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結婚式の伝統と現代の交差点

みなさん、こんにちは。Tanukiと申します。日々、インハウスデザイナーとして働く傍ら、副業で結婚式のペーパーアイテム(招待状やプロフィールブックなど)のデザインも手がけています。デザインインスピレーションを得るために、結婚式や結婚式に関連するアイテム(招待状やプロフィールブックなど)の歴史や変遷をリサーチしていまして、その備忘録としてnoteを始めました。
これから結婚式を挙げる皆さん、または結婚式をより素敵なものにしたいと思う皆さんに、何か一つでも参考になる情報があれば幸いです。

みなさんは「結婚式」と聞いてどのようなイメージを持ちますか?豪華なホテルでの盛大なパーティーか、それとも地元の神社での簡素だが意義深い儀式か。いつの時代でも、結婚式は人生で一度きりとされる特別な瞬間であり(少なくともその瞬間はそう思ってるはず)、その形は時代と文化によって大きく変わっています。

この記事では、日本における結婚式の変遷を戦後から現代まで、"結婚式1.0/2.0/3.0"というカッコつけたワードでサクッとまとめています。大まかな内容としては以下の図の通り。



結婚式1.0:家族と地域が織りなす結婚式(戦後~バブル前)

戦後の日本が急速に復興し高度成長を遂げる中で、家族や地域社会の結束も強まりました。この社会的背景が影響して、結婚式も家族や地域を中心に据えた形になっていました。特に親族間の結びつきを強化する多くの習慣や儀式が取り入れられていたことが特徴です。たとえば、「嫁入り道具」のように、親から子へと家族の形見を渡す習慣は、新たな家庭を形成するステップとして非常に重要な位置を占めていました。

当時の結婚式は神社は勿論、個人宅で行われることも多かったそうです。「嫁入り」という言葉が象徴するように、花嫁が花婿宅に入ることをお祝いしたりなど、「今後の娘の幸せを願う両親の気持ちの表れとしての結婚式」という意味が強かったのでしょう。また、式は簡素でも、地域独自の文化や習慣に基づいて行われることが多かったらしいです。

昔の嫁入りの様子|知多デジタルミュージアムより引用 

このような価値観は、当時の社会に広く共有され、それが結婚式を通じて具現化され、新たな家庭が社会に認められる第一歩ともなっていました。

ちなみに、私のおばあちゃんは、白無垢を着て汽車で花婿(おじいちゃん)の実家に1日かけて移動し、2~3日間かけて結婚を祝ったそうです。とてもすてき。

結婚式2.0:感謝と華やぎの結婚式(バブル期〜平成)

日本の結婚式は、バブル期から平成にかけて著しい変化を遂げました。この期間を象徴するスタイル"友人や家族、そして職場関係者への感謝を高品質かつ美的な演出で表現する形式"を「結婚式2.0」と称しましょう。

この変化の背景には、バブル期以降の経済成長と都市化が影響しています。多くの人々が地元から都市部へ移住し、職場や友人との人間関係が以前より重要になった結果、より個々の人間関係に焦点を当てた結婚式が増えたのです。 高度成長期において築かれた経済基盤やバブルによる経済成長(うらやましー!)が個々の生活を豊かにしたことで、結婚式も豪勢さを増していきました。

豪勢な装飾の結婚式|関西ラジオ「ラジトピ」より引用 

この時期にはプロの「結婚式プランナー」が登場。激化するブライダル産業において、プランナーは多くのオプションやパッケージを提供し、豪勢・高品質を標準化していきました。

まさに花嫁の晴れ舞台。贅沢に、華やかに、美しく・・・。

この「結婚式2.0」は、当時の社会経済的環境と密接に関わりながら、標準化された豪華さと個々の人間関係に焦点を当てています。この新しい形式は広く受け入れられ、日本の結婚式文化に新たな一面を加えています。


結婚式3.0:物語化する結婚式(平成末〜令和)

ミレニアル世代とZ世代が結婚の舞台に登場する現代では、結婚式も進化の一歩を踏み出しています。特に注目すべきは、これらの新世代が個々の「物語」に深い関心を寄せていることです。近年のウエディング業界では「結婚式の多様化」が頻繁に言及されていますが、具体的にはカップルが自らの背景や価値観、経験といった独自の物語を積極的に結婚式で表現した結果の多様化なようにも思えます。

場所選びにおいても多様性が広がっており、従来のホテルや結婚式場に囚われず、共有する特定のテーマに基づいた独特な場所で式を挙げるケースが増えています。新形式の儀式と演出、たとえば「1.5次会」や「フォトウエディング」なども注目を集めていますね。社会的・経済的要因から結婚式の縮小という側面も強いと思いますが、「標準化された豪勢な一日」よりも「標準化されない固有性のある1日」を重視するのは、ミレニアル世代とZ世代の価値観も関係しているのではないでしょうか。

1.5次会会場イメージ|NEO FLAGより引用

また、結婚式の設計は、ウエディングプランナーだけでなく、カップル自身も計画段階から積極的に関与しています。例えば、出身地や共有の趣味、初対面の場所といった「物語の要素」を基に、オリジナルのバックドロップやテーブルセットを作成したり、独自のプログラムを設計するカップルが増えています。加えて、エンターテイメントの側面も強化され、プロのパフォーマーを招く、ゲームやクイズを取り入れる、親戚や友人がスキットや小芝居を披露するといった、ゲストも一緒に楽しめる要素が多く取り込まれています。

結婚式の未来と個人的な希望

個々の物語とエンターテイメントが融合し、パーソナライズされたかつ楽しい結婚式が実現している昨今。これからの結婚式はどうなるのでしょうか?

たとえば、テクノロジーを駆使してVRで全世界の友人を招待する式も考えられますし、環境に配慮したサステナブルなウエディングが主流になるかもしれません。そういったよくある未来想像は置いておいて、筆者としては結婚式1.0のような、「伝統と文化」「家族と親族」を重んじ、コミュニティを強化するための結婚式という在り方が、ある程度形を変えてでも再起・再興してほしいなと思います。

過去と現代では、個人の在り方や男女の考え方(LGBTQ的な要素も含む)も全く異なるので、単純な回帰はまず不可能。そう思いつつも、過去の理想に想いを巡らせ、ペーパーアイテムに伝統や文化を残せれればいいなーと思いながらデザインと向き合っています。

あと最後に、ちょっと宣伝です。ペーパーアイテムのデザインに関して、現在、知人友人や会社でのつながりから仕事を見つけていますが、準備が整ったら、販売もしようかなと思っています。お楽しみに〜




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