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ホントに欲しいモノは何?

サービスを提供する側としても、働くヒトとしても、消費者としても学び・気付きの多い一冊。『暇と退屈の倫理学』國分功一郎著

狩りをする人が欲しているのは、「不幸な状態から自分たちの思いをそらし、気を紛らせてくれる騒ぎ」にほかならない。だというのに、人間ときたら、獲物を手に入れることに本当に幸福があると思い込んでいる。

「それって本当に欲しいものなの?」という問い。


売るヒトとして

メディアによる消費行動の煽り。
マーケティングとは何ぞや?という問い。
大学院ではその辺りを勉強しているわけですが。

どうやったら、ヒトの購買行動に繋げられるのか?
そこにばかり視点を合わせて、次から次へ潜在ニーズとやらを掘り起こして提案していく手法。

決して全てが悪いことではないのだけれど。

著書の中の、消費行動が絶え間なく続くのは、モノが多すぎるからではなく、モノが少なすぎるのだ。

という一説。とても感慨深い。

モノが溢れているから、次々にモノが欲しくなるのではなく、他人に作られた「楽しい・好き」で消費行動をするために、自分の好きなモノを見つけることができないのだという。

販売をする立場として、接客やVMDの手法によって、お客様の購買を促進することはできる。

けれども、プロの販売員としては、お客様が欲しいと言っても、『今日は買わずに一旦考えてみてもいいかもですよ』と冷静に判断する時間を提案をすることも必要だと感じる。

気晴らしなら、お金を使わなくてもできる。
本当に欲しいモノをお買い上げ頂いてこそ、信頼関係の構築につながる。

商売をしている以上、お客様からお金を頂くことは必要だけれども、そこの線引きは人として販売員である前に人として大切なんじゃないかなと思う。

もちろん、助言をしたうえで、お客様が購入するのであればいいのだけれど。


働くヒトとして

少し視点は変わるけど、

人事系の人間としては、自己判断のつきにくい若年層のメンバーに思うように行動してもらうことは、お客様をなんとなく買う気にさせること以上に簡単なことだと思う。

大学院では、黒魔術も習うし。

でも、本当にそんなことしてもいいのか?
煽って買わせたり動かしたり、それでも本当にいいのかな?

というのは、学ぶほどに自分への問いが深まる。

人事をしている以上、メンバーに1日でも1時間でも多くパフォーマンス高く働いてもらうことが必要。

でも、メンバーの内側からのキャリアアップではなく、勝手に作ったキャリアアップは違う。

やはり、彼らを本当に満たすモノを見つけ、チームと個人のwin-winを見つけるのがわたしたちの仕事だし、そこがフィットしているのかを気にかけ続けることが大切なのかなと思う。


買うヒトとして

"浪費とは必要を超えて物を受け取ること、吸収することである" "人は消費するとき物を受け取ったり物を吸収するのではない、物に付与された観念や意味を消費するのである"

価値以上を受け取るには、受け取る側の知識が必要で、知識のないものに上部の物を持っても、満たされる感情はないというのも納得できるところ。

憧れのあのヒトと同じモノを買ってみても、同じ量の知識やそのモノに対する思いがないと、その価値を同じように受け取って満たされることはないだろうし。

他の人にはなにも価値を感じないモノが自分にとっては価値のあるものの場合もあるのだと思う。

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例えば、友人と観光列車に乗るのが趣味のひとつ。
けっこうなお値段。

彼女はその値段以上に、観光列車を楽しんでいる。

私は観光列車にはあまり興味がない(全部同じに見える)。が、
私は普段は清楚な友人が、乗り換えでダッシュしたり、床に這いつくばったりして良く分からない撮影をしている姿を見るのが大好き(彼女は乗り鉄であり撮り鉄。)鉄オタたちの行動を見るのもとても興味深く楽しく愛しい。

観光列車代を払ってもお釣りが来るくらいいつも満足している。
超鉄分補給!

なので同じ趣味を共有しながらも受け取っているものは各々違う。

受け取る側が、他者の価値観で表層的な「物」を受け取らず、自分の中の共通価値を見つけるのがいいのかな。と思うなど。

学び
・本当に欲しいモノってなんだっけ?を考えよう
・提供する側も、受け取る側も知性を持とう。

・楽しむには知識が大切。
・人間的であるからこそ、動物的な感動ができる。


中盤難しくて、頭の中こんがらがったけど、時々読み返したい1冊。
次に読むときは、また違った視点を与えてくれそうな良本でした。

自分が今やりたいと思っているコトは、社会に作られた欲望かもしれない。
本当に私が欲しいものって何だっけ?

みなさまも是非!よい本です!



〜おまけ〜

甥っ子のコト

甥っ子たちとTVゲームをしていたときのこと。

私は何がなんでも勝ちたい。
姪っ子も負けたら泣きまくる。
でも、甥っ子は負けてもいつもヘラヘラ笑っている。

『ゲームに負けても悔しくないの?』
と聞いたところ
『かっちゃん、あのな、ゲームってみんなと楽しむためにやるもんなんよ』
と言われた日のことを思い出す。

彼は、狩りに行く理由がウサギが欲しいわけではなく、
狩を楽しみたいという、本当に自分が欲しいものを分かっている人なのだと思う。

当時、彼は小学1年生。超尊敬!











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子どもに教えられたこと

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