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「Perfect Days」ヴィム・ヴェンダース監督作品


東京国際映画祭の先行上映時は、旅行中で
行けませんでしたが、やっと観る事が出来ました。(以下ネタバレ注意ですが、その話の筋というより、日常の何気ない風景や仕草 そして徐々に変わる感情の変化の描き方が素晴らしいです)
 カンヌで主演男優賞を受賞した役所広司さんが初めの1時間?近くは全くセリフはなく、古アパートに住み、朝早く起きてからのルーティン、そしてトイレ掃除の仕事、早く仕事が終わり、銭湯に入り、浅草の居酒屋でくつろぎ、その後、行きつけのスナックで一杯やり、寝る前に読書という何も起こらない淡々とした日常が描かれ、徐々に彼のセリフや感情が表れてくるというさすがの演技でした。
デザイン・トイレとスカイ・ツリーにほど近い下町の風景はまさに東京。
今回もヴェンダースらしく音楽が溢れており、朝の出勤の時は ジャニス・ジョプリンのライブと迷いながら、結局 アニマルズの「朝日のあたる家」。その後、ルー・リード、ストーンズ、パティ・スミス、ヴァン・モリソンとヴェンダースらしい普通のロック・ファン的曲がシーンを説明するように流れます。日本のアシッドフォークとして、再評価されている金延幸子も流れますが、これは日本のスタッフの提案でしょうか。
古アパートでの長閑な休日に流れるキンクスの「サニー・アフターヌーン」あまりにもベタな選曲ですが、やっぱりいいですね。
その中でもメインはもちろん映画のタイトルでもあるルー・リードの「Perfect  Day 」。
この曲、ドラックでラリって満たされて、気持ち良くなるっていう歌だと思いますが、映画「トレインスポッティング」では、そんな使い方でしたが、今回は小さな幸せに満たされた健康的な使い方。
また、下町のスタッフ役の石川さゆりが、お客の1人でギター伴奏するのはあがた森魚。
歌うのは「朝日のあたる家」の日本訳で、これは浅川マキによるものだそうです。
今回の音楽は、近年アナログ的音質で人気が出て来たカセット・テープ(映画で流れるとはカセットの音ではないですが)から。墨田区のAkaru Recordsの店主によると映画のスタッフが大量にカセット・テープを買い込んで行ったそうです。また、映画内でそのカセットを売りに行ったのは、下北沢のフラッシュ・デイスク・ランチというアメリカ買付がメインの長年続く中古レコード屋さん。
ご主人のフランク・ザッパ似の椿さんは個性立ち過ぎで出演できなかったか?
最後にレコードを掘るヴェンダースがちらっと映ります。ここで売られているカセットテープはルー・リードが8000円とかしますが、これは高すぎです。
その他デイテールは色々語りたいことあるんですが、こんな素敵な「東京画」を描いてくれたくれたヴェンダースに感謝です。Nina Simoneが流れるラストシーンは語り継がれる名シーンとなるでしょう。

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