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不登校の子を持つサイボウズ社員に話を聞いてみた③

シリーズ「不登校の子を持つサイボウズ社員に話を聞いてみた」。サイボウズ社員で「ワクワクする子どもの学び場をつくろう」プロジェクトメンバーである、田中那奈さんのインタビュー第3弾です。不登校のお子さんを抱えるお母さんでもある那奈さんに、その経験談を語っていただいています。

学校を休むようになった小学1年生の女の子・Aちゃん。
“このまま学校に行かなくていいのか?”と葛藤しながら向き合ううちに、那奈さんの中で“子ども自身が生きてることを幸せに感じられるのが一番重要”という思いに辿り着きます。
本人の気持ちを尊重して始まった『学校に行かない』生活。勉強、時間の使い方、心のケアなど、考えること・やることは山積み。どのような日々を送っていたのか、話してもらいました。(聞き手:社長室・山本賀保子)

前回の記事はこちらから。

この選択は、“自分の人生を選ぶ”ということ

「“学校に行く”って何にも考えず、決められたレールの上を走れるじゃないですか。勉強も『この時期にこういうことが必要だよ』って誰かが考えてくれて、それを何にも考えずに受け取れるレールがあるわけです。
でも、そこから“外れる”なら、全部自分で決めていかないといけない。この選択って“ただ学校に行かなくていい”ということじゃなくて、“自分の人生を選ぶ”ということなんだよなと。だからこそ自分たちで考えて生きていく覚悟を決めないと、と思いました。なので、子どもに対しても『ただずっと休めばいいわけではない。学校に行かないからには毎日の生活を自分で考えて作らないといけないから、実は学校に行く方が楽かもしれない。それでも行かない?』というような話は本格的に休み始めた当初に何度かしました。」

田中那奈さん

「私自身、それで様子を見ていたところがあって。学校に行きたくないのは、楽したいからなのか、意志を持って“行かない”って言ってるのかどっちかな?っていうのを確認したかったんです。でも本人は迷いなく『すごく大変だったとしても、そっち(学校に行かない選択)がいい』と言ったので、私としても覚悟が決まった感じです。そこからは、日々の過ごし方や勉強方法など一緒に考えながら試行錯誤の毎日が始まりました。
そして、この時点でもう一つ決めたことが、『学校に行っていないことを可哀そうだと思わない』『娘にも学校に行っていないことで罪悪感や引け目を感じさせないようにする』ということです。
学校へ行くのも、行かないこともどちらも悪いことではない。自分で選んだからにはその道を楽しんで進むことが大切で、そうじゃないと意味ない気がしたからです。
この時点では、まだ学校や近所のお友達とも頻繁にやり取りしていたので、周りからの批判的な声にくじけないためにも、自分たちの決断に自信を持ちたかったからかもしれません。」

そんな経緯を経て始まった『学校に行かない』生活。学校に行かない時間、具体的にどんなことをしていたのか教えてもらいました。

「勉強は、学校からもらったプリントやドリルをしたり、タブレット学習教材を使った勉強を毎日少しずつ自分で進めたりしていました。でも意外とあっという間に終わっちゃうから、本を読んだり、大好きな工作をしたり、ゲームやテレビを観たりして過ごしていましたね。工作は、小麦粉と水で作る『小麦粉ねんど』が好きで、ある時仕事中にふと振り向いたら顔が真っ白だった日もありました(笑)。」

小麦粉で真っ白になったAちゃん。楽しそう!

少しずつ安定する生活。それでも、やっぱり芽生える母の心配

自分なりに考えて毎日それなりに楽しみながら生活できるようになったAちゃん。その姿に安心する一方、だんだんと那奈さんの中に別の心配が芽生えてきました。

「勉強や工作などは家でもできるって思ったんだけど、日中は私が仕事をしてるから、何をするにも“ひとり”なんですよね。自分が考える範囲以外の刺激がないし、誰かと何かを一緒にする機会が圧倒的に少なかったんです。
土日はお友達と遊んでいたので、コミュニケーションは大丈夫そうだけど、学校の先生からも『学校は社会性を育む場所。それが大事なんです』って言われていたから、その機会がないことを心配したりして。『このままずっと社会から離れて過ごしていくのかな』っていう不安は持っていましたね。」

自宅で黙々とドリルに取り組むAちゃん。

学校を休み始めて3ヶ月が経った頃からは、週1回のオンライン塾にも通い始めたAちゃんを、那奈さんは見守り続けました。
約1年間の『学校に行かない』生活を続け、落ち着いてきたところ、那奈さんとAちゃんの気持ちも少しずつ変化が出てきました。

学校じゃなくても、ワクワク心が躍る場所へ。

「最初の頃の娘は、元気だけどどこか少しセンシティブになっていて、新しい場所に行くことや初めての人に会うことに消極的で、そういうことから遠ざかっていたんですが、1年経って生活も落ち着いて、オンライン塾も楽しそうだし、子ども自身が『有り余る元気をそろそろ発散させたい!』と変化しているように感じました。
私自身も当初は『学校に行かない』生活に対応することで精いっぱいだったのですが、1年経ってようやく学校以外の選択肢を考える余裕が出てきました。『元の学校に戻ることがゴールではなく、もっとワクワクする場所を探せばいいんじゃん!』と思うようになり、私立の学校やフリースクールを調べ始めましたね。」

小2の夏、子どもがワクワク、楽しく過ごせる学び場探しが始まりました。

「小学校受験とか考えていなかったので、私立の学校事情を全然知らなったし、フリースクールもホームページだけだとイマイチ雰囲気がつかめずワクワクしないな…みたいな。転職活動で企業を選ぶのと同じで難しかったです(笑)。
それでも調べていくうちに、長野にある風越学園とか大日向小学校など、新しい教育をしている個性的な学校があることも知り、少しずつ新しい学びの場への期待感が高まりました。
そんな中、週1回学んでいたオンライン塾で耳寄りの情報を得たんです。『うおー!これは行かないと!ここでしょ』ってなったんですよね(笑)」

不登校から1年半ー。ついに自ら「通いたい!」と思える“場所”に出会った那奈さん親子。それが今Aちゃんの通うフリースクールだといいます。
どんな学校で、どんなところに惹かれて通い始めたのか、次回お話しいただきます。次の記事はこちら。

ワクワクする子どもの学び場を創ろうプロジェクトについてはこちら。

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