トルストイ「小さい悪魔がパンきれのつぐないをした話」を読んで

みなさん、こんにちは。トルストイの「トルストイ民話集 イワンのばか」に収録されている「小さい悪魔がパンきれのつぐないをした話」を読んだ感想を書いていきます。

あらすじです

貧乏な百姓が主人公です。ある日、朝飯を食べずに畑仕事に出かけた際、パンきれを一つ弁当に持っていきました。汗水垂らして畑仕事をし、昼食の時間になりパンきれを食べようとしましたが・・・

藪の下に置いたパンきれが無くなっていたのです。

百姓はそこらじゅう探し回ったり、服を裏返していきましたが、結局見つかりませんでした。

「まあ、いいや。誰かが食べたしても、その人が困っていたら仕方ない」

と開き直りました。井戸にある水をたらふく飲んだ後、再び畑仕事にかかりました。

そんな百姓の姿を見て、困惑しているものがいました。

それは

小さい悪魔です。

この小さい悪魔がパンきれを盗んだ犯人であり、藪の陰に隠れて様子を見ていました。百姓が悪態をついて、悪魔を呼び出すのではないか。と思っていましたが、上手くいきませんでした。

その出来事を悪魔の親分に話しましたが、親分はそれを聞いて立腹してしまいます。

「今回のようにな。お前の失敗一つが、いつか溜まっていくと、取り返しのつかないことなる恐れがある。つまり、我々の仕事が無くなり、生きていくことができなくなるのだ」

小さい悪魔が百姓のパンきれを盗んだのに、百姓は悪口などを言わず、ポジティブな考えをしていました。その出来事に対し、小さい悪魔が百姓に負けてしまい、リベンジすることなく、トボトボ帰ってきました。そんな小さい悪魔に対し、親分は一喝します。

「三年の期間をやる。それまでに、そのパンきれのつぐないをしてこい」

親分は再び、小さい悪魔を地上に追い返してしまいます。

小さい悪魔は親分からの罰を受けたくないので、必死に考えていきます。そして、色々と考えた結果、小さい悪魔は人間に化けて、百姓のところに住みつくようになりました。

そこで小さい悪魔は百姓にあることをしていきます。

沼地に穀物の種を蒔く

高い丘に穀物の種を蒔く

その実った麦をつぶして酒を作る

ということを教えていきました。

すると、百姓は貧乏から金持ちになりました。というのも、百姓が種を蒔いていた時、他の百姓の畑は実らず、枯れてしまったのです。

数年が経ち、小さい悪魔は親分の悪魔を地上へ来てもらいました。そのとき、百姓は多くの酒を金持ちの人たちへ振る舞わっていました。

「お前、何しているんだ。かえって、あの百姓を喜ばせているじゃないか」

「まあまあ、親分。よく見て下さい」

小さい悪魔に言われるがままに、親分は百姓をしばらく観察していました。すると、あることに気付きます。

一つは

百姓のほかに奥さんが給仕していましたが、彼女が酒をこぼしてしまいます。それを見た百姓は彼女に暴言や罵倒を繰り返していました。


二つは

貧乏で働いてもいない人が百姓の宴にのろのろやってきます。「自分も酒を頂けるのではないか」と心持ちした態度で椅子に腰かけました。
それを見た百姓は「仕事もろくにしていないくせに、あんな奴にあげてたまるか」と呟きます。

この二つの出来事を見て、親分の悪魔はニヤニヤと笑みを浮かべます。

「やるじゃないか」

「親分、ここからが面白くなるんですよ」

小さい悪魔はこの宴で酒を飲んでいる人たちを指差します。

彼らはお酒を飲んでいくと、気分が爽快になり、出まかせに喋り、陽気になっていきます。まるで狐のようにお互いをだまし合い、狡猾になっていました。

二杯目を飲むと、彼らは気が大きくなり、大声で怒鳴ったり、百姓を含めてとっつき合いの喧嘩を始めていきます。まるで狼のように意地悪く、暴れます。

三杯目を飲むと、彼らはくたくたになり、自分が何を言っているのか、何をしているのか。分からなくなっていました。まるで豚のようにわめています。

百姓自身も同じく酔いつぶれて、たちまち川に落ちてしまい、ずぶ濡れになりました。豚のように転がり、ぶうぶうとわめいています。

「よくやった。お前はおそらく、あのお酒に、狐や狼、豚の血を入れた。そして、彼らを廃人にした。そうだろう?」

「親分。私はあの百姓に、お酒の作り方を教えただけですよ。人間は誰でも、身体の内側に狐や狼、豚といった血が流れていると思うのです。廃人にならないのは、それらを身体の外へ出す出口がないんです。そこで酒などといった快楽のものを与えると、それらが溜まっていくのにつれて、マグマのように噴火し、廃人になっていく可能性がある。と考えただけです」

小さい悪魔がそう言うと、親分は「なるほど」とうなづきました。その功績を讃えて、小さい悪魔は上の位へと出世しました。。

感想です

この話に出てくる百姓を見ると、仕事以外何もせずに過ごしてきたのではないかと思いました。
まるで学生時代に勉強や部活しかしてなかった人が、大学や就職を機にお酒や夜遊びなどを覚えて度が過ぎてしまい、堕落した生活を送ってしまう。そんな感じがしました。

百姓は

お金を多く持っていい気になること

お酒を多く飲んで気分が晴れること

など、自分のさじ加減が分からず、それらを覚えたことで、おそらく内に秘めていたものが一気に爆発して人格などが変わってしまったと思います。

何事も一つのものに集中せずに、ほどほどに仕事して、息抜きできる趣味を覚えて、お酒といった夜遊びなども頻度を決めて、自分の心や身体のバランスを整えることが大切かもしれません。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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