「孤独にならないための小さきもの」
朝起きると、キューキューとあまり聞き覚えのない音が聞こえて、なんだろうと思ってた。
おうちにいるハムスターのケージから聞こえてきたけど、初めはたまに鳴きながら1人で遊んでることもあるからそれかな?なんて思ってたんだけど、お昼がすぎても一向に鳴き止まない。
流石になんかおかしいと感じて、ネットで調べると「病気の可能性アリ」みたいな内容ばっかりで、冷や汗が出てきた。
でも、私の所にやってきてそろそろ一年半になるから、ハムスターの寿命を考えると体調を崩すのも不自然じゃないよな〜と。それに、最近引っ越しをしたせいで間違いなく受けてるストレスは大きい。
急いで近くの動物病院を探して、そこまでバスで向かっている間、泣きそうになった。自分よりか弱い小さい命が離れていってしまうのかと思ったら、私はあのお家に帰りたくなくなりそうだと思った。無条件に「ご飯をくれるから」という理由だけで懐いてくれる小動物はいい。そのくらいさっぱりした関係の方が、こっちも何かを期待しなくていい。ただ毎日私がお布団に入る頃に、元気そうに回し車を回してる音が聞こえるだけで自分以外の命を感じる。このことが、すごく愛おしいことなんだと思った。
押井守さんが『友だちはいらない。』で、
「人生において必要なのは、自分を導いてくれる目上の人、師匠やマスターと呼ばれる存在と、奥さんのように、自分はバカだということを常に思い出させてくれる肉親や家族、そして一緒に何かを作ってくれる仕事仲間、もう一つは孤独にならないための小さきもの、つまり動物」
とおっしゃっていて、「友だちなんていらない!なんて言い切るのに、すごい最後だけ可愛いこというんだな、この人。」と思った覚えがある。
でも、今日この「孤独にならないための小さきもの」が自分の手から離れそうになった時、孤独が怖くて仕方なくなった。
小さきものは、孤独だけじゃなくてちょっとした充足感とか、家に帰る理由を作ってくれる貴重な存在なんだと強く実感した。
本当は明日から帰省するはずで飛行機もバスも予約してたけど全部キャンセルした。もし、離れている間に私の元から離れてしまうのは耐えられそうにないから。早く元気になってほしい。