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#19  「トマトはトマトのままでいい」「あなたはあなたのままでいい」私が子どものとき言ってほしかったこと。

本は言ってほしかったことを言ってくれる

私は小さいときから、本を読むのが好きだった。
本好きの始まりは、両親がしてくれた絵本の読み聞かせ。

そして、大きくなって自分で本を読むようになってから気づいた
読書の魅力の一つは、
自分が言ってほしかった言葉を言ってもらえるということ。

しかも、本は、自分が開きさえすれば、自分が言ってほしいときに
言ってほしい言葉を言ってくれるのだ。

だから、子どものとき、本を読んでいて、それに気づいたとき、
私は人生の道標(みちしるべ)を見つけ出したような気持ちになった。

大丈夫、どんなにつらいことがあっても、私はきっと生きていける。
だって、本が私を慰めてくれるでしょう。
だって、本が私を励ましてくれるでしょう。
これからどうしたらいいか、教えてくれるでしょう。

つらいときは本を読んで下さい

中学校の卒業文集の先生からの寄せ書きメッセージで、
つらいときは本を読んで下さい、という言葉があった。

そのときはよく分かっていなかったけど、
高校生以降、その言葉の重みがより実感するようになった。

言ってほしいときに、言ってほしい言葉を言ってもらうことは難しい。

でも、本を開けば、本が言ってくれる。
自分が言ってほしかった言葉を言ってくれる。

どんな言葉を言ってほしいのか、
わかっているときはもちろん、わかっていなくても大丈夫。

本を読んでさえいれば、出会うことができるから。

もしかしたら、それが、自分で自分を支える、
自分で自分のご機嫌をとる、ということなのかもしれない。

だから、私は今日も、これからも本を読みます。

さて、今日は、私が子どものときに言ってほしかった言葉と本の中で出会ったことについて書きます。

トマトがねぇ トマトのままでいれば ほんものなんだよ

この言葉は、姉の大好きなあいだみつをさんの本を読んでいたときに出会った言葉です。
初めて下の詩を読んだとき、心が、体が、ふるえたのを覚えています。

「みんなほんもの」  あいだみつを

あなたはあなたのままでいい、あなたのままがいいんだよ

私は、この詩を読んだとき、「あなたはあなたのままでいいんだよ」「あなたのままがいいんだよ」って言われたかったことに気が付きました。

小学生の高学年のときでした。
自分はアトピーで、あの子はアトピーじゃない、とか、
あの子は私よりもっと可愛い顔をしているとか、
周りの友達と自分を比べて悩んでいたときだったからです。

でも、「じゃぁ、他の誰かになりたいの?あこがれの〇〇ちゃんになりたいの?」と自分に問えば、
「そういうわけじゃない。だって、私にも好きなところはあるもの」
そんなことを考えていたときでした。

そうだよ。トマトはトマト、メロンはメロン。
トマトがメロンになろうとするから、おかしくなるんだ。

トマトはトマトでいいんだよ。メロンはメロンでいいんだよ。

トマトはどうがんばったって、メロンにはなれないでしょう。
でも逆に、メロンだってトマトにはなれないでしょう。

そして、トマトにはトマトだけのいいところが、
メロンにはメロンだけのいいところがたくさんあるでしょう。

そう、私だって他の誰かになれっこないし、ならなくていいいんだよね。
私にだって、いいところはあるもの。
私は私でいいんだよね。

トマトのほうが好きな人もいるし、
メロンのほうが好きな人もいるし、
両方同じくらい好きな人もいるだろうし、
私のことだって好きでいてくれる人はいるんだし。
私は私でいいんだよね。

そんなことをこの詩を読みながら思っていました。
とっても心が慰められたのを覚えています。

この詩との再会

この詩はずっと私の心の中に残っていたのですが、
大人になってから再び、
「育てたように子は育つ」という本の中で出会いました。
佐々木正美さんの別著「子どもへのまなざし」に感銘を受けていたため、手に取った一冊です。

この本の中で、佐々木正美さんは、こう言っています。

 私たち大人だって、自分に自信がないとき、あるいは自分が子どもだったころに自分の親や教師から、それでいいよと認められ愛されてきた経験がなければ、こういうきわめて当たり前なことばの、本当の意味にきづかないものである。そして、いつもいつもそれではダメ、こうでなければダメ、と言われ、トマトじゃダメだ、メロンになれ言われ続けてきたのでは、子どもたちに「そのままでいいがな」「トマトのままでいいがな」と言ってやることはできないのかもしれない。
 でも、努力して、トマトのままでいいよ、トマトのままがいいよと、心から言ってやれる大人になりたいと思う。そうすれば子どもたちは、それぞれがほんもののまま輝くから。

相田みつを いのちのことば「育てたように子は育つ」相田みつを 書、佐々木正美 著

 私はこの文章を読んだとき、涙が出そうになりました。子どものときに初めてこの詩に出会ったときの気持ちを思い出したからです。大人になった今でも、周りの人と比べて落ち込んだり嫉妬したりすることはあるけれど、そうした感情を消化してエネルギーにできるようになってきたとは思います。
 そして、子どもに恵まれた今、私は、自分の子どもには「あなたはあなたのままでいいよ」「あなたのままがいいんだよ」「あなたがだいすきだよ」と、いっぱい言ってあげたいと、改めて強く思いました。子どものとき、切実にいってほしかった言葉だからです。そして、それは、子どもがつらいことにぶつかったとき、必ず心の支えになると思うからです。

最後に

私がいまそんな風に心から思えるのは、
この詩に出会ったおかげだけではありません。

直接言ってもらうことはなかったけれど、
人と比べずに私の良さやがんばりを認める子育てを
両親がしてくれたおかげだと思います。

だから、両親には改めて感謝しています。
私もそういう子育てがしたいです。

読んで下さるあなたがいるから、今日もnoteが書けています。 またお時間のあるときに見に来てくださると嬉しいです。