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平成ライダーってすごいんだから

2018年、「平成最後の」を枕詞に様々なコンテンツが展開された。仮面ライダーはその最たる例と言っても過言ではない。「平成ライダー」「昭和ライダー」という呼称を公式に用いている彼らにとって、元号が変わることはビッグイベントに違いない。しかし、それだけではないのだ。今年は平成ライダー20作記念の年でもある。現在放映中の仮面ライダージオウは「平成最後の仮面ライダー」であり、平成ライダー20作記念作品である。他の「平成最後の○○」を圧倒する規模感で仮面ライダーの「お祭り」が繰り広げられる、ライダーファンにとっては実に密の濃い一年であった。

そして、その集大成ともとれるのが12月22日公開の映画『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』であろう。年末に差し掛かり、学校では「また『平成最後の○○』かよ…」と辟易するような声も聞こえ始める。私自身も例外ではない。この映画は、そんな「平成最後の○○」シリーズのマンネリを断ち切ってくれるような清々しさすら感じさせるインパクトのある映画であった。

異なる世界観を繋ぐキーパーソン

前作の仮面ライダービルドは、主人公が創造主となり新たな世界を創る(=ビルド)という結末であった。故に、主人公と二号ライダー以外はビルドの登場人物でありながらビルドのことを覚えていないはずなのだが、映画では何故か記憶が戻っている。今作の仮面ライダージオウとのコラボに際し、このようなちぐはぐな点が指摘できる。また、テレビシリーズとも矛盾している箇所が見受けられるのも事実。

この整合性をとるために使われたのは「ライダー好きの少年」という私たち視聴者に極めて近い存在だ。少年の部屋には歴代ライダーのソフビ人形やベルトが所狭しと並べられている。「ライダーはいないんだ」と嘆く少年の姿は、私たちが一度は直面する現実と虚構の決定的差異をまざまざと見せつけられているようだった。もし私が小学生でこの映画を観て理解してしまっていたら、悲しい気持ちになっていたかもしれない。この映画を観る幼稚園生、小学生がこの少々複雑なストーリーを理解できていないことを願うばかりだ。一方で、この「ライダー好きの少年」が「できるだけ多くのライダーに会いたい」と願って作り上げた理想、を基軸に展開するストーリーは私たちが「仮面ライダーになりたい!」と思っていた頃の憧れのライダーたちをものの見事に同じ画面上に登場させてしまう力強さを備えている。まさに「夢」の物語である。

「俺、参上!」から10年目のサプライズ

平成ライダー屈指の人気を誇ったのが、2007~2008年に放映された『仮面ライダー電王』である。テレビ本編終了後、8作品も劇場版が作られたほどだ。主人公の野上良太郎役は言わずと知れた佐藤健さん。今や国民的スターとなった彼が実に10年ぶりに仮面ライダー作品に帰ってきたのだ。平成ライダーシリーズの出演者らが友情出演するのが仮面ライダージオウの大きな特徴だが、佐藤健さんの登場は正直叶わないと思っていた。それを平成ライダー20作記念、そして電王10周年という絶好のタイミングで実現させたスタッフの方々には、感謝しかない。

『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』は電王の他に、こちらも人気作である『仮面ライダーダブル』、そして平成ライダーの記念すべき1作目『仮面ライダークウガ』をモチーフとした怪人が登場する。この二作品はいずれもコミカライズされるくらい、今でも根強いファンがいることは確かであろう。しかし電王にクローズアップするあまり、折角登場させた人気ライダーの存在が霞んでしまったことは否めない。もう少し大事にしてほしかった、というのが一視聴者としての本音である。

仮面ライダークウガから築いてきた歴史

平成ライダーが20作も作られたとなると、やはり1作目『仮面ライダークウガ』の存在の大きさを感じずにはいられない。その存在の大きさが今回の映画ではそのまま「大きさ」として表れていた。仮面ライダークウガをモチーフにした怪人「アナザークウガ」だけ他の怪人と異なり、巨大な異形の怪物として描かれていたのだ。先ほどクウガについて多少否定的なことを書いてしまったが、ラスボスとしてオールCGで作られたアナザークウガの貫禄は、平成ライダーのお祭りに実に相応しいものだった。クウガ、もとい平成ライダー始まりの地ともとれる九郎ヶ岳遺跡の登場も喜ばしい。

キャスト含め制作陣のライダー愛の詰まった最高の「平成最後の」お祭り映画であった。少なくとも2回は見たい。

最後に

平成ライダーの特筆すべき点は何といっても毎年新しい仮面ライダーが生み出されること、であろう。他の映像作品で20作も毎年続くようなシリーズが日本に存在しただろうか。しかも、それぞれ全く異なった世界観を持った作品群である。それらが「仮面ライダー」という共通の名を冠してまとまりを持っていること自体に感動すら覚える。平成仮面ライダーシリーズの偉大さをもっと多くの人に知ってほしい。女子だから、高校生だから、そんな自分のしょうもない羞恥心はこの際捨て去って、声を大にして言いたい。

平成ライダーってすごいんだから!!!




以下、以前特撮について書いた投稿。

ありがとうございました。


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