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ICTを使って保護者とニコニコ! ~情報配信アプリHome&School~

●まえがき

  突然の話ですが、堀江貴文さんが歌った歌に、「NO TELEPHONE」という曲があります。武道館で歌ったライブがYoutubeにあったのですが、それは削除されてしまい、代わりにMVがあります。下記リンク。

 この曲にとても共感します。もうすこし正確にいうと、かかってくるのはいいのですが、かけるときに相手の状況や気持ちをついつい考えすぎてしまうのです。(いま仕事中かな…。たいした用事じゃないのに電話とるのめんどくさいかな…。などなど。)みなさんはどうですか?そんなことはありませんか…!?!?メールなら、忙しい時は時間をおいて返信できます。嫌なら無視できます。「電話は相手の時間を奪う」というのはボクの考えすぎかな…(汗)。

●中学校と高校の違い

 ボクは高校で7年教師を務め地域が変わり、今は中学校で働いて3年目です。中学校と高校の大きな違いとして、学校によって程度は違うでしょうが、まずはこれ!

保護者に電話連絡する機会が多い

 ということです。「授業に出ないで保健室に来室したら電話」「生徒同士でトラブルが起きたら加害者にも被害者にも電話」「生徒が早退したいと言ってきたら電話」などなど…。

 電話をするという学校の体制事情もわかります。連絡した方が保護者が安心するのもわかります。が…!「電話じゃなくてメールでいいじゃん」みたいな案件も多くあるのです。でも保護者と直接メールのやりとりは多くの自治体は禁止しているのではないでしょうか。というわけで、仕事が終わったぐらいを見計らって電話…。申し訳ない気持ちを押し殺して、アカるい声で…。でも気持ちは申し訳ない…。
 ですが、現在のボクはずいぶん気持ちが軽くなりました。有事の際は当然電話するのですが、圧倒的に電話以上に使っているものがあります。それは、「学校情報配信 C4th Home&School 」です。

ソフトを作った株式会社EDUCOMのホームページより

 メッセージアプリを使って、クラス一斉に連絡したり,個別に連絡したりすることができます。教員が伝えたい内容を打ち込み,配信すると登録したメールにアプリ通知される…。というものです。
 この「Home&School」は,ボクは最初,まったく使っていなかったのですが,中学3年生の担任になるのをきっかけに,たくさん使うようになりました。「個別に保護者に送れる」というのがイイ。電話で伝えるほどではない…けれども,伝えておくと喜んでくれるような生徒の様子だったり,ちょっとした心配ごとを連絡したり(あんまないけど)。画像も送れるので,授業通信・学級通信などを送ったり,学活や総合学習のプリントを送ったり…なんてこともできます。このメッセージ配信は教員誰もが見れるので、不適切な文章を送っていたら管理職等から指摘が入る…というような仕組み(そんな経験ないけれど)。

 このツールのおかげで、「相手を気にして電話しづらいが、ちょっとした伝えたいこと」を伝えることができました。たとえば、「最近遅刻が多いです。家ではどうですか」とか「さっき、最終下校時刻をすぎたけれど●●君が忘れ物を取りに学校に戻ってきた。家に着くのが遅くなる」とか。そういった「マイナスなできごと」・「伝えなくちゃいけないこと」だけではありません。有事の電話の際も、つながらなかったら「とりあえずメッセージを送る」ということができます。「プラスなできごと」の情報だって当然伝えられます。クラス全体にも伝えられます。たとえばこんなカンジ。

お世話になります。担任の高野です。●●さんですが、●●委員に立候補してくれました。また、行事の●●委員にも立候補してくれました。とても頼りがいがあります。ステキなお子さまを受け持たせていただき、私もとてもうれしいです。一方で負担がたくさんかからないように注意して見守っていきたいと思います。ひとまずうれしくなったのでご連絡させていただきました。緊急な連絡ではありません。そんなお知らせでした。

個別に送った文章の例

お世話になります。〇〇さんですが、合唱コンクールの●●に立候補しておりました。まだ最終決定はしていませんが、お願いする可能性が高いかと思います。この前の運動会のリレーに引き続き、学校全体の中で、クラスの中で活躍する場面がちらほら登場しています。たのもしいですね。

個別に送った文章の例2

お世話になります。今回は、本日に行った総合の授業を紹介します。今日の総合の授業では、「受験直前の今、誰もが不安になる時期」というテーマに、ペンネームを使いながらみんなで「誰が誰だかわからない状態で不安ごとや目標を語り合おう」というものをしました。みんなや担任・クラス全員に見られることを前提に、名前をあかさない(ペンネーム)でクロームブックを使い、今の気持ちを語ってもらいました。下記にご紹介しますので、よろしければ、ご家庭での話題のひとつとして、お子様と一緒にすごす話題として使っていただければ幸いです。…(以下、感想文はここではカット)

クラス全体に送った文章の例

●一方通行から

 一方,「一方通行の連絡手段」ということが,少し気になっていました。保護者と教師との間でメールやLINEの連絡は禁止となっているので,デジタルでの連絡手段はこの「Home&School」になるのですが,保護者から「リアクションしたいのに返信ができないのがさみしい」という声をもらっていたのです。ボク自身もその機能がないことがもどかしく感じたこともあり,選択肢をオプションでつける機能をつかって「ア.特に伝えたいことがある(電話が欲しい)」「イ.特に変わったことはない」なんて選択肢を作り,回答してもらったこともありました。でも,自由に記述できるわけではありません。
 ボクは,「もし自由記述ができたら,保護者からのちょっとした連絡や雑談をしたいときに,言葉をそえられるから便利だよなぁ」と思ったり,一方で,「いや,でも,そんな機能があっても保護者は書いたりしないかもなぁ…」なども思ったりしながら月日が流れていきました。すると,夏休みの終わりあけに「アンケート機能」なるものがアップデートされました。自由記述のアンケート形式が本文に載せられる…というものです。さっそく使ってみました。

設定画面。「自由入力」というのがある

【本文】
保護者の皆様
お世話になります。担任の高野です。夏休み、いかがお過ごしでしたでしょうか。取り急ぎ,保護者の皆様より、緊急な連絡(事故・不測の事態)はいただいておりません。おそらく25日は、それぞれ元気な顔を見せてくれるのではないかと思っています。(もし何か夏休み中にございましたら下記アンケートにてご回答くださいませ)
夏休みに高校見学に赴いたり、塾や図書館で長時間勉強する等、1~2年の時とは違ったお子様の様子もあったかと思います。宿題、受験勉強等、勉強を計画的に行ってほしいという皆さまの願いもあるかと思いますが、一方で、「無事、元気に夏休みを過ごした」だけでも、あたりまえのようで、でも、あたりまえじゃない、すてきな夏休みなのではないかと思います。
さて、2学期がはじまるにあたり、「これを追加で伝えたい」「こんなことがあった」などありましたら、お気軽に下記アンケートにお答えくださいませ。(※ というのも、Home&Schoolの新機能で「アンケート自由記述機能」という形式が新たに登場しましたので、それを私自身使ってみたい…という思いもあり、アンケート形式で送ってみました)。なければ「特になし」で構いませんし、その回答も手間なようでしたら未回答でOKです。学級担任と保護者の皆様とのやりとりの一貫で、お気軽に回答してみてください。「自由記述」に関しては気になることでも、ただの雑談でもなんでも構いません…!どうぞ2学期もよろしくお願いします。
担任:高野圭

【質問】(自由記述_文字数制限なし)気になったこと、伝えたくなったこと、特別大きなことはないが、ちょっとしたメッセージがありましたら!なんでも気軽にどうぞ!(任意ですので無理せずに)

●結果は…?

 自由記述(任意)の回答は、38人中「20人」が回答してくれました。もしこの自由記述項目を設けていなかったとしたら、保護者からのリアクションは0か電話で1~2件程度だったのではないかと思います。今の勤務校には「連絡帳」なるものがありません。正確に言うと注文できるのですが、学校の後ろに書かれている時間割はすべてGoogleClassroomの掲示板に写真が貼られるので、メモする必要がないのです。というわけで、必然的に保護者からのリアクションも「電話」か「手紙やメモ」となります。なので、この自由記述機能のおかげで、3つ目の選択肢が増えた…というわけです。
 といっても、年がら年中自由記述のリアクションが届いていたら大変と思う先生もいるかもしれません。締め切りは初期設定では1ヶ月先。設定変更もできて、3日間だけ受付!なんてこともできます。書かれている自由記述を匿名&内容も少し変更しながらご雰囲気を紹介します。

●いくつかご紹介

・自分の趣味と勉強をがんばっていたようです(前者優先)。始業式から帰宅したら、学校楽しい!と言ってました。うれしい限りです。"
・毎日勉強がんばってました。テスト結果に反映するといいのですが。。。
・ほぼ塾の毎日でしたが、体調崩さず元気に過ごしていました。
・宿題間に合わないかもしれません。
・"自分に自信が持てないところがあるので、受験に向けて精神的にも不安定になる事があるかもしれません。先生にもフォローして頂けると有難いです。宜しくお願いします。"
・来年小学校に上がる息子のランドセル選び、高校受験、大学受験、個々の部活、介護...親はとても疲れた夏休みでした。でも、少ない時間の中で、今年の夏休みも目一杯家族で楽しんで過ごせたのではないか?と感じています!2学期もどうぞ宜しくお願い致します。
・"夏休みが終わる1週間前からあと少しでクラスの皆んなに会える!と新学期が始まるのを楽しみにしていました。夏休み明けのデリケートな時期に学校に行きたい!と本人が感じていることを嬉しく思います。今学期もよろしくお願い致します。

 ほかにも、こんな報告がありました。

●うれしい報告

・"いつも学校の様子やお知らせを配信いただき、ありがとうございます。コロナが始まってからの入学で中学のことがよく分からず、実感もないまま卒業かと思ってましたが、先生のクラスになって学校のことがわかるようになり安心して過ごせています。ありがとうございます。部活がまだ絶賛活動中ですので、夏休みも真面目に部活に通っていました。勉強面でも本人なりの気持ちの変化はありそうです。しかし、要領の悪さとコミュニケーション不足で損をしてるなと思うことも多々あります。本人が克服するしかないのですが。残りわずかな中学生活を楽しんで欲しいと願っています。先生もお忙しいと思いますがご自愛ください。"

高野コメント:「学校のことがわかるようになり、安心して過ごせる」なんて嬉しい!

・いつも、home &Schoolのクラス配信を楽しみに拝見しています。先生が教師という仕事をとても楽しんでいることが、子ども達にも伝わっている様子が、家で娘から聞いていてよくわかります。最終学年、素敵な担任の先生で、最後のご褒美だねとよく話しています。引き続き、どうぞよろしくお願いします。"

高野コメント:クラス配信が「たのしい!」だなんて!やた~!!

・"高野先生 いつもありがとうございます。先日、駅前のカフェにいたそうですね!なんとなーく、あれ…先生かな…?とは思っていたのですが声をかけられずすみません(^^;; 今日、子どもから「やっぱり高野先生だった!」と聞いてなんだ!声かければ良かったと思いました笑。夏休み中に部活も引退しなんだか気が抜けているような感じです。塾には行っていますがまだまだ自分がどこに向かうのか迷っているようにみえます。明日、先生が勧めてくれた高校へ見学に行ってきます。何かありましたら報告します。"

高野コメント:声をかければよかった!なんて思われてるなんて!ふふふ・・・。

 紹介したのはごく一部。そんなわけで,たくさんのメッセージをいただくことができました!しかも,うれしいコメントもたくさん。ありがたいことです。
 また,「こんな機能があるみたい」と同じ学年の同僚教員に紹介したところ,手軽にできることもあってか,その場で3人の先生がその場でマネして,「高野先生,今14人から回答届いてます~!」などと報告してくれました。通知が来るわけではないので,ふと思い出した時に結果を見に行く…といった使い方です。なので,忙しいときは無理に結果を見に行かず,放課後や翌日,スキマ時間に見に行く…ということが可能。電話の良さもあるけれど,電話とは違った手軽さがあってイイです。

●終わりに

 昨今のニュースでは「モンスターペアレント」なんてフレーズが登場したりします。でも、ボク自身は子どもたち同様、保護者ともイイ感じで関係を築けているような気がします。その要因は様々で、「子どもの接し方・授業の様子が子ども経由で親にも伝わる」とか「たまに出してる学級通信が届いてる(中学生ともなると確率はいかほどかわからないけれど…汗)」など、いろいろあるでしょう。でも、この学校情報配信アプリがその一助になっているのは間違いないと思います。特に、「情報だけを伝えるのではなくて、ちょっとした様子やうれしいこと、授業の様子や子どもの感想文なども伝える」といった取り組みがイイ関係づくりにつながっているような気がしています。折に触れて連絡を取り合っていたり,保護者のちょっとした雑談や伝えたいことを表現できる機会があるからこそ,「一気にたまってクレームっぽく連絡がくる」なんてことがないまま,今日に至っているのかもしれません。
 そんなわけで,紙で出す「授業通信(子ども向け)」や「学級通信(子ども&保護者向け)」もイイけれど,合わせて保護者に直接送ったり,一言コメントをもらえるような機会をつくるデジタルやりとりも,手軽でイイナと思ったのでした。

 ※「Home&School」はどこの学校でも納入しているわけではないと思うのですが,代わりのサービスでも同じことができるはず…。(もし自由記述機能がないサービスを使っている場合は、グーグルフォームと併用すればいけそうですね)
 もし「学校情報配信アプリ」を導入していない学校だったら上記の取り組みはマネできませんが,欠席連絡などをすべてこの形に移行してとても働きやすくなった勤務校の様子を見ていると、どこの学校も絶対に導入すべきサービスのように思えます。読まれている学校現場の方で、もし導入されてない学校がもしあれば、管理職(いや,教育委員会か?PTAか?)に働きかけてでも導入する価値があるんじゃないかなと思っています。

 (追記)個別やり取りについて / ボクが所属している研究会の実践で、保護者へのコメントを便せんにサラッと書いて子どもに持たせる「一言お手紙作戦」なるものがあり、それと似た性質があります。その実践をボクもやったことがあるのですが,ズボラなボクは「生徒の下校時刻までに保護者宛の手紙を子どもに持たせる」ということをついつい忘れてしまうのです。なので,大半の仕事をパソコンで行っている今だからこそ,夕方以降の少し落ち着いたときに「Home&School」でポっとおくる(スマホでも送れるし見れる)というのもアリだなと思ったのでした。

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