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マレーシアで過ごした12日間。そこで息子の意識を変えたものとは。

2022年7月28日。
私と息子はマレーシアへ向けて出発した。
日本の学校に足が向かない11歳、異国マレーシアの風をどう感じたのか。


いざ出発

息子はBEYOND MALAYSIAさんサポートの元、ペナン島にあるインターナショナルスクールのサマースクールに参加した。前後泊合わせて12泊13日。本来2週間のプログラムは予算の都合で1週間のみの参加となった。実家以外の外泊は友達家族と3泊4日で行ったキャンプのみ。親子で初めての旅行。息子にとっては初めての飛行機、初めての海外。

息子は不安があると前日にドタキャンすることがよくあった。年齢が上がるにつれて少なくはなってきたものの、今回は相手が海の外。見知らぬ土地、言葉の通じない世界に不安が募って「やっぱり行かない」と言われるのでは、と気が気ではなかった。でもそんな心配をよそにあっという間に当日を迎えた。「飛行機が楽しみ」だったそうだ。


ズバリ息子の胸に刻み込まれたもの


先に結論を言ってしまうと、帰国後息子は明らかに英語に対する意識が変わった。…とはいっても人が変わったように英語の勉強を進んでやるようになったわけではない。ただ、彼の中で英語のポジションが確実に変わった。そしてそこからは小さいながらも固い意志のようなものを感じた。

息子は限局性学習障害(LD)がある。計算と書くことが苦手だ。特に漢字はメモリの低い彼には苦行でしかない。いつしか抵抗の少ない英語に考えをシフトするようになった。

ことあるごとに「英語の世界で生きていくか、漢字の世界で生きていくか」を息子に問いかけていた。彼の返事はいつも「英語」だった。

だが、教材やオンラインレッスンなど、手を変え品を変え試行錯誤したが、どれも中途半端で終わってしまう。得意げに何か書いたかと思えば「mama zako」。それは英語じゃない。
結局英語に触れるのは放課後デイサービスで課題としてやっていた英語アプリのmikanだけになっていた。


そんな状態でマレーシアへ行き、私と離れて日本語の通じないサマースクールに放り込まれた。
実際には日本人の子も割と多くいたのだが超絶人見知り。同世代もあまりおらず、好奇心や興味関心もさほど強くないタイプなので完全受け身でアウェーだった。サマースクールが終わった時には「学校で自分の名前とYESしかしゃべんなかった」と笑っていた。

最終日、ワークシートに感想を書かせてみた。私のスマホをコソコソといじること数分。「できたよ」と言われて驚いた。



まさかの英語。Google先生にお世話になっていたとは、全く予想していなかった。
彼の感想はこうだった。

・色々テキトー(いい意味)
・ミロめっちゃあった
・お目当てのレストランのステーキがゴム並みに硬かった
・野良犬いっぱいいた

普段何かを書かされることに嫌悪感を示す子が、こんなにもたくさんの感想を、しかも英語で書いたことに感動した。
良くて日本語で一行程度と思っていたのに。

帰国の日、息子は私にこう言った。
「日本に帰ったら、一日一つ英語の単語を覚えようかな」
2日目はあったが3日目は来なかった(笑)


英語はやめない

帰国後、今の息子の状況や特性、これからの未来などを考えて「とにかく英語だけはやらせよう」と決めた。他の教科は本人が興味を持たない限り強制しない。とにかく英語だけでいい。

半年前に挫折してしまったNativecampを再開したらどうかと提案すると息子も同意。負担がなく続けられるよう、1日10分から始めてみることにした。いいペースが続いたのも束の間。先生が捕まらないことを理由にやらない日が増えてきた。安いプランとは言えタダではない。

いつになったら再開するのか毎日様子を見ていたが、ストップ記録を更新するばかり。また今回も続かなかったか。腹をくくり「もうやらないならやめなよ」と伝えた。すると「いやだ!やめない!」と意外過ぎる言葉が返ってきた。

今まで息子が興味を示すものはたくさんあったが「やめたくない」としがみついたものはこれが初めてだった。

当然ながらマレーシアでは街のどこを見渡しても日本語はなかった。部屋のテレビも、フードコートで聞こえてくるのも、マレー語・英語、中国語。そして隣には出川イングリッシュ顔負けのカタコトで四苦八苦しながら身振り手振り相手とコミュニケーション取ろうとしている私がいた。そんな環境に彼の中で何かが動いたのだろう。

やる気があるなら続けよう、そう再出発を誓ったが、またも先生が捕まらず待ちぼうけ。「今日も出来なかった」が続き「やめていい」「やめない」「もうやめなさい」「いやだ」のやり取りを繰り返し、ようやくまた日課になるところまできた。

そんなある日、たまたま行った書店で、息子用に分厚い洋書のドリルを購入してみた。3600円という値段に驚いたのか、ライティングの練習も毎日欠かさずやるようになった。
最初10分から始めたネイティブキャンプは、いつの間にか勝手に15分に延ばしてレッスンをするようになった。言われている事が分からず、私に目で訴えてくることも減ってきた。
先日は「髪切ったね!かっこいいじゃん!」と言ってくれた先生に「・・・せんきゅう・・・」と照れながら返事をしていた。


時間経過とともに変わる意識


この記事をチマチマと書いている数か月の間に、息子の意識にも色々変化があったようだ。

先週息子に学校に求める条件を聞いてみたところ、これまた想定外の返事が返ってきた。

・日本じゃないところ
・マレーシアがいい

てっきり日本の学校を前提にしてくるかと思ったので拍子抜けした。
「マレーシアの人とかインドの人とか中国人とかいろんな人がいるから」と言っていた。マレーシアがいい、と言ったのは少なからず私の刷り込みが影響していると思うが、それでも彼の中で日本とは違う何かをしっかり感じたことに違いはない。

また先日、KL方面のエージェントさんとZoomでお話する機会があり、息子の年齢的にも渡馬はとにかく早い方がいいとアドバイスをもらった。息子に覚悟があるか尋ねると(私は頭のネジが飛んでるので資金がゼロでも平気でそんなことを聞く)、彼の妄想が止まらなくなった。

「えー!めっちゃワクワクしてきた!!」
「最低3年はいたいなー」
「帰ってきたら親友の〇〇くんにたくさん英語教えよう〜」
「高校卒業したら日本に帰ってきたいなー」

…息子は低学年の時点で既に「高校には行かない。中学を出たら働く。」と言っていた。学校という雰囲気、苦痛にしか感じない勉強。彼の中には「高校進学」というものは存在しなかったはずなのに、いつの間にか高校に入学するどころか卒業する自分を、一瞬でも描いていた。

もしマレーシアじゃなくアメリカに行っていればアメリカに行きたいと答えだろう。
でも、場所はどこでもいい。
日本以外の選択肢を目の当たりにし、彼の眼の前には世界が広がったのだ。
地球人なんだから世界のどこかにいればいい。自分に合った場所は必ずある。そんな私の想いは、きっと彼に届いてると信じたい。



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帰国後。

「ホントはマレーシア行きたくなかったんだ」

何ぃーーーー!!??

「行ってみてどうだった??」

「めっちゃ行って良かった!!」

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