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女性の「管理職になりたくない」には要注意!

入社5年目の大企業で働く女性正社員のうち、管理職への意欲を持たない女性が6割にのぼったという調査結果にもとづく記事が昨日配信されました(↓)。

このタイプの調査はだいたい6~8割の女性が「管理職になりたくない」と回答するので、結果自体はそれほどめずらしいものではありません。ただ、気をつけたいのはこうした結果を見て「あぁ、女性って成長意欲が低いんだな」と決して思ってはいけないということです。

「管理職になりたい」女性はたしかに少ないです。一方で「いい仕事をしたい」女性は多い、というのがこれまで多数の働く女性を取材してきた私の実感です。そういうデータはないものか…と探していたらありました!

パーソル総合研究所さんの「働く1万人の就業・成長定点調査2018」です。上記の調査結果によると、管理職になりたい女性はたしかに少ないものの、「成長意欲」に関して言えば、女性が男性を上回る結果になっています。

では、「成長意欲は高い」のに、なぜ「管理職になりたい」女性は少ないのか…?これは管理職における「多様性の欠如」が背景にあります。

「多様性の欠如」とは何か…ということなのですが、そもそも日本における女性管理職の比率は世界の主要国と比較すると非常に低いです。世界の主要国における女性管理職比率は30%~40%前後が一般的ですが、日本の場合は11.9%(令和元年、厚労省「雇用均等基本調査」より)。これはあくまで平均値なので、これより低い比率の組織も当然あります。

そのうえ、男性と比べ女性管理職は、未婚率が高く、結婚をしていても子どもを持たない比率が高い点が極めて特徴的です。以下は「労働政策研究・研修機構」さんの調査データですが、「有配偶で子どものいる女性管理職は約3割に過ぎない(男性の場合は7~8割に達するにもかかわらず)」ことが報告されています(↓)。

そうなると、冒頭の調査のような「入社5年目」くらいの若手の女性社員からすると、結婚や出産・子育てなどのライフイベントと仕事との両立イメージがわかず、結果的に「管理職になりたくない」という話になってしまいます。

最近の「働き方改革」の推進による長時間労働の抑制や、コロナ禍を受けてのテレワークの浸透は「管理職の多様化」に間違いなく追い風です。数年後にはこの手の「管理職になりたい」女性比率にも変化が起きてくるのではないでしょうか。



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