タナボタばんざい

ほぼ日刊イトイ新聞「ほぼ日」の「小ネタ劇場」近辺に生息する生き物です。

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最近の記事

想像力は。

 本を読むと何にいいのだ、と時々夫に詰め寄られる。  私が息子たちに読書を一生懸命推進していた十年前は毎日のように。 「君本を読め本を読めって言うけど、本を読んでも国語の成績は全然伸びないじゃないか」  成績を盾に取られると分が悪いけど、国語の成績のために読んでいるんじゃないよ。本を読むことで、たくさんの経験や価値観をいただくことができるし、何より想像力が養われるんだよ。だって情景を読みながら想像しないと読めないでしょう?  私の説明は彼に届いたか届かなかったか。    さて

    • 一足お先に!白内障・術後記〜ワンタンスープと晴れた空

      人間って、見ることで得る情報が一番大きいから、見えなかったのが見えるとそりゃあもう、すごいんですよ。わたしがそれです。白内障の手術をしたのです。  えっ、もう?  よほど進行した白内障だったんだねって?  そんな歳でもありませんのよオホホ。でも、加齢変化に加え、長年のアトピー性皮膚炎による白内障がきたため(そしてアトピー性の白内障は進行が速い)手術に踏み切った次第。  だけど、それが良かったのー!  濁った、そしてど近眼仕様の水晶体が取り去られ、目にピッタリ合った、新しい人工

      • 驚きのススメ。自戒を込めて。

         寝返りができた。つかまり立ちをした。マンマの声をあげた。その度に、手をたたき、声をあげ、やんやの大喜びをしたのではなかったか、わたくしよ。  ひらがなが読めた。自分の名前を書けた。おせんべい3枚に1枚を足したら4枚になるとわかった。大喜びで、「あなたはてんさいよ」と言ったのではなかったか。わたくしよ。  今、息子たちは、はるかに困難な技をやってのけているではないか。  一人の部屋に住まい、時間が来たらなんとか目覚めて、着替えて降りてくるし、概ね忘れ物をすることなく、学校の重

        • 母お手製の弁当を母が食べて、手前味噌をぶち上げる話。

           毎日弁当を作る。高2と中3の、二人の息子のために。  そりゃさぞかし大変だろう、と思ってくださる優しい方よ、ありがとうございます。二人とも文化系で小柄、たいして食べないのでOLさん仕様のランチジャーなので大丈夫です…。  ランチジャーの構造は、太い水筒のような魔法瓶容器の中に下からスープの容器、ご飯の容器、そしててっぺんにおかずの容器と「だるま落とし」のように容器がタテに重なって、最下層のスープの熱によって程よく全体が温められ、ぬくぬくのお弁当が食べられる仕組みである。冬な

          ずっと歌ってた。15年前の、たそがれどき

           長男も次男も、よく泣いた。良くもまあ、体力が続くねと思うくらい泣いた。ええ勿論、彼らが赤ちゃんの頃の話だ。  抱っこして、揺すりながら背中をトントン。柔らかく頼りない体をつっぱらせて泣いていた子が、だんだん静まって、いつかスゥーと眠りに落ちてゆく。 が。  世の中そんなに甘くない!!!  特に長男は寝ない子太郎で、泣き止まないキングで、育児初心者のわたしの心を折る名人だった。乳児時代はずっと抱いてトントンうろうろしていた気がする。  ただトントンでは、わたしも飽きる

          ずっと歌ってた。15年前の、たそがれどき

          科学の力サンキュー。ハクキンカイロ。

           お寒うございます。  いや、お前んところ岡山やろ。晴れの国やろ。雪、かけらも積もらへんねやろ。寒いってなんやねん。…無数のツッコミを感じつつ、お寒うございます。  本気寒さ仕様のファッションが普及してないし、「晴れの国」は要は「低湿度の国」なので、低温が余計に肌に刺さるし、何よりコロナ対策の換気が行き届いているせいで…わたしの仕事場、超寒いのだ。外来の患者さんが来られて、胸の聴診をするのに服をめくるのが申し訳ないくらい、寒い。  もう一つ、申し訳ないのは  聴診器のチェス

          科学の力サンキュー。ハクキンカイロ。

          マカロン・ラプソディー③揃えた道具

           憧れのかわいい美味しいお菓子マカロン。たくさん食べたいなという原始的な欲求から、日々オーブンに向き合うことになった。そして、製菓材料専門店に足繁く通うことにも…。    製菓材料店が、幸い自宅からほど近くにあって、とても便利だ。子供の頃はよく、母の買い物にくっついて行ったものだ。パンを大量に焼いていた母は、強力粉を10kgとか、どすんと大袋で買っていたもので。ここの棚はとても楽しい。色とりどりのチェリーとかスプレーチョコ、数々のクッキー型にマドレーヌなどの焼き菓子の型。ブラ

          マカロン・ラプソディー③揃えた道具

          マカロン・ラプソディー ②つるっとまあるく仕上げる

           マカロンの本体が焼けた。わりに上手く焼けた。詳細なレシピの通りに作ったおかげなので、レシピ様ありがとう。そして、オーブンレンジが設定温度通り動いてくれたおかげだと思う。ありがとう。  それくらい、目の前にゴロゴロするマカロンの山は壮観で、マカロンをお腹いっぱい食べたい欲は満たされてしま…ったわけではない。  いろんな色、フレーバーがマカロンの醍醐味ではありませんか。あれを体験しないでは、「マカロン作りました」とは言えない気がする。  だから、いろんなフレーバーに挑戦せねばな

          マカロン・ラプソディー ②つるっとまあるく仕上げる

          マカロン・ラプソディー ①自分で作ろう編

          これは、敬愛する文章の先達へのオマージュである。 カラフルで愛らしく、サクッと甘いお菓子マカロン。 大好きなのだが、何しろ高価である。一つにつき2〜300円はする。そして、マカロンはカラフルでお味が色々あるからこそ気分の上がるお菓子だ。1個食べるだけで満足できない。色々、たくさん食べたい。なのに、パッケージにはせいぜい5個、食べる家族は4人(我が家の場合)。可愛くて大好きなのに、いっぱい食べられない。「え、オレも黄色の食べたかった」などと希望が重なるため、ナイフを持ち出して

          マカロン・ラプソディー ①自分で作ろう編

          おすすめしたい、マイキッチンのヒーローたち

           わたしは料理研究家でもなければ家事代行者でもない。  器用でもないし几帳面でもない。  だけど、夕方6時半を過ぎると「今日の晩飯なに?もちろんおかーさんの料理はなんでも美味しいんだけど」と、たくさんの課題をわたしの振るうフライパンの中身を心の支えにしながら頑張る息子が、ふらふらとキッチンにやってくる。なので、毎晩ご飯を炊き特売のお肉を晩ごはんに加工している。  そんなわたしがキッチンで「君がいてくれてよかった!」と毎度思っているヒーローたち、キッチングッズをご紹介します。

          おすすめしたい、マイキッチンのヒーローたち

          あるこう、歩こう、わたしはげんき。

           歩くことは大変シンプルな身体の運動で動作で、生まれて1年ほどすると、大抵のお子はおぼつかないながら「一人歩き」ができるようになる。わたしは1年半かかりましたけどね。あ、あと長男も。  あまりに当たり前かつシンプルゆえに、「あるく」ことがどれほど素晴らしい運動であるかは意外に知られていない、と思う。 ・有酸素運動 これは言わずと知れた。 ・筋肉増強  人は下半身から衰えるので、歩くことで筋力維持、上手くすれば増強ができる ・心肺機能の増大 ラクしてトレーニングですよ。心臓も呼

          あるこう、歩こう、わたしはげんき。

          おかーさんが、君を好きなところは。

          「オレのいいところって何さ」 中2の次男が言った。朝ドタバタ支度をしている合間のことだ。表情は硬く、大変生意気な口調、母親への挑戦状と言わんばかりに。オレのいけないところばかり言ってるかーさんよ、オレのいいところなんか言えるのか?オレにいいところなんかないんだろ?月曜の朝は大抵こうだけど、今日はいつに増して手負いの獣感が強い。  気づかないふりして、淡々と並べてやった。いくらでも出るよ。  「こうと決めたら揺らがないところ」 「とことん誠意を尽くすところ」 「やさしくて思い

          おかーさんが、君を好きなところは。

          さわやかなピッタリフィットってことじゃろ?

           気軽に外出ということが叶わなくなってもう1年半、学校と塾以外はほとんど家で過ごす息子たちは、この頃私が「今日は買い物に行ってきた」と繁華街の雑貨店の名前など挙げると「いいなぁおかあさんばかり」「俺だって買い物に行きたい」と羨望を隠さないようになった。  たとえば、昨日私が赴いたのは街中にある「ロッツビル」という古い雑居ビルで、ここには雑貨店「ロフト」と生活用品全般「無印良品」が入っている。しかし息子たちが思うような、棚から棚へ、フロアからフロアへ蝶のように楽しくさまよい、

          さわやかなピッタリフィットってことじゃろ?

          助けてくれたのは、ブロンテ姉妹。

           LineもTwitterもFacebookも、e-mailすらなかった、わたしの中学生時代。  しかしながらわたしは、学校に馴染めなかった。いじめを受けて孤立していたからだ。  古き良き、と枕詞のつくことの多い昭和時代をわたしも勝手なセンチメンタルに浸りながら回想することもあるけど、学校生活に関して言えば全然楽しいところではなかった。  みんなが同じでなければならなかった。あれは一体どうしてだったんだろう。一億総中流社会の気運だったんだろうか。名前には「子」が付き、お正月

          助けてくれたのは、ブロンテ姉妹。

          会いに行くよ。マヂ。

           彼女の正確な年齢を知るものは少ない。  もし聞けばピシャリと「女性に年齢を聞くのは失礼ですよ」とやられてしまうのを、みんな知っているから。   そんなわけで、マリアンヌは年齢不詳のスウェーデン人おばあちゃんだ。在日歴およそ50年。多分年齢は80代。日本語は若干の拙さをまといつつも会話においては全く不自由ない達者ぶり。漢字は読めないけれど郵便物等は都度そのとき訪ねあわせたお客が読んで解説するから問題なし。日本語を筆記する必要があるときは、ローマ字記載をしていた。年賀状はサラ

          会いに行くよ。マヂ。

          ゆこう。さざ波の彼方へ。

           シワができた。目尻に。カラスの足跡ってやつだ。  アトピー歴=年齢なので肌はとても弱く薄い。乾燥肌なので、全身さざ波が寄っている。そこへ、このたび鮮やかに、高らかに、厳然と刻み付けられた目尻のシワ。  原因はわかっている。  昨年春から新型コロナウイルスが世界中を席巻し、感染対策のために人と接するには常時マスクをするようになった。わたしは医療従事者、内科医であるがもともとそんなにマスクをする方ではない。インフルエンザが大流行りする冬の時期だけ、イヤイヤつける程度だった

          ゆこう。さざ波の彼方へ。