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”贅沢な邸宅”と云ふことなかれ。「八竹庵」

2021年に世界的なブランドGUCCIが創立100周年を記念してエキシビジョンを行った場所。それがこの京都にある「八竹庵」

京都モダン建築祭というイベントで訪れた時一気に私のテンションを上げてくれた建物なんです!
その時の話はこちら↓


八竹庵は豪商「四代目 井上利助」が贅を尽くして建てた建物なだけあってとにかく豪華。

金や宝石でキラキラしているというより
落ち着いた気品あふれる京都らしい雅な豪華さと言いますか・・・
「まぁ金持ちなんでね、ドヤ顔で豪邸建てたんでしょ?」
と思って見学していたら
「いや、これはおもてなしの心ハンパない邸宅なのでは?」
と印象が変わってきたのです。

それではなぜ”おもてなしの心ハンパない”邸宅なのかをご紹介しましょう!



八竹庵とは


大正15年、室町随一の豪商「井上利助」によって住居兼商談の場として建てられたのがこの「八竹庵」
一体何を生業にしてる人なのか詳しくはわからなかったのですが、調べたらどうやら呉服屋さんのようです。

関西近代建築の父「武田五一」と数寄屋造りの名工「上坂浅次郎」が設計に参与し建てられたとのことで
当時の有名な建築家ツートップにお願いしたというこの時点でもうすでにお金かかってます!

格天井や寄木の床など贅をこらした室内

八竹庵が完成した2年前の大正12年、後に20世紀近代建築の父と呼ばれる世界的建築家フランク・ロイド・ライトによる帝国ホテルが開業しました。
この帝国ホテルが日本にもたらした影響は大きくて、帝国ホテルに使われていたスクラッチタイル(表面に引っ掻いた模様を付けたレンガ)を用いた建物が大流行します。
この八竹庵もその一つで入ってすぐの洋館の外壁にはそのスクラッチタイルが使われていて、当時の流行の最先端であったことがわかります。

入り口すぐの洋館に貼られたスクラッチタイル



おもてなしその① マリア灯篭


中庭にマリア灯篭というものを発見。

この灯籠、よく見ると下のほうに誰がいる。
説明書きによると彫られているのはマリア様で左右に少し膨らんだ形は十字架を表しているのだそう。

これは千利休の弟子であった茶人であり大名の「古田織部」がキリシタンの客人へ好みに合うようにと考案したもので
外国人との交流、商談も多かったであろう八竹庵にピッタリ。

はるばる何日もかけて異国に来た外国人はこれを知って和んだだろうし
嬉しかっただろうと思う。
国の違う相手でも気持ちよく商談したいというおもてなしの心なんです!

おもてなしその② 2階サロンの謎


2階に上がると和室が広がります。

その中の一室が洋室になってます。

ゆっくりコーヒーでも飲みたいステキな空間✨
ここではグランドピアノが置かれパーティーが開かれていたそうです。

ですが私には「あれ?ここに洋室?」と少し違和感が。

と言うのも私の知る限り、この時代の建物は洋館は主に来客用で和館はプライベートエリアと使い道が分かれていることが多い。
となるとこの部屋は入り口入ってすぐに見えた洋館の2階部分にあるのが一般的だと思うのですが洋館とは全く関係ない位置にあるのは何故なのか?

この間取りをよく覚えて創造しながら読み進めてください!

この謎を解くのは「鉾見台」
普段は入れないのですが京都モダン建築祭の期間中
パスポート持ってる人は特別に入らせてもらえました!
どこかと言うと洋館部分の屋上がベランダのようになっていて立ち入ることができるのです!

鉾御台からの景色


この場所はなぜあるのかと言うと
実は祇園祭がこの建物の前の通りで行われ、お祭りをゼロ距離で見ることができる場所なのです!なんて贅沢!!

と、言うことは2階のサロンからも祇園祭が見える!
じゃあなぜこの鉾見台の位置にサロンを作らなかったのか・・・
これもココからの景色を見ているうちになんとなく想像ができる。

見下ろすと茶室に続く庭が見える

つまり、2階のサロンからだと庭園と祇園祭の両方が見えるのです!!
なんて贅沢!!(2回目)

ここから庭と祇園祭の両方が見えたはず


きっとそんな景色を客人に見せて楽しんでもらいたかったに違いないと思うのです。
専門家じゃないのであくまで想像ですが。
それにしても何をどうしたらそんな優雅なパーティーに招待されるのか誰か教えてほしい。

おもてなしその③  やっぱり庭が落ち着く


この建物、全体的にどこを見ても景色がいい!


茶室へつづく庭と中庭と2つ庭があるので基本的にどの部屋からでも庭が見えるので、眺めているだけで心が落ち着く。

どの部屋からでも美しい庭が見える。
それだけで充分ここに招かれた価値があるのではないかと思うのです。
おそらくどんな料理や茶菓子を出されても絶対美味い。

終わり!


パンフレットにも「贅を尽くした邸宅」と紹介されているように豪華な建物。
豪華さは商談相手に景気の良さを示すという意味もあるのですが
私にはこの邸宅の主人がおもてなし好きな人物だったように思えました。
特にマリア灯篭は景気の良さを見せるのとは関係ないですからね。


ここまでなんとか説明してきましたが伝わってますか?
熱量だけ伝わって内容が全然届かないというヲタクあるあるになってたら
「楽しそうでなにより」とだけ思っていただけたらそれで大丈夫です!
この八竹庵は何年か前まで取り壊しの危機にあった建物でした。
残してくれた関係者の方々に本当に感謝です。

みなさんも京都へ行くことがあったら訪れてみてはいかがでしょう?


ここまで読んでいただきありがとうございました😊
また次の記事も読んでいただけると嬉しいです!
それでは〜

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