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不思議語り

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事実は小説より奇なりと申します。これまで経験した不思議なことなど、つらつらと。
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山奥の神社、裏の竹やぶでの話

山奥の神社、裏の竹やぶでの話

九州某県の古典芸能について取材をしていたときのこと。

その日はA市の某地域に伝わる神楽の話を聞くために神社を訪ねることになっていました。山奥の小さな神社です。
二十年近く前のことです、貧乏会社の社用車にナビが付いてるわけもなく、生まれついての方向音痴としては、アボ取りの前に、縮尺さまざまなマップを総動員して、毎回、目的地までの道順を下調べるのが常でした。
公民館などで話を聞く場合は、概ね問題ない

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お岩さんの祟り、だったかもしれない話

お岩さんの祟り、だったかもしれない話

独身時代のお正月は、九州の実家で過ごすのが常でした。
楽しみは読書。毎年、大晦日から新年にかけて、年をまたいで本を読むのです。暮れが近づくとともに、何を読もうかと、吟味に吟味を重ねた末、これぞ!と選び抜いた一冊を手に帰省するのが年中行事になっていました。

その年は、歌舞伎に凝っていたこともあり、四代目鶴屋南北の作品を読もうとまでは決めていました。
が、果たしてどの作品にしたものか? 書店で決めよ

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狐に化かされた話

狐に化かされた話

20年ほど前、九州の観光情報本の取材のため取材して回っていた時のこと。

取材先は、某県のAにある乗馬体験のできるキャンプ施設でした。
国立公園内、山深いところにあるキャンプ場で、黒澤映画の馬術指導も務めたというご主人(元モデルというだけあって、見惚れるほどの美丈夫でありました)と、しっかり者の奥さんが運営されていました。

取材の対応は主に奥さんが担当されていて、彼女のお眼鏡にかなわないカメラマ

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