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リュック・ベッソンの「ドッグマン」は最高に好きな映画だった

※ネタバレあり

結論から言うと、とっっっっても素晴らしかった。
個人的にはここ5年くらいで見た映画の中でベスト5に入るくらい好きだった。

リュック・ベッソン監督の作品は元々好きだったけど、WASABI以降の作品は観ていなかった。
今回久しぶりに観て、「えー!最高を更新してる!…じゃあちょっと遡って他のも観てみよ」ってなった。
あの独特の気持ちいいテンポ感とか、舞台の場面や夜の感じは確かにリュック・ベッソンだね。
いくら悲惨な話でも血が出ても、何故かベットリしないのが不思議。

あらすじを軽く書くと、

― 暴力的な父親のもとに生まれた主人公のダグラスは、少年時代、父に逆らって犬小屋に監禁される。

父が放った散弾銃で小指を無くし、脊髄を損傷した彼は、取り除けない脊髄の弾のせいで"歩く度に死に近づく体"になってしまい、車椅子で生活することになる。
負傷した際に警察に救出され、施設に入ると、そこで女優を目指す女性に出会う。
彼女から演劇のすばらしさや”役に入る楽しさ”を教わった彼は、大人になってからドラアグクイーンとして舞台に立つようになり、ヘアメイクで別人になることで現実の痛みから目を逸らす。

少年時代から大人になるまで、彼はずっとたくさんの犬に囲まれ、犬に助けられて生きている。
犬は彼のために何でもする。
盗みや殺人もする。

映画の冒頭で、彼はマリリン・モンローの格好のまま車にたくさんの犬を乗せて走ってるところを警察に止められ、逮捕される。
警察署の中で、尋ねてきた女性精神科医に自分のこれまでのことを語った彼は…


みたいな感じかな。

ダニエルの中には、「自分には知性も才能も夢もあるのに、父親のせいで全て奪われた」という感覚があるだろうし、実際そう言える部分は大きいと思う。
ほかの人たちは順調に夢に向かって進んで幸せを手に入れてるのに、自分だけは狂った家族に足を引っ張られて置いてきぼりになっている、という感覚は、私を含め多くの”家庭環境に問題のある人達”の中にあると思う。
嘆き暴れて叫びたい日と、感覚を鈍らせたり目逸らしたりしながら毎日をやり過ごす日々の繰り返しながら、どこかで「神の導き」を信じている。
「神様がそうしたのだから、なにか意味があるのだろう」と思うことで救われることがある。


私は元々「苦しい環境の中で生まれ育ちながらも、必死に楽しく幸せに生きようとし、自分なりの生き方を貫く人の話」が大好きなんだけど、これは完全にそういう映画だった。
ダニエルは、最初から最後まで自分の正義を貫き、ずっと大切なものを大切にし、立ち向かい、美しく生きようとした。


見始めて20分くらいで「この映画、最高な可能性があるぞ」とワクワクし始めて、最後までずっと最高のままラストまで行った。

主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズがとにかく素晴らしかったし、音楽も良かった。
ピアフの曲は昔からよく聴いてきたので、イントロだけで歌詞の内容がわかって「はい!ここでそれね!」って盛り上がった。

ヘアメイクしたときのダニエルがちゃんとしっかりキレイなのも良かった。
キレイな時と、崩れた時の差も良かった。

たくさん出てくる犬もみんな可愛くて賢くて最高だった。
悲惨な物語の中で「犬!賢いね!」と思える場面が多いのが救われた。
犬を怖い感じで撮ってる場面でも、みんな”言うこと聞いて良い子にしてる時の顔”してた。
かわいいね。犬かわいい。

吹き替えと字幕で連続3回観た。
多分また観ると思う。

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