【メルボルン便り】「ほら。散歩行くよ!しばらく、おでかけできなくなるんだよ!」と言って散歩したのは、ちょうど1カ月前。

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北海道苫小牧市でアートを通して地域や社会と関わる活動に取り組んでいるNPO法人「樽前artyプラス」。メンバーでオーストラリア・メルボルン在住の小河けいが、コロナ禍でロックダウンが続くオーストラリアの日々を綴っています。

樽前artyプラス   ★ロックダウンの日々「オンライン授業編」

ロックダウン(ステージ4)が続く、メルボルンです。いつのまにか花も盛り、春です。

オンライン授業のサポートから解放される土曜日、久しぶりに少し離れたスーパーマーケットに車で買い出しに行ってみた。離れた…といっても車で5分ちょっとのところ。車は車で…うちにある2台のうち夫の通勤用のは5カ月以上続いている在宅勤務のせいでバッテリーが上がったままほったらかし、動くはずのもう1台に恐る恐るエンジンをかけて発車。

3週間前の日曜日にも、同じスーパーへ行こうとしたのだけど、ロックダウンがステージ4になった初めの頃だったせいか、人も車も全然いなくて、いな過ぎて恐ろしくなって、引き返した。自宅から目的のスーパーまで外出が認められている範囲の5KM以内かどうか前もって確認したはずなのに、不安になった。4年近く住んでいるとはいえ、やっぱり異国、悪いことをしていなくても検問とか本当に怖い。

オーストラリアに越してきて数週間くらいの頃に、パトカーと救急車と消防車に囲まれたことがあって…けっこうトラウマ。スーパーでほんの数分買い物をして駐車場に戻り、車のドアに手を伸ばしたところ…ポリスに肩をトントンされた。

何事?と周囲を見ると、パトカーと救急車と消防車に囲まれていた。買い物中、サイレンが聞こえて、物騒な町だな~とノンビリ感じていたけど、まさか自分に向かって集まってきていたとは!!2才の息子を後部座席に残したままなことが違法だった。誰かが通報したらしい。当時は、英語も今以上に分からないし、自動車免許もまだ日本から持って行った国際免許証で、しかも妊婦で、ポリスも気の毒に思ったのか、注意を受けただけで、無事に家に帰ることができた。

けど、そこから数カ月、郵便受けを確認するたびに多額の罰金の請求書が届いているのではないかとビクビク暮らしたのが、今でも笑い話には出来ないほど心に残ってる。自分は何を知らないかさえ知らないところで赤ちゃんを産んで子育てをするんだ、こりゃあ大変なことになったと思った。

自分は何を知らないかさえ知らないところにいる…この感覚はあの時以来、常に自分の中にある。それが日々を用心深いものにしている。

考えてみれば奇妙なことだ。慣れた土地でもそうでなくても、誰だって、何を知らないか知らないのに、異国で暮らすまでそれを意識してこなかったなんて。

それは、ともかく、用心深く暮らしているところに、細かな決まりの多いロックダウン!!用心も深まるばかり。
ロックダウンは、そう呼ぶかどうかも、その内容も、国や地域でずいぶん違うようですね。メルボルン首都圏のロックダウン(ステージ4)はどんなものかっていうと…

・食料品や物資の買い物及びサービス、医療や人道的理由、運動、自宅でできない勉強や仕事などの4つの理由による外出を除き、原則自宅滞在。
・買い物は自宅から5KM圏内、1日1回1つの世帯から1人だけ。
・運動は自宅から5KM圏内のみ可能、1日1回1時間まで、本人ともう一人まで可能。
・夜間外出禁止(20時~翌5時。仕事や医療、介護のための外出は適用外)
・個人宅への訪問は禁止。
・公共の場での集まりは家族を含め2人まで。
・学校はリモート。

などなど。細かい。さらに細かな決まり…マスクしないと罰金200ドルとか…に加え、様々な例外もある。金銭的な補助もある。いろいろ細かいけど、シンプルにすると、必要最小限の買い出し以外はとにかく家にいろってことね。用心が深まってる私からしたら、おおせのままにするだけだ。

細かい例外は、精神的身体的に傷つくリスク高い子どもや医療従事者の子どもへ配慮があったり、結婚していないカップルや親が離婚している子どもへの配慮があったり。その他にもいろいろ。

賛否はあるのだろうけど、前回のロックダウン(ステージ3)をより制限を厳しくしながら、自国や他国で問題の起きている点には配慮していて、頼もしいコロナ対策だな、と私は思った。何より、すごいなって思うのは、そのスピード。

「ロックダウン(ステージ4)に入ります。今日の夕方6時から」

そんなふうに発表した。政府からの発表の日は決まっているから、数日前からその内容について新聞やテレビで予測が飛び交ってはいて、それなりに覚悟はしていたけど…ひと晩くらいは準備期間があると思っていたので、びっくりした。したけど、そのスピード感にも頼もしさを感じた。

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発表の直後。2時間後には外出制限が始まると知り、残された時間(笑)は、家族そろっての散歩を楽しんだ。それはちょうど、春の訪れがちらほら見え始めた頃だった。

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苫小牧市美術博物館の広報紙『びとこま』で『メルボルンるんだより』を書いています。『びとこま』は子ども記者たちが中心になって作っていて、子どもにも大人にも楽しめる記事が盛りだくさんです。夫の転勤でメルボルンで生活するようになって、もうそろそろ4年。異国で暮らすと驚くこと知らないことばかり。日常のささやかな発見や驚きを紹介しながら、読んだ人がふだん当たり前と思ってることに「あれ?この当たり前は本当に当たり前かな?」と「?」をもつような「メルボルンるんだより」にしたいと思っています。

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