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つらぬいた美学の集大成「萬松園」

こんにちは!3度の飯よりレトロ建築が好き!ヒトミです。

以前、「ステンドグラスが美しい二葉館」という記事でご紹介した日本初の女優川上貞奴。美意識の高かった彼女の別荘「萬松園」(旧川上家別邸)をご紹介します!!

売れっ子芸者として世界で活躍した川上貞奴。女優引退後、62歳の時に岐阜県各務原市に自費で貞照寺というお寺を建立します。

その貞照時にお参りするために昭和8年に建てた別荘がこの「萬松園」です!

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まるで美術館

お屋敷は敷地面積約1000坪、建坪150坪、26室という立派な建物なんですがその26室ある部屋が全て異なったデザインをしています。

壁、天井、襖、窓、照明・・・それぞれ同じデザインを使った部屋は無く一つの部屋に対してコンセプトがありそのコンセプトに基づいて空間が作りあげられているのです!ものすごい拘りです!!

ここではそのごく一部をご紹介します!

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お屋敷と言えば畳廊下。この廊下も広い庭に面していて眺めがいいです。

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廊下の壁のいたる所に一見ただの飾りのような物があるのですが、実はコレパカッと開けると周辺の電気のスイッチが集められたスイッチボックスなんです!!

実は貞奴と(夫婦同然の)事業パートナーだった福沢桃介は木曽川の電力事業に貢献した電力王と呼ばれる人物で、そのためこの建物は電気を使った住宅のモデルハウスの役割もあったのだとか・・・

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木の節もここでは立派なデザインの一つです。

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「藤袴の間」と呼ばれる部屋は中国風のデザインが特徴的。この窓は庭の景色を切り取ったように見えます!ちなみに上にある小さな窓は氷がひび割れる様子を表現しているそうです。

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「御法の間」と呼ばれる仏間の天井には天女が舞っています!!華やか!!そしてこの部屋の裏には・・・

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描かれているのは源氏物語の「胡蝶」という舞楽の絵だそうです。廊下から見えるだけの部分にも抜かりはないです。

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棚の扉には高級品の金唐革紙(和紙で作られた革のような紙)が貼られています。だいたいは壁紙に使われるのですが・・・贅沢な使い方です。

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光が差し込むことで模様が浮き上がり雰囲気が変わります。外側から見てもステキです。

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全体的に和風な部屋が多いなか突如と現れるサンルーム!!ガラスがモダンでオシャレです。

こだわりの○○

こだわりの照明たち。ほんの一部。

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こだわりの襖の取手たち。これもほんの一部。

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右の花のデザインは生け花をする部屋に使われていました。部屋の用途に合わせてあるのホント脱帽です。

世界を魅了した美学

新劇派の父と言われた川上音二郎との結婚を期に日本で初めての女優となった貞奴。「マダム貞奴」と呼ばれアメリカやヨーロッパの公演で人気となりフランスから芸術文化勲章を授与されるほどでした。

「自分は紅葉の化身」と言うほど自分の美学があり、そのこだわりが認められた結果なのでしょう。

その美学が凝縮され目に見える形となったのがこの建物だったのだろうと思います。そんな集大成と言えるスバらしいお屋敷でした!!


ここまで読んでいただきありがとうございました!!

また次の記事も読んでいただけると幸いです!!

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