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【メルボルン便り】「ミーティング、あした、ある?」「つぎはいつ?」「あー、ミーティングたのしみだな~」と毎日、何回も言う娘は3才。

北海道苫小牧市でアートを通して地域や社会と関わる活動に取り組んでいるNPO法人「樽前artyプラス」。メンバーでオーストラリア・メルボルン在住の小河けいが、コロナ禍でロックダウンが続くオーストラリアの日々を綴っています。

樽前artyプラス 

ロックダウンの日々「オンライン授業編」

ロックダウンの日々「春の散歩編」

9月最初の週末、すっかり暖かく春めいて、ロックダウン(ステージ4)は解除されていないけれど、スーパーで見かける人、犬の散歩をする人、公園で立ち話する人たちも、自分自身もなんとなく緊張の解けたような、予定通りにいけば規制が緩和される1週間後への期待感にワクワクしているような…平たく言えば、ちょっと気の緩んだムードのところへ…ガツンときた!州政府の発表。

どうやら、規制の緩和は、かなりゆっくりのようで...美術館に行きたいな、とか、久々にデパートにも行っちゃおうかな、とか、思っていたことができるようになるのは…まだまだ1カ月以上先のよう。「のよう」というのは、規制緩和の行程は段階的で、次のステップに進むには、予定日までに新規感染者数〇〇人以下が〇〇日続いたら、と相当に厳しい目標値が明示されているから。

ちょっと…厳しすぎる印象。春らしくなった気候と「あと一週間乗り越えたら」という気持ちをくじかれて…もっともっと切羽詰まった状況や心境の人もいると思うし…ルールを守らない人がたくさん出てきてしまうんではないかなあ?と思う。けど…どうなることやら…

「重要なことは、クリスマスまでに州全体をCOVID Normal(新規感染者が28日間無い状態)にすることです。家族でのバーベキュー、夏休み、ビーチへの旅行を実現したいと考えています。」と州首相。まだまだ先は長い。

幼稚園や小学校の通学再開も来学期の途中から、それも一部の学年から段階的なスタートになりそう。


と、いうことで、我が家の小学1年生の息子も幼稚園3歳児クラスの娘もおうち学習が続いています。

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幼稚園のリモート学習…最初のロックダウン時の2学期には小学生の息子のオンライン授業のサポートに付き切り過ぎて、完全にサボっていたけれど、少し慣れてきたので、今学期は幼稚園にもできるだけ参加させるようにしてきた。これが、また、小学校とはぜんぜん違う。

もちろん、幼稚園によっても違う。小学校によっても違う。というか、先生によって違う。これは、オンラインだからではなくて、どうやら、もともとオーストラリアでは先生によって内容や進行はずいぶん違うらしい。

娘が通うのは、私立幼稚園の3歳児週3日クラス。そのおうち学習は、息子の対面オンライン授業とは違って自習(自習!!)スタイル。


毎朝、web上に今日の時間割がupされ、そこにはおやつやランチ、お昼寝も組み入れられていて、その通りにやれば(やれば!!)、家にいても規則正しい生活ができるようになっている。

で、モーニングソングで始まってグッバイソングで終わるその時間割の中身は、工作、絵本の読み聞かせ、歌にダンス、科学実験、ゲームなど日替わりで、もりだくさん。それぞれ時間割上に動画がupされている。

これを毎日時間割通りにやっている家庭があるとは思えないけど、テレビやYoutube三昧の生活になることに不安を感じている親には役立つツールになっていると思う。

いやいや、待てよ。時間割上にupされてるのも、やっぱり動画じゃん!って思うけど、これが…よくできているのです。

何といっても出演者(笑)が、いつものクラスの先生。そう、先生はオススメ動画や出来合いの教材ビデオをupするのではなく、動画を自作してくれているのです。

明らかに画面の外のYoutubeか何かを見ながら、それに合わせて歌い踊る動画もあって、ちょっとぎこちない出来のものもあるけれど、そこにいつもの先生がいることが娘をハッピーにしています。

さらに、よく考えている先生なんだな~と思わせるのが、自分だけでやっていないところ。歌もダンスも工作も実験も、大人の先生だけがやっているのを見せられても「じょうずだね」「すごいね」で見て終わりになってしまうと思う。

そこに先生は、我が子…たぶん6才と8才くらいかな?を登場させて、子どもが取り組む様子や親子で一緒にする様子を見せた。これが、正直、親にとっては負担だけど、娘たちにとってはいい。

リモート学習になって、我が子を教材動画に出演させている先生は他にもいて、これは最初の頃、一部の親をすごく怒らせた。「給料もらって、我が子の世話してる!」って。

ロックダウン生活にもリモート学習にも慣れてきたせいか、そういうことを表立って言う親はいなくなってきたけど、あの時、怒った人の気持ちもわからなくはない。

みんなロックダウンに不安を抱きながら、それぞれに、仕事を休まなくちゃいけなかったり、子どもを見ながら在宅勤務しなくちゃいけなかったり、仕事に出るためにシッターを雇わなきゃいけなかったりする中で、動画の中の先生は、楽しく子どもを世話しながら楽しく働いているように見えて苛立ったのだろう。

けれど、私は知っている。楽しげに見える動画を作るのは簡単ではないことを。

それに、動画を見る子どもにとっては、知っている先生が出ていることも、そこに自分に近い年頃の子が出ていることも、洗練された動画ではないことも、ボケっと動画を見るだけで終わりにしない、やってみようと思わせる、よい効果になっているように思う。

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もちろん、これは、子どもの年齢や性格、先生と子どもたちの信頼関係にもよるとは思う。実際、6才の息子は、体育の先生ファミリーより好きなスポーツ選手によるレクチャー動画から学ぶ方がずっと身になっている様子。

リモート学習を続けながら、日々、進化する幼稚園の時間割。今では、親たちが先生に送る子どもたちの動画や画像もどんどんupされて、まるで先生ファミリーとクラスの子どもたちと親たちがみんなで今学期のプログラムを作っているよう。


そして、リモート幼稚園はそれだけじゃない。娘の何よりの楽しみ、それはクラスのオンラインミーティング。

「ミーティング、あした、ある?」「つぎはいつ?」「あー、ミーティングたのしみだな~」と毎日、何回も言っている(笑)

リモート学習が進化し続けても、週1回、朝の30~40分、先生と一緒に歌ったり、ゲームをしたり、お友達にお気に入りのおもちゃを見せ合ったり、たとえ画面越しであっても「会う」ことが大事だと実感させられるひと時。

家ではメイン日本語、たま~に英語の娘も画面に向かって、英語だけであーだこーだしゃべっていて、幼稚園で先生やお友達と一緒の時にどんな様子なのかを垣間見せてくれる貴重な時間になっています。

◇            ◇

苫小牧市美術博物館の広報紙『びとこま』で『メルボルンるんだより』を書いています。『びとこま』は子ども記者たちが中心になって作っていて、子どもにも大人にも楽しめる記事が盛りだくさんです。夫の転勤でメルボルンで生活するようになって、もうそろそろ4年。異国で暮らすと驚くこと知らないことばかり。日常のささやかな発見や驚きを紹介しながら、読んだ人がふだん当たり前と思ってることに「あれ?この当たり前は本当に当たり前かな?」と「?」をもつような「メルボルンるんだより」にしたいと思っています。

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