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土木と景観を学んでいます。おでかけと写真が好き。22歳。

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写真集「線路でなぞるよどこまでも I've been tracing on the railroad」ができました。

たとえば、ジリジリと日に照らされた一面の畑を貫く、グラウンドに引かれた白線のような畦道と、カタツムリのように動く赤いトラクター。 たとえば、トンネルとトンネルの一瞬の間に登場する、丸く弧を描いた海水浴場と、ずっと奥の水平線に浮かぶ、光を散らしたように白い漁船。 たとえば、サーモン色の空に浮かび上がる、五線譜のような電線と鉄塔と、その下で静かに明かりをともす誰もいないコンビニ。 たとえば、遠くから近づいてくる列車に向かって、まるでそういうルールがあるかのように、思わず手を

    • 03分水嶺を越えて

      3月11日(金)晴れのち曇り 朝まだ暗い時間に船内アナウンスが鳴り響く。寝ぼけ眼で船を出て、バスに乗り、5時55分ごろには敦賀駅に着いた。 大洗から苫小牧、小樽から新潟、新潟から敦賀と続いてきた海路もここから先、日本海の航路はなく、次なる目的地は大阪である。しかしせっかく敦賀に来たのだ。5日後に控えた新幹線開業前の北陸を今日は巡りたいと思う。 ということで、敦賀駅で青春18きっぷを購入。金沢方面の普通列車に乗り込み、福井を抜けて金沢に向かった。 なんだかんだ北陸本線の

      • 02新潟での暇つぶし

        3月10日(日)雪のち晴れのち雪 この船は9時過ぎに新潟港に着く。今日の予定は16時半に再びこの港に戻ってくるまで、新潟で時間を潰すのみだ。 まず港を出て向かうところは、万代バスセンターである。新潟のB級グルメに成り上がったバスセンターのカレーを食べよう。 さてさて、時刻は10時過ぎ。目当てのバスセンターに着いたのだが、やはりすごい行列。みな黄色いカレーを前にして、一生懸命もぐもぐしている。 30分は待っていないと思うが、やっと食券機の前に着いた。530円、安い。出て

        • 01日本海へ廻る

          3月9日(土)晴れ 流れる季節の真ん中で、ふと日の長さを感じます。今日はそういう日ということになっている。 吐く息が白い。-4℃の朝の札幌の街を歩き、見たいものを見に行こう。まずは、地下鉄東西線に乗って新さっぽろへ向かう。 ひと通り見て満足したら、再び札幌に戻り、味噌ラーメンを食べたい。日本で初めて味噌ラーメンを考案したラーメン屋が札幌にはある。しかし、開店は11時からなので、テキトウに街をぶらぶら歩く。 結構長い間歩いた。地下鉄もバスも路面電車も使わず、慣れない氷の

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        • 自転車で巡る東海道五十三次の旅
          14本
        • 鉄道唱歌1人旅
          28本
        • 最長片道切符旅の写真
          36本
        • 僕と旅とカメラ
          16本
        • 船で行く卒業旅行
          4本
        • 20歳の夏休み全部使って日本一周してみた
          41本

        記事

          00漂流するだけの卒業旅行

          3月7日(木)曇りときどき雨 卒業旅行は船で日本一周することにした。 正直、久しぶりの1人の長旅は緊張する。 大学生の間に培った一人旅力とでも言うべきスキルは、この妙な緊張感との戦いを制するためのものだ。ふつふつと湧いてくる緊張感には、もはや懐かしささえ伴う。 書くつもりはないのに、自然と手が文章を産み出してしまう。これも緊張を打ち消すために、体に刷り込まれた癖なのかもしれない。 21時45分に品川を出発した特急ときわ号は、いくつかの河を渡り、いくつかの街の明かりを

          00漂流するだけの卒業旅行

          毎日カメラを持ち歩いてみて。

          2024年が始まって2週間くらいが経つ。 昨年2023年は、毎日カメラを持ち歩いて、写真を撮ることを目標としていた。なんとなく決めたこの目標について、毎日写真を撮ったことについて、いつか言葉に捻り出しておきたいと思いつつ、年明けを迎え、気づいたら1月も半ばである。365日の24分の1が終わるころだ。 1年という時間の長さは、「まさにこれぞ1年!」と直感的に言い当てられるほどの何かがあるわけでもなく、捉えどころのないものであるという認識だ。1日が365回繰り返されたら、1年

          毎日カメラを持ち歩いてみて。

          2023年の1文字に関する雑記

          先日、このような通知が来たので、書いてみるか、と思い立ち、今に至る。単純な人間になったもんだ、と自分で自分に納得する。 11月30日。あと1か月経てば、今年も終わる。年末が近づくと、「今年の漢字」が思い出される。12月中頃に発表される今年の漢字を、一足先に考えてみる。今年はどんな1年だったか。どんな1文字がふさわしいか。 ううん、待てよ。これが結構難しい。直近3年間を振り返ってみると、戦争が起こったから「戦」、五輪があったから「金」、コロナが流行ったから「密」など、安直な

          2023年の1文字に関する雑記

          ウィンカーとワイパーを間違えていきたい。

          10月5日。一緒に暮らしていた母方の祖父が亡くなった。 急性心不全。最期はお風呂に浸かっていたらしい。 その日はちょうど、大学の秋学期が始まる日で、僕は午前中から外出していた。 まさか、朝起きて「おはよう」と挨拶を交わした人間が、その日の夜に帰宅すると、帰らぬ人間となってソファの前に横たわっているとは、考えもしないわけだが、意外と何気ない日常の中に「死」は隣り合わせで付きまとっているのだと気づかされる。 母親からのLINEで知らされた僕は、その日一日、どんな顔をして家

          ウィンカーとワイパーを間違えていきたい。

          中山道中チャリ栗毛。

          「膝栗毛」という言葉がある。 膝。すなわち足。すなわち徒歩で歩いて旅行することを意味する。 この夏、東京・日本橋から中山道を辿って京都・三条大橋まで自転車で旅行した。その記録を、ここに残しておきたい。 言葉にするなら「チャリ栗毛」。 6日間、全六十九次の行程を、写真とともに振り返ろう。 1日目 始まりの橋8月21日。台風が過ぎるのを待って出発日を遅らせた。 この国の全ての道路の出発点は、今日も朝から往来激しくここにあり続けている。 朝6時半ごろ。 はるか540

          中山道中チャリ栗毛。

          すずめと青サギで見つめ直す今の自分と両者の比較について。

          中3で「君の名は。」高3で「天気の子」大3で「すずめの戸締まり」と、僕の若き日々の記憶は、常に新海誠作品が隣り合わせにあった。 また同じように、子どもの頃の記憶には、何度も見たトトロやポニョ、千と千尋、平成たぬき合戦ぽんぽこ、耳をすませばなどなど、ジブリ作品の記憶が編み込まれている。 ライフステージの成長と共に、このような作品に囲まれて育った今の自分に、このところ連続して公開された新海誠作品「すずめの戸締まり」と宮﨑駿作品「君たちはどう生きるか」の2作品は極めてクリティカ

          すずめと青サギで見つめ直す今の自分と両者の比較について。

          島旅を舐めるとこうなります。

          「島旅がしたい」 大学4年になっても毎日活発な高校同期4人のLINEグルに送られた一言から、この旅は始まりました。 そこで、旅行ばかりしている僕が、半自動的に旅行代理店のような役割を担ぐことになり、旅先や旅程などを提案することになりました。その時に練りに練って計画した旅程は次のようなものです。 もうその頃には、東京発の便がすべて満席だったために、下田から船に乗る予定を計画し、帰りの便はしっかりジェット船の予約をしたのでした。下田までは、途中の熱海まで新幹線を利用し、朝9

          島旅を舐めるとこうなります。

          4歳の時に見た花火大会を18年経ってカメラに収める。

          幼稚園の頃、夏休みにおばあちゃん家から見た花火大会を今でも覚えている。 アパートの3階のバルコニーから身を乗り出して見た花火は、当時の僕にとって、雷のような音と共に夜空に咲く光の華として、頭の片隅にしまわれた。 もしかしたら、覚えている限りで一番古い記憶かもしれない。さすがにそんなことはないかな。 何はともあれ、18年経った今、22歳の大学生になり、再びその花火大会を見ることができた。いつも通り、カメラを持って走り回って、休む間もなくシャッターを切り続けた。やっぱり、日

          4歳の時に見た花火大会を18年経ってカメラに収める。

          「君たちはどう生きるか」で気になったセリフ5つ

          忘れないために備忘録的に書いてるので、そこまで深掘りはしない。なので、あまり期待はしないでほしいが、もし何かあれば、ぜひ意見頂きたい。 先週の7月14日に「君たちはどう生きるか」が公開された。公開直後から星の数ほどの考察がなされ、無限の解釈がなされたこの作品を、個人的に作中で違和感を感じたセリフから振り返ってみる。 僕は、今日までに3回見た。 1回目は、公開初日の朝8時の初回上映で見た。映画館を出て、さっとシャワーを浴びたような感覚になった。今の2時間はなんだったんだろ

          「君たちはどう生きるか」で気になったセリフ5つ

          埼京線物語。(189日目)

          新海誠は、満員電車に勇気づけられていたという。 毎朝起きて、スーツを着て、電車に乗って、会社に行く。これだけ多くの人が、そういうちゃんとした生活をしていて、自分もその一人であることに連帯感を覚え、満員電車に元気をもらっていたとのことだ。正直ちょっとおかしい。 乃木坂46の「日常」という歌は、「ラッシュアワーの満員電車は、死んだ夢の棺桶」という歌詞から始まる。 要するに、秋元康は、満員電車に乗る人々を「何かを諦めた人々」と捉えている。続く歌詞には、「自由とは途中下車できる

          埼京線物語。(189日目)

          いくつになってもこの土手を歩きたい。(182日目)

          多分、蝉だった。なんだか眠くて作業が捗らないので、まだ17時過ぎだが、いつものコメダ珈琲を後にして公園の中を歩こうと思った。 自動ドアが開いた瞬間、冷房で冷え切った体が、外の生ぬるい空気に包まれて喜んだ。イヤホンをはずして街を歩くと、街はあらゆる音に満ちていることに気づく。その音の中で、蝉が鳴く声は1番深いところで申し訳なさそうに流れていた。その声に気づいたのは、もう公園を抜けて、土手にたどり着く一歩手前に差し掛かったところだった。 朝から天気が不安定で、家を出る時には握

          いくつになってもこの土手を歩きたい。(182日目)

          宇宙の果てより目の前の燕。(173日目)

          14時に二度寝から目覚めた。久しぶりに今日は特に予定もない。天気予報では1日中雨だった気がした。つけっぱなしの冷房を消して、玄関を出た。 雨は降っていなかった。降水確率80%以上という話は何だったのか。空を見上げてみると、今にも耐えきれず泣き出してしまいそうなほどに、雲が立ち込めている。となりの駅まで1駅歩いて、その駅前にあるコメダ珈琲に行こう。玄関を出てから、目的地が決まった。僕にはよくある話だ。 車や歩行者を気にしながら歩くのは鬱陶しかったので、ちょっと遠回りして河川

          宇宙の果てより目の前の燕。(173日目)