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内省と反省の違いとは?自分を知るために必要なこと

田中裕之と申します。IT企業でキャリア自律支援をしたり、職場の人間関係づくり・コーチングなどに取り組んでいます。

自己成長や人間関係をよくすること、自分の行動を変えたり、自分の将来像を明らかにするなどの上で欠かせないのが「内省」です。私は内省が好きで10年以上取り組む間に、もはや習慣となっています。

この内省ですが、よく振り返りという言葉で一括りにされることが多いです。一方でビジネスの場で振り返りと言うと、KPTのような「反省」のイメージが強いと思います。

では、内省と反省は同じなのかと言うと、全く異なるものです。そして、自分を知り、自己理解を深めるために必要なのは内省の方なのです。今回は、分かるようでよく分からない内省と反省の違いの話です。

どうして振り返りをおこなうのか?

一言で言えば、将来をより良くするためです。

例えばKPTであれば、継続することと課題を仕分けし、課題への対処を考えて行動計画を立てることで、よりよい将来の結果を目指します。

また、経験学習サイクルというモデルであれば、ただ経験しただけでは成長には繋がらず、振り返りをして意味づけしたり、気付きが生まれることで、自己成長へと繋げていきます。

より良い結果や自己成長のためのように、将来をより良いものにするために振り返りは大切ですし、その点では内省と反省は同じものです。

内省と反省の違い

1.良し悪しの有無

ここから内省と反省の違いになります。1つ目は、良し悪しの有無です。

反省は、過去の出来事を悪かったものとして捉え、より良い方法を求めます。そのため、良し悪しが有ります。一方内省は、ただ事実として捉えるだけのため、良し悪しは有りません

たとえば、反省の場合「顧客提案がうまくいかなかったのは、顧客の周辺環境の情報収集が不足していたからなので、次回からは事前の情報収集を徹底しよう」のように、環境理解不足が悪い、情報収集の徹底が良い、という良し悪しがあります。あの時の自分は悪かった、と言っているようなものです。

一方内省の場合「顧客提案で凄く緊張していた自分がいたなぁ、時間がなくてかなり焦っていた自分もいたなぁ、なんであんなに緊張したり焦っていたんだろう」のように、その時の自分の状態を俯瞰的に見て、事実として観察します。そこに良し悪しはなく「あのときはこうだった」だけで、自分が悪い、のような考え方はしません。

2.焦点を当てる部分の深さ

内省と反省の違いの2つ目は焦点を当てる部分の深さです。反省は、誰が見ても分かる人間の表層=行動レベルに焦点を当てます。一方内省は、自分にしか分からない人間の深層=感情や価値観に焦点を当てます。

良し悪しの有無の例を使うと、反省の場合は「情報収集不足だった」のように行動の話が多くなります。一方、内省の場合は「緊張していた、焦っていた」のように感情や気持ちの話が多くなります。

反省は、行動レベルで行うため他者が見ても分かるしアドバイスもできるものです。しかし、内省は、気持ちや内面レベルで行うため自分自身にしか分かりませんし出来ません。自分にしか分からないしできない、というのが内省の特徴的な部分の1つです。

3.時間軸

内省と反省の違いの3つ目は時間軸です。反省は、過去の出来事に対して行うものです。後から振り返ります。一方内省は、過去だけでなく、今に対しても行うことができます

例えば、プレゼン発表があった際、反省はプレゼン後に行います。「あの時の言葉遣いが良くなかったなぁ」のように自分の行動に対してマルかバツをつけます。

一方内省であれば、プレゼン中も可能です。「あ、言葉遣いを間違えて、ちょっと混乱している自分がいるなぁ」のように自分の今の気持ちを俯瞰して捉えます。すると「混乱すると早口になるから、気をつけよう」のように、リアルタイムで自分の行動への意識付けができます。

過去の自分を見るのか、今の自分を見るのかという違いも、反省と内省の違いの特徴的な部分です。

自分を知るためには「内省」をしよう

ここまで内省と反省の違いを3つ挙げました。反省は過去の行動に良し悪しをつけるものであり、内省は今の感情・価値観を俯瞰的に捉えるものです。このように将来をより良くするという同じ目的であっても、内省と反省は全く違うものです。

そして、自分を知り、自己理解を深めるには「内省」の方が効果的です。なぜなら、人は常に変化するからです。

過去のある時点に立ち返ることも大切です。パターン化した自分に気付くことで、似たような場面に遭遇したときに対処が可能です。

ですが、私たち自身も周りの環境も常に変化しています。そのため、今この瞬間に自分の内面深くで起きていることに焦点を当てることが、一番新鮮で最新の自分でありリアルなのです。

自分を知るためには反省ではなく内省を。違いを理解して、うまく使い分けましょう。

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