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【プロフェッショナルに聞く 第7回】司法書士法人スターディオ 代表 保坂真世氏/相田紳太郎氏 × タミヤホーム 田宮明彦

不動産や税務、建築、労務など、さまざまなプロフェッショナルに、これまで積み重ねてこられたキャリアと実績をお聞きする「プロフェッショナルに聞く」。第7回は、司法書士法人スターディオの保坂真世様と相田紳太郎様がご登場くださいました。司法書士としてご活躍されているお二人は、これまで相続に関するご相談に数多く応じ、生前対策から相続発生後の手続きまで幅広く対応してこられました。お二人が司法書士を目指した経緯や、ご相談者との忘れられない大切なエピソード、そして、司法書士として大切にしている思いについてお話しいただきました。

<プロフィール>
保坂 真世氏/相田 紳太郎氏
司法書士法人スターディオ 代表
保坂 真世氏…神奈川県横浜市出身。2009年、司法書士試験合格。得意分野は中小企業法務・相続・不動産売買。
相田 紳太郎氏…神奈川県中郡二宮町出身。2010年、司法書士試験合格。得意分野は相続、遺言作成等生前対策、家庭裁判所提出書類作成。


若くして資格職を志したお二人が出逢い、横浜で司法書士事務所を立ち上げる

田宮「まずはお二人が司法書士を志した経緯についてお聞かせください。」

保坂様「私はかなり早くて、中学生の頃には『資格を取得して、独立しよう』と考えていました。その後、法学部に進学して、司法書士の資格を取得しました。」

相田様「私も同じです。祖父が不動産会社、父が薬局を経営していたこともあり、早い段階で『資格職に就いて独立・起業しよう』と考えていました。ただ、法学部に進学したものの遊びの方が楽しくて……。大学4年になって真剣に将来について考えるようになり、“司法書士”を目標に定めました。」

保坂様「司法試験合格後、司法書士事務所で経験を積み、29歳の時に横浜で独立・開業しました。その後、パートナーの相田が加わり、事務所を法人化したのが2018年です。」

田宮「そうだったのですね。お二人とも相続に関するご相談に数多く対応されてきたとのことですが、どのような相談が多いのでしょうか。」

保坂様「相続に関するご相談は生前から相続発生後までさまざまですが、最も多いのは相続発生後のご相談ですね。人生において相続はそうそう多いものではありません。多い方でも、一生に2~3度程度でしょう。しかも大切なご家族を亡くされて、気持ちが沈んでいるなかで相続の手続きを行わなければなりません。何をどう進めていけばわからない中で、ご相談に来られるケースが非常に多いですね。」

相田様「中でも不動産を相続される場合、大きく2つのケースに分けられます。一つは、相続人が亡くなられた方と同居されているケース。引き続き、ご自宅を相続して住み続ける場合は、他の相続人に代償金を支払うなどして遺産を分割することもあります。もう一つは、ご遺族が亡くなられたことで、空き家になってしまうケースです。『実家を売りたいが、解体して更地にしたほうが良いのか、その場合どのくらい費用がかかるのか』といったご相談をよくいただきます。

保坂様「空き家を売却する場合、不動産を相続した方が売却代金を取得します。不動産の名義を持っていないご遺族は売却代金を得ることはできません。そして、不動産を売却してから売却金を分配すると贈与税がかかってしまいます。これらの認識がないまま不動産を売却してしまうと、トラブルになってしまいがちです。遺産分割協議では、不動産を売却した後も含めて話し合いを進めることが大切なんです。」

不動産相続に伴う手続きを代行した「忘れられないエピソード」

田宮「不動産の相続に関する事例で、印象に残っているエピソードはありますか。」

相田様「直近の事例になりますが、お子さんのいらっしゃらないご夫婦が亡くなり、甥子さんや姪子さんなど15名の相続人で不動産を分割した事例が印象に残っています。」

田宮「15人となると、手続きも大変そうですね。」

相田様「ご夫婦が亡くなられた後、数年間、相続手続きを行わずにいらして、『このまま放置するわけにはいかない』と、ご相談に来られました。人数がここまで多くなると、話し合いにも時間がかかります。そこで、父方・母方の両家からそれぞれ相続人の代表を選定していただきました。

田宮「その後はスムーズに話し合いが進みましたか。」

相田様「両家の相続人代表と話し合いを進めるようになってからは、意思疎通が一気に図りやすくなりました。買い手の不動産会社も決まり、解体工事会社に依頼して更地にしてから売却しました。」

田宮「どのように遺産を分割したのでしょうか。」

相田様「売り主を相続人の一人に取りまとめて、その方の名義に変更してから売却し、売却代金を法定相続分で分けました。先にお話した通り、このような場合には、きちんと遺産分割協議書に記載しておかないと他の相続人に贈与税がかかってしまうため、その点に気を付けながら進めました。」

田宮「なるほど。それなら全員が納得する方法ですね。保坂先生もぜひ、印象に残っているエピソードをお聞かせください。」

保坂様「一つに選ぶのは難しいので、『少しでもお役に立てたかな』と感じた事例をご紹介させてください。長男・次男・三男の三人兄弟で、お母様はご健在だったのですが、ご次男が若くして亡くなられてしまいました。その相続の手続きに関するご依頼をいただき、不動産の相続登記をはじめ、諸手続きを代行させていただきました。その翌年、今度はご長男から『自分も病気になって、先が長くない』というご連絡をいただいたのです。

田宮「そのようなご連絡があったのですか。」

保坂様「ええ。そして、『実は母は父の後妻で、私とは血縁関係がない。でも、本当の母親のように育ててくれて、とても感謝している。だから母にも私の財産を遺したい』と、思いの内を話してくださいました。

田宮「それで、どのような解決方法をご提案されたのでしょうか。」

保坂様「『養子縁組をして、法律上の相続関係を発生させましょう』」とご提案させていただきました。すぐに養子縁組の手続きを行ったのですが、ご容態が悪化してしまい、公正証書遺言を遺すことが難しくなってしまいました。そこで、『自筆で簡単なものでもよいので書いてください』とお願いして、手書きの遺言書を作成していただきました。その直後にご長男が亡くなられたのですが、遺言書を書いていたおかげで、お母様に遺産を相続してもらうことができました。」

「あなたにお願いしてよかったわ」というご相談者の言葉を聞く度に、司法書士になってよかったと思う

田宮「司法書士として相続のお手伝いをするということは、そこまでご遺族の方の心に深く寄り添っていくものなのですね。」

相田様「大切なご遺族を亡くした後にご相談に来られる方の場合、気丈に振る舞っていたとしても、その苦しみは計りしれません。そのせいか、お話をお聞きしている間、ご相談者の感情があふれ出てしまうこともあります。」

保坂様「ご相談者とじっくり向き合い、丁寧にお話をお聞きしていると、自ずとご遺族の生前のお話をしてくださいます。『旅行が好きで、二人でいろいろなところに行ったのよ』といった具合に。だから私たちは、ご相談者の心に寄り添うことを何よりも大切にしています。そして、『あなたにお願いしてよかったわ』と言っていただくたびに、“司法書士”という仕事を選んでよかったと、心から誇りに感じます。

田宮「お二人のご相談者を思う気持ちが伝わってきて、心に深く響きました。最後に、相続で悩んでいる方に向けてメッセージをお願いします。」

保坂様「不動産の相続手続きは煩雑になるケースが多く、安易に売却をすると、贈与税などが発生してしまう可能性もあります。不公平な分け方にならないようにするためにも、まずはお気軽にご相談いただけたらと思います。」

相田様「人の死はいつ訪れるかわかりません。この間まで元気だった方が、突然亡くなられることもあります。だからこそ、相続が発生していない生前の段階で対策を取ることをお勧めします。今で言う終活のようなものですね。特に遺言に関するご意思があるのなら、生前に遺言書を作成しておくとよいでしょう。生前に対策を取ることで、全員が納得して相続ができると思います。」

田宮「保坂先生、相田先生、本日は貴重なお話をありがとうございました。」


タミヤホームでは、年間1,000件の解体工事を手掛けています。
また、解体工事だけでなく、解体工事発生前の、空き家や相続、不動産に関するお悩みを解決する無料相談窓口も開催しています。
解体工事や鍛冶工事、相続、空き家、不動産についてお困り事がございましたら、お気軽にご相談ください。


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