罪の第一報をバッチリ入れておくので!お客様にも、うちだけが悪いように映らないように、うちの努力が少しでも伝わるように会話してみます!」と現場に笑って見せた。何か、不穏な雰囲気を変えたかったのかもしれない。

現場のメンバが不貞腐れた中にも、少し驚いたような表情をしたのを覚えいる。

7.オフィスでダンス

今回話をしたメンバとは、今はそれぞれ全く違う仕事をしているが、今でも強い絆で結ばれている。メンバで集まって、その当時の話をすることはないが、お互いが、きつい時期を一緒に乗り越えた戦友として思っているからだと思う。

本日のダンスはいかがだっただろうか。

終わり。



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