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【詩】An Old’s Sentimental Song       

                     (柄にもなく…)
捨てたわけじゃない、だがいつの間にか
いなくなった

手のひらいっぱいの金平糖が
星に変わると信じていられたあの頃

黒葡萄の瞳(なんて陳腐な比喩!)
少し癖毛のショートレイヤ

上背ばかり不格好に伸びた私、の
ミューズ

気づかなかっただろう
教室で交錯する視線の向こう側に
いつもあなたを置いていた

気づかなかっただろう
私の歌声はいつもそこで止まる
あなたの声で聴きたかった
渡されなかった手紙のフレーズ

あなたも下りているのだろうか
我々が等しく下るこの坂を
坂を下り切ってもしあなたに会えたら
言えるだろうきっと

私は未だ
恋を知らない

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