本「荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟」|おもしろい映画の構造
いわずとしれたジョジョの荒木飛呂彦先生の本を読んだ.
映画が大好きな荒木飛呂彦先生.漫画を書き始める際に,なぜ自分が面白い映画が「面白い」と感じられるのかを構造的に考えたところ,突き詰めるとサスペンスが面白さの鍵であると気づいたそう.恋愛映画だろうが,ハードボイルドな映画だろうが,根っこには先の読めない展開が含まれているサスペンス性が面白さを底上げしているらしい.
そこで,先生自身が傑作と考える映画を題材になぜ面白いのかを詳しく解説してくれるそんな本.いわゆる面白さの秘密みたいな構造的な部分は第1章で話し切っていて,それからはずっとこの映画のここが面白くて大好きなんだ!!!という映画に対する愛が溢れた文章が続いていく本となっている.しかし,本当にその映画が好きなのことが伝わると同時に,クリエイターの方々が作品をどのような視点で観て楽しんでいるのかを垣間見ることができとても勉強になった.
刺さった文章
超わかる!!!!面白い映画ほどこの「微妙に」ずらすの加減がとてつもなく上手い.特に,ホラー映画を観ていて怖いと感じるかどうかの決め手は化け物のビジュアルや叫び声の恐ろしさよりも,いかに怖さを登場人物たちと共有できているかで決まる.怖さというのは自分が根源的に恐怖として感じてる部分にどれだけヒットしているかで決まるのだと思う.その根源的な部分に強く触れられた作品というのは共通して,日常がベースとなっている.日常からちょっとずれることで,「ひょっとしたらあるかも?」と思わされる.「これってありえない話でもないな・・・」そう思えた瞬間に怖いと思うのだ.共感が面白さの肝である.読んでてめっっちゃ共感した.
サスペンス映画・ホラー映画の主人公は基本ひとりぼっちである.どこから来るかも分からない恐怖を孤独に耐える構図が基本となっている.だからこそそのような映画を観ることで,「ひとりぼっち」への耐性をつけることができ,さらには孤独と戦う力を与えてくれるのだろう.孤独の怖さをしれるからこそ,今自分の回りにいる家族や友人,恋人のことを大切にしていこうと思えると書かれていた.なんだかこの辺はジョジョ全体に共通するテーマのようなものを感じる.どのような状況でもあきらめずに孤独でも戦い抜く黄金の精神を持つ主人公たちは,荒木飛呂彦先生の根底にある価値観を表現しているのかもしれない.
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?