新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症やコロナワクチンについては、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

Japan Hop Country-ツーリズムで農業の課題を解決する

岩手県遠野市で「日本産ホップの再興」に挑戦しているBrewGoodの田村です。一番搾りとれたてホップ生ビール(遠野産ホップ使用!)が今年も店頭に並んでいる時期に、ホップ生産地の遠野から新しい取り組みを発表します。

2021年11月、TONO Japan Hop Countryという新しいブランドを掲げ、プロモーション動画やWEBサイトをリリースしました。ホップやビールを軸としたツーリズムや体験が楽しめる「観光地」としてのブランド名称です。

まずはプロモーション動画をご覧ください。

※撮影は新型コロナウイルス感染症対策に配慮したうえで行ない、撮影の際だけマスクを外しています。

プロモーション動画では、遠野で体験できる新しいツーリズムを紹介しています。ホップ畑のグリーンカーテンの中で飲むビールは最高に美味しいのです...!それだけでなく、遠野の美しい里山を自転車で走ったり農家民泊でランチとビールを楽しんだり遠野物語の舞台を巡ったりと、ホップとビールを軸にしたコンテンツが盛りだくさん。

WEBサイトでは、ツアーの紹介を中心に置きながら、遠野の魅力や、飲食店・おすすめスポットも紹介しています。今回のリリースは第一弾で、第二弾(遠野ホップ収穫祭・ニュースのページ追加)、第三弾(英語版)と予定しています。

ホップとビールを楽しむために、国内だけでなく、世界中から遠野を訪れる人が増える未来を目指しています。2021年もコロナ禍で遠野ホップ収穫祭やビアツーリズムが開催できませんでした。悔しい思いをしながらも、来年以降のafterコロナ・withコロナを見据えて、今年はこのツーリズム開発やプロモーションの準備にコミットしていました。

ただ、私たちは観光振興だけをしたいわけではありません。タイトルにあるように、ツーリズムによって農業の課題を解決したいのです。このnoteでは今回の施策の裏側にあるものを書きたいと思います。

日本産ホップの衰退に立ち向かう

今回の観光施策の話も、遠野のホップ農業の課題を解決したいというのが背景にあります。

※そもそもホップって?ホップ農業の課題って何?という方はまず下記のnoteを読んでいただけると嬉しいです。

私たちは、ホップ農業や地域の課題を解決するために日々取り組んでいます。昨年は遠野で活動しているプレイヤーのインタビュー記事をまとめたVISION BOOKを作成したり、ふるさと納税の仕組みを活用して課題解決のための財源を集めたりしていました。ふるさと納税では多くの方に支援していただきました。本当にありがとうございました。

しかし、ホップ農業の課題はまだ解決できていません。栽培現場の課題はたくさん残っていて、農家数の減少は今年も続いています。そして、地域の課題としても、新型コロナウイルスの影響も相まって厳しい状況の事業者がたくさんいます。

私たちの挑戦は、まだ始まったばかり。プロジェクトをもっと前に進めていくためには、できるだけ多くの方に遠野の取り組みを知ってもらい、一緒に課題解決を進めていく応援者・仲間を増やすことが必要です。

応援者・仲間を今よりもっと増やすことを考えた時、今のままネット上で情報発信し続けることの限界も感じていました。ビールの重要な原材料でありながら、ホップという作物の認知度もまだまだ低いですし、実際に見たことがある人も少ない。日本のホップ農業がとても危機的な状況ではあるものの、その課題を身近に感じることが難しいと思っています。

ツーリズムによって応援者を増やす

これまで、遠野ホップ収穫祭や、遠野ビアツーリズムなど、実際に遠野に来てホップ畑を体感してもらい、その魅力と課題を伝えてきました。

画像4

遠野ホップ収穫祭の様子

遠野に足を運んでくれて、お話ができた方々はその後も応援者になってくれることが多いと感じています。実際にホップ畑を案内し、そこで楽しい体験をしてもらう。そしてこの体験や光景が当たり前に続いていくものではないことを伝えていく。そうすることで、ホップや地域の課題が身近になっていくのだと思います。

しかし、遠野ホップ収穫祭は2日間で12,000人も来場するイベントに成長したので、1人1人とじっくり話すことは難しくなってきましたし、1年のうち2日だけのイベントです。ビアツーリズムも、BEER EXPERIENCE社が先導して推進している中で非常に人気ですが、ガイド数もまだ少なく受け入れキャパも多くありません

応援者を増やしていくためには、遠野でのツーリズムを強化していくこと、受け入れ体制を整備していくことが必要だと考えたのです。

今年、遠野のプロジェクトが国税庁の酒蔵ツーリズム推進事業に採択されたことで、国税庁や本事業の事務局であるジェイアール東日本企画の皆さんのバックアップを受けながら、BrewGoodもツーリズムというテーマに本気で取り組み始めました。

ビアツーリズム強化のために

酒蔵ツーリズム推進事業では、主に下記の内容を取り組んでいました。

スクリーンショット 2021-11-17 10.23.17

まず、地域におけるビアツーリズム事業者を拡大しました。すでにビアツーリズムを実施していたBEER EXPERIENCEに加え、新しく遠野山・里・暮らしネットワークtoknowの皆さんが仲間に加わりました。

遠野山・里・暮らしネットワークは、長く地域に根ざして農家民泊・グリーンツーリズムを推進してきた団体です。最近では、遠野駅前に「旅の産地直売所」をオープンし、着地型観光ツアーや、マウンテンバイクで里山を走るツアーを販売しています。

toknowは、遠野の大切な資源である『遠野物語』の魅力を可視化し、その楽しさや面白さを伝えていく活動を行っている団体です。すでに、遠野物語の舞台をめぐるフィールドワークやツアーを実施してきた実績があります。

実施事業者を3社に拡大することで、それぞれの強みを活かした多様なツーリズムを展開できるようになりました。今年はこの3団体と、企画会議や、モニターツアーを繰り返し、商品の磨き上げを進めていました。WEBサイトでも、BEER・BIKE・TRADITION という3つのツアーを紹介しています。

プロジェクト全体のアドバイザーとして、ジャスティン・ポッツ氏を招聘し、海外目線での磨き上げ、ブランディング、海外メディアへの出稿など(他にもたくさん..!)も手伝ってもらっています。

現在も進行中ですが、ガイドマニュアルや育成プログラムも作成しています。遠野のビールプロジェクトとしても、今まで以上に、地域内外の関係者と連携しながら、着々と準備を進めています。イベントなどが開催できなかったコロナ禍だったからこそ時間をかけて準備ができました。

Japan Hop Countryに込められた思い

ブランド名称「Japan Hop Country」に関しても、何度も議論を重ねて決まったものです。この名前は、先ほどの3つの事業者と連携していなかったら生まれていなかったかもしれません。

今年、地域のコンテンツリサーチや、各社との議論やモニターツアーを通じて、改めて遠野の魅力を知ることができました。そして、遠野だからできるビアツーリズムとは何かを考え続けました。

スクリーンショット 2021-11-17 10.36.16

遠野市は、日本の原風景が残る場所だといわれています。四方を山に囲まれた盆地には、どこか懐かしさを感じる里山の風景が広がっています。

画像5

そんな美しい遠野で、日本の田舎らしい体験、ホップ生産地ならではのビール体験をしてほしいという意味を込め、Japan Hop Countryというブランド名に決めました。都市部のようにたくさんの醸造所や飲食店はないけれど、先人たちが守り続けたこの美しい景観の中で楽しむビール体験こそが価値だと思ったのです。

ロゴはBrewGoodの上西さんがデザイン。空と山とホップ畑。遠野のビアツーリズムに参加すると、目にする美しい景色。私たちの活動の目的は、観光振興だけではなく、ホップ栽培を未来に繋げ、遠野の美しい風景を残していくことです。この先もずっとこのロゴに表されたような風景が続く遠野市であるように、という思いを込めてデザインしました。

地域の農業を守り、産業を育てるツーリズム

私たちがツアーを実施できるのも、ホップ畑や美しい里山の風景があるからこそ。そのためには、ホップなどの地域の資源を消費するような関係性であってはいけないと思っています。

WEBサイトのWHYのページには下記の文言を入れています。

遠野の未来を共に創る関係
このウェブサイトで紹介するすべてのツアー費用には、ホップ栽培や地域に還元する寄附金が含まれています。また遠野市では、個人や企業からの寄附も受け付けており、いただいた寄附金は持続可能な農業と地域づくりに活用されます。私たちはみなさんと、この素晴らしい遠野を一緒に守り、楽しい体験を分かち合う関係でいたいと考えています。

ツアー参加費の一部を寄付金にして、そのお金を非営利組織(財団)に入れ、そこからホップ農業、地域の他の農業、地域づくりなどに還元する仕組みをつくろうとしています。(現在、地域の仲間と共に、財団づくりを進めています。詳しい人いれば教えてほしいです!)最初はあまり多くのお金が集められないかもしれませんが、少しずつ進めていきたいと思っています。

スクリーンショット 2021-11-18 14.39.21

ツアーに参加してホップとビールを思う存分楽しむことが地域を応援する力になる。そして、それは地域の農業を守り、産業を育てることに繋がっていく。

大きな課題を解決するために、ツアー参加者と直接話して、応援者・仲間を増やしていく。参加料の一部を地域に還元する仕組みをつくる。これが、タイトルに書いた「ツーリズムで農業の課題を解決する」ことです。

いつか遠野で乾杯しましょう!

ここまでが、今回の「TONO Japan Hop Country」をリリースした背景です。長々と書いしてしまいましたが、旅行先を考えるときにビールが楽しめる場所・遠野を選択肢に入れていただけると嬉しいです。WEBサイトも遠野の魅力が詰まっていますので、ぜひじっくりご覧ください。

私たちもこのリリースで終わりではなく、これからが本当に大切。皆さんにより楽しい体験を提供できるように、一緒に楽しい思い出をつくれるように、引き続きツアー内容の磨き上げや受け入れ体制の整備を進めていきます。(WEBサイトの第二弾・第三弾のアップデート、新しい動画など、年内にやることがたくさんあります...!)

来年のホップのシーズンに自由に旅行ができるのかはまだ分かりませんが、皆さんとホップ畑で乾杯できる日が来ることを楽しみにして、引き続き頑張っていきます!

スクリーンショット 2021-11-18 14.32.36

最後に
今回のプロジェクトも、地域内外の皆さんのご協力があってリリースすることができました。本当にありがとうございました!引き続きよろしくお願いします!

11/22追記
実際のツアーの様子をジモコロに取材していただきました。こちらも読んでいただけると嬉しいです。

2/7追記
プロジェクト全体を紹介する動画も完成しましたので、こちらに貼っておきます。


プロモーションムービー

撮影・編集  inaho.inc

WEBサイト
デザイン・制作:Re:design
スチール撮影:仁科勝介The Hidden Japan(Derek Yamashita)
海外向けブランディング:ポッツ家プロダクション
ライティング・校正:富江弘幸

総合プロデュース・ディレクション:株式会社BrewGood

画像7

ツアーの合間に仁科くんに撮影してもらったBrewGoodチームの写真
左から 上西尚宏田村淳一小田切大輝 


◎書いた人◎

田村淳一
株式会社BrewGood 代表取締役/ 株式会社遠野醸造 取締役
2016年にリクルートを辞めて遠野に移住し、遠野醸造というマイクロブルワリーと、BrewGoodという会社を経営しています。BrewGoodでは遠野を拠点にホップとビールによる新しい産業づくりに挑戦中。

WEB:https://brewgood.jp/
twitter : https://twitter.com/tam_jun    
Mail:info@brewgood.jp

株式会社BrewGoodでは、地域や農業の課題解決、新しい産業づくりに挑戦しています。私たちはホップ栽培を起点に取り組んでいますが、同じような課題を抱える地域や農業(作物)は日本全国に多いと考えています。私たちは遠野市での挑戦で得られた知見をもとに、他の地域、農業、企業の課題に対して、実践的で具体的な解決をサポートすることができます。お困りごとがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。


この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!