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夏の約束 第九章 二人のデート
新宿中央公園
新宿中央公園のベンチに座りながら、彼女の手を握っていた。その日の風景は、まるで昨日のことのように鮮明に思い出すことができる。
空は薄暮の色に染まり、木々の間から差し込む夕陽が私たちの影を長く伸ばしていた。遠くで子供たちの笑い声が聞こえ、公園の噴水が静かに水を跳ね上げていた。
その日、私たちは映画「E.T.」を観た後、喫茶店で長い時間話をした。映画の細かい内容は今やすっかり忘れてしまったが、E.T.が自転車で空を飛ぶシーンは今でもはっきりと思い出せる。えりがそのシーンに目を輝かせながら笑っていた顔も忘れられない。
「本当に素敵なシーンだったね。」彼女は映画のことを思い出して微笑んだ。「愛の力で空を飛ぶんだよね。まるで現実の重力から解き放たれたみたいで、自由ってこういう感じなのかもしれないね。」
えりの言葉に私は深く頷いた。「少年とE.T.の間の愛が、全てを超越する力になったんだよね。なんだか、僕たちの関係もそうなれる気がする。」
えりは微笑みを深めた。「私たちも、どんな困難があってもこの愛の力で乗り越えられると思う。」
その瞬間、えりと共有した感動が一層鮮明になり、えりの笑顔は私にとって特別な意味を持つようになった。
夏の約束
その後、私たちは公園を散歩し、再びベンチに腰掛けた。私はえりの手を握りしめ、そのぬくもりを感じていた。えりは微笑みながら私を見つめ、私はえりの目の中に未来を見たような気がした。
「えり、僕たち、いつまでもこうしていられるといいね。」私は自分でも驚くほどの真剣な声で言った。
えりは私の言葉に頷き、さらに手を握り返した。「そうね。でも、未来はどうなるかわからないから、今この瞬間を大切にしましょう。」
私は一瞬の沈黙の後、思い切ってえりに提案した。「夏が来たら、一緒にサザンオールスターズのコンサートに行こう。二人だけの特別な時間をそこで過ごそう。」
えりは驚いたように目を見開き、やがて優しく頷いた。「うん、約束する。」
その瞬間、私たちの間に交わされた約束は、何か大切なものを共有した証のように感じられた。私の心は期待と興奮でいっぱいになり、えりも同じように感じているようだった。
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