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【書評】ファンが増える文章術〜「書かなきゃ」から「書きたい」に変わる1冊

本の「あとがき」を読んで泣いたのは、はじめてだったと思う。

あじさい、ひまわり、かすみ草、薔薇、桜。
どの花にも、それぞれ魅力があり、
すばらしさがあります。
それぞれの花が「らしさ」を輝かせて生きています。
あなたは、あなた。
ほかの誰かになることはできません。
そもそも、ほかの誰かになる必要もありません。
ファンが増える!文章術
---「らしさ」を発信して人生を動かす
山口拓朗著

こんな書き出しで始まるその本は、終始この優しさのまま、隣で寄り添うように語りかけてきた。

途中なんども心に迫ってくる熱い気配を感じつつ、夢中になってページをめくっていたら、普段は積読(つんどく)があたりまえ、良くて前半斜め読みの私が珍しくあっという間に完読していた。

心がやさしさで満タンになっていたのだろう。
あとがきを読み始めたところで、せきを切ったように涙があふれてきた。
涙と共にあふれたのは、なんともいえない幸福感だった。

山口拓朗さんとの出会い

この本の著者、やまたくさん、こと山口拓朗さんとは5年来のお付き合い。
やまたくさんは私が次男の育休中に出会った「主婦のネットスキルアップ塾『彩塾』」の文章サポーターであり、主宰されるMOMO(山口朋子)さんの旦那さま。
太陽のようにエネルギッシュに輝くMOMOさんとは対照的に、いつも落ち着いた雰囲気のやまたくさんはまさに”月”。わたしの中で、やまたくさんはMOMOさんの”脇役”だった。

合宿を含む彩塾での活動だったり、私の住んでいる会津若松にセミナー招致させていただいたりする中で、いつの間にかやまたくさんは「なんか素敵な人だなぁ」「なんか好きだなぁ」という存在に変わっていった。

会社のコミュニケーションセミナーにて
(左から やまたくさん、私、MOMOさん)

わたしが日頃やまたくさんに感じていた『なんとなく好き』の要素。
・やさしさ
・相手を受け入れる愛の深さ
・伝えることをあきらめない誠実さ
・・・
この本は、これらを含む全てが、やまたくさん自身によって言語化された、そんな一冊だと感じた。

こんな風に世界を見ているやまたくさんだから、わたしはやまたくさんが大好きなんだなーとか、自分が何に価値を置いているのかとか、読むだけで新しい自分と出逢い、そして自分のことが大好きになった。

一番身近でやまたくさんを見守られてきたMOMOさんは、この本が「最も彼らしい本」であり、やまたくさんの「体温が伝わってくる本」とコメントされていたが、それ!それ!それ!まさにそれが言いたかった!と思わずスマホ画面を指さしてしまったほど共感した。

もう一つの「らしさ」の教科書

「らしさ」の正体は何か?
人はどうやって「らしさ」を見失うのか?
どうすれば「らしさ」見つけられて、さらに発揮していけるのか。

本書には、そのすべてのステップがわかりやすく書かれていた。

「らしさ」についてここまで丁寧かつ具体的に、わかりやすく言語化した本は他にないのではないだろうか。

(こちら↓を除いては、ね!)

私自身が20年間のサラリーマン時代にいつの間にか見失い、そこからこの1年間で取り戻してきた「らしさ」。
この本によって、自分が辿ってきた流れが気持ち良いほど完璧に解明されていき、途中途中のすべての自分が愛おしく感じた。

読みながら、今すぐ書店に行ってこの本を買い占めて、ご縁のある全ての人に配って歩きたい。そんな衝動にかられたのも、はじめての経験だった。

「文章術」だったのか?

ただ、冷静になってふと思うのは、「文章術」の本なのに、「文章術」のことがちっとも書かれていないんじゃない?ということ。

✔️「言葉」で書いて「映像」で届ける
✔️「情熱」で書いて「冷静」で直す
✔️「ロジック(論理)と「エモーション(感情)」

そんなキーワードは出てくるものの、技術的なことが全然書かれていない。いや、そもそも「文章術」というのは、ノウハウやテクニックのことではないということを気づかせてくれたのかもしれない。

その証拠に、文章を「書かなきゃ」から「書きたい」に変わった今、やまたくさんが出している数々の文章本をまた手に取りたくなっている。

おわりに

誰とも約束しないでNoteを書いたことなど一度もなかったわたしが、「書きたい」という衝動を抑えきれず、本を閉じてすぐ磐越西線に揺られながら膝の上にMacBookを広げて書いている。

いや、本書を読めば、「書きたいかも」くらいの小さな「欲求」ですら無視してはいけないということがわかるわけで、「書きたい」という衝動を押さえつけている場合ではないのだ。

この本を手にすることで、きっとあなたも今までつかみきれていなかった「自分らしさ」の正体、そして自分のすばらしさに気づき、ワクワクしてくるはず。

「読みたいかも」
もしあなたが今そう感じたなら、その小さな欲求は絶対に叶えてあげて欲しい。

それがあなたの「らしさ」を輝かせる第一歩だから。


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