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学校へ行けなかった、その後。

こんにちは、漫画家の棚園正一です。

2015年2月、僕は小学校1年生〜中学校3年生までの自身の不登校経験をモデルに「学校へ行けない僕と9人の先生」という漫画単行本を出版しました。

不登校をしていた当時の気持ちを中心に、両親や学校の先生、関わってくれた大人たちとの交流を描きました。

以下は出版社サイトの紹介文です。

鳥山明先生と出会い、少年は生きる希望を見つけた。

小学校〜中学校時代、不登校だった著者の実体験を基にした物語。学校へ行けない日々、「9人の先生」との出会いと別れを通じて、喜び、傷つきながら成長していく少年の姿を描きます。連載開始にあたり、少年が出会った9人目の先生、鳥山明先生よりコメントを頂きました。
「長い付き合いになるが、彼の過去を尋ねたことはなかった。不登校児だとは知っていたが、今回その頃を描いた漫画を読ませてもらい、ちょっと驚いてしまった。思った以上に漫画を描く事が彼を救っていたようだ」

そう、なんと最後にはドラゴンボールなどで知られる漫画家の鳥山明先生も登場します。

未読の方は是非とも。

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コチラのサイトから第3話までの試し読みができます⇩

「学校へ行けない僕と9人の先生」は有難い事に様々なメディアに取り上げられ、沢山の方々に読んで頂く事が出来ました。

つい先日は愛知県の「岡崎子ども応援委員会」の皆様が発起人となり、クラウドファンディングで岡崎市内の小中学校・子どもの家・育成センターに166冊の寄贈など、出版当初は想像もしていなかった広がりを見せてくれています。

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2020年4月15日 中日新聞朝刊より。

(※写真に写っているのは棚園ではなく岡崎市の職員さんです(^ ^))

本当に応援して頂いている皆さんのおかげです。
ありがとうございます・・・!!

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そして今回は2020年4月から連載が始まった「学校へ行けない僕と9人の先生」の続編、「学校へ行けなかった僕と9人の友だち」について、少しお話をさせてください。

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企画のはじまりと失敗

実は続編については「学校へ行けない僕と9人の先生」の終了後、すぐに取り組んでいたのですが、当時は上手くいきませんでした。

不登校以後のお話を考えると、どうしても漫画家を目指す漫画家漫画になってしまう・・・。

どういった気持ちをテーマに描けば良いのか焦点を絞りきれなかったのが上手く企画を進められなかった大きな原因でした。


出会った人たちから教えてもらった事

しかし、漫画を読んだ教育関係、支援団体からイベントや講演会に呼んで頂ける機会が徐々に増えて行く中で、実際に今現在、不登校や引きこもりの状況に苦しんでいる本人、ご家族、学校や施設に関わる方々に接する機会が増えて行きました。

実際に現在の不登校・ひきこもりの詳しい事情を知れた事は、とても大きな出来事でした。

そうした出会いの中で感じた事は、自分が幼い頃に比べて不登校児や引きこもりの方々をサポートする環境が随分と整っていた事です。


フリースクールや親の会、行政主導のイベントなど、僕が子供だった当時も(90年代になりますが)あったにはあったと思うのですが、今ほど多くはありませんでした。

(もちろん、それだけ悩みを抱える人たちが増えたという事にもなります。)

両親は少ない情報の中で新聞や雑誌、知人を介して、僕に様々な人を紹介してくれました。
その労力は相当に大変なものだったと思います。

今では親の会や講演会、不登校・引きこもり関係などでの様々なイベントが、同じ苦しみを抱える御両親や関係者の出会いの機会となり、つかの間の安らぎや力を蓄える場になっているように感じます。

大切な人を見守るためには、まず自分たちが心身共に健康でないと・・・!

それは当時に比べ、とっても素敵な変化だと思いました。

もっとも僕は苦労をかけていた側ですが・・・汗


苦しみの根本は変わっていない?

ただ、そんな素晴らしい変化の一方、悩みの元となる社会の仕組みは、あまり変わっていない事も思い知りました。

”生き方はそれぞれ”
”学校へ行けないのも個性、才能のひとつ”と世は謳いつつ、実際に周りと違う状況に陥ると不自由な気持ちに苦しんでいる方々が沢山います。

その方々に共通して大きな不安になっている事。

それは「不登校、引きこもりの人間がこの先、どうやって大人になっていくのか?」でした。

今回の「学校へ行けなかった僕と9人の友だち」の第1話に出てくる講演会のシーン「あの子が学校へ行けなければ、あの子を殺して私も死のうと・・・」などは、すべて講演会に来られた方々からの実際の言葉です。

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そういった苦しみの言葉を投げかけられた時、気の利いた言葉を返せない自分に何度も無力さを感じました。

僕自身も不登校をしていた当時、「自分の未来はどうなるんだろう?と不安で頭が一杯でした。

再び企画が動きだす

そんな頃、有難い事に出版社の編集さんから再び続編制作のお誘いを頂きました。

僕は教育の専門家でもなく、ただの漫画家です。
それに不登校や引きこもりの原因は千差万別で、すべてを解決する特効薬などないと思っています。
自分の経験は、あくまで一例に過ぎません。

それでも前作「学校へ行けない僕と9人の先生」を読んでくださった方々から沢山の励ましや感想のメッセージを頂きました。

その方々へ向けて次を書かせてもらえるとしたら何を描けば良いのか・・・

編集者さんとも打ち合わせを重ねて、的は絞れてきました。

不登校経験を経て生きてきた時間の中で、何が大切だったか?

それを描こうと。

自分の人生を振り返りつつ、正直に漫画として描くことで、今苦しんでいる人たちの未来への不安が、少しでも期待や楽しみに変わるキッカケになれたら・・・

これが続編「学校へ行けなかった僕と9人の友だち」の新しいテーマです。

不登校・引きこもりの問題に限った話ではありません。

どんな問題も突き詰めるほど、普遍的な人間の感情が中心にあるように思います。

多くの方々に「読んで良かった!」と喜んでもらえるように。

そんな作品を目指して頑張ります!

まだまだ物語は始まったばかり。
一緒に主人公の成長を楽しみつつ、見守ってくだされば嬉しいです。

トップ絵A


「学校へ行けなかった僕と9人の友だち」

双葉社webアクション 全10話 月一更新予定

現在までに2話まで更新されています。(2020年5月現在)

※無料で読めます

●コチラから分冊での電子書籍も購入可能です。


こちらのマガジンでは時々、各話の制作についての裏話や、描かれなかったエピソードなど、少しづつ書いていければと思っています。

気長にお付合い頂ければ幸いです。

棚園正一

ご覧頂きましてありがとうございます😊 少しでも読んで良かったと感じてもらえる記事があったら幸せです! 今後の作品制作のために是非ともご支援宜しくお願い致します^_^!