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なんでも買えた私が唯一買えなかったもの 〜結婚記念日に寄せて〜

2018年11月17日に入籍、結婚式を挙げ、夫婦となった。

365日後の2019年11月17日ぴったりに第一子となる娘が生まれ、人生とは本当に面白いものだと身をもって実感している。

そんなわけで今日2020年11月17日に、私たち夫婦は2回目の結婚記念日を迎え、娘は健やかに1才となった。


指折りの記念日が重なっていることで、実家や義実家から通常のイベントの倍のお祝いが届き、テンションがあがる。小さい頃はクリスマスやお正月と誕生日が重なった人はお祝いの回数が一回分少ないのではと勝手な心配をしたこともあったが、通常の倍楽しめるものかもしれないと知った。


二度目の結婚記念日に寄せて、実家から食器とティーカップのセット、義実家から大きな花束をいただいた。そんな中さらに娘に1才の贈り物を持ってきてくださって私としてはこの上ないくらいしあわせだったのだが、さらに夫は両手に抱えるほどの大きな花束を持って帰ってきてくれた。


結婚式の日に話した話を、少しだけしようと思う。

残業120時間越えのバリキャリウーマンだった私はお金を稼いでも使う時間がなく、欲しいものはだいたい自分の貯金で買えていた。指輪などのジュエリーも欲しいと思えば自分で購入するタイプの人間で、彼氏や夫に対してはあくまで「プレゼントはお気持ちでいいよ」なんていう、どちらかというと可愛げないOLだった。(OLというかテレビディレクターというか)

欲しいものが高額だと買ってもらうのに気を遣うし、気を遣った挙句 別れようものならモノに罪はないのに「元彼からの贈り物」というレッテルで持ち歩きにくくなるというのが私の持論だった。だから安かろうと高かろうと自分で買う、これは独身時代の私を生きやすくしていることでもあった。

そんな私でも、どうしても買いにくいものがあった。結婚を機に、夫に買ってほしいもの。高額なジュエリーでもなく、はたまた「愛」だなんだとお花畑論を語るつもりもない。


それは、花束だった。

だいたいの生花店では5,000円もあれば立派な花束が買える。現金な話をするとドラマに出てくるような100本の赤い薔薇の花束でさえ、一見とても豪華なプレゼントのような気がするが、それでさえ薔薇1本が300円だとして意外と30,000円で買えてしまう。(宝石と比べたら安い)

それでも、自分で自分に花束を買うのはどうにも気乗りがしなかった。……花は好きだから部屋には飾りたい。生花店で花束をお願いすると絶対に「贈り物ですか?」と聞かれる気がするし、聞かれなかったとしても自分で頼んだラッピングを自分でほどくのは気が引ける気がした。花束だと簡易包装といっても限界があるだろう。


「記念日には花束をお願いします」と結婚式のときに手紙で読んだ気がするが、夫は 毎週のゴミの日はすっぽかしても花束の約束は覚えていてくれた。

結婚2年目ならまだ忘れないでしょうと言われる気もするが、世の中忘れる人は何回目の記念日だろうとすっぽかすものだと思うので、覚えていてくれた今日という日に感謝したい。


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結婚しなくてもしあわせになれる選択肢がたくさんできた世の中だけれど、私の場合は、夫と結婚してとても良かった。

結婚3年目を穏やかにスタートできたことが嬉しい。人生で今が一番しあわせだなぁとじんわり心を温めながら、これからもこの「一番」を更新していけるように、あたたかい家庭を作りあげていく努力を惜しみなく続けていこうと決心する記念日だった。


2020/11/17 こさい たろ

娘の初めての誕生日、それから二度目の結婚記念日に寄せて。


頂戴したサポートは日々の撮影活動と個展開催費に充てさせていただきます。ありがとうございます。