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世界一好きな香りは、世界一嫌いな匂い。
私には世界一好きな香りがある。
大好きな彼から漂ってくる香り。彼の側にいると、男の子らしいミント系の爽やかな香りが漂ってくる。
その香りを感じるだけで、私は一日中幸せな気分になれる。
そして本当はその香りを独占したい。でも私は、この想いを彼に伝える勇気が無い。
それでも良い。
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ちょっとした興味から履修した大学の英語特別クラス。この授業の時、彼はいつも私の隣の席に座る。たまたま同じ海外ドラマが好きで意気投合した。
彼の口から発せられる美しい発音の英語が好き。彼が好きなものを語る時の少年のような笑顔が好き。
彼のことを思い出す時、いつもあの香りが頭に蘇る。
ミント系の爽やかな香り。 世界で一番好き。
だけど今は。
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あれは満月が満開に咲いた10月初旬のころだったかな。
少し風が強い日だった。
私は英語特別クラスの教室に向かっていた。
その時、背後から強風に運ばれて、大好きな彼の香りが漂ってきた。
ミント系の爽やかな香り。
私は、彼におはようと言うために満面の笑顔で振り返った。
でもそこに居たのは同じクラスの1番の美女だった。私も憧れている彼女。美女なのに性格も明るくて私とも仲良くしてくれている彼女。そんな彼女の美しい髪から、彼の匂いがした。
ミント系の爽やかな香り。
、、、
私は全てを察した。
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授業のチャイムが鳴ると同時に、彼が私の席の隣に座る。いつものようにあの匂いが漂ってくる。
私は授業で流されている映画に感動したフリをして号泣した。
彼は私の異変に気づいていない。うん大丈夫。
この想いは誰にも打ち明けてはいないから。
でも大丈夫じゃなかった。
その匂いが漂ってくるたび、私はどれほど彼のことが好きだったのかを直視させられるから。
そして気づけば泣いてしまっている。
世界一好きな香りだったのに
今は、世界で一番嫌いな匂い。
ここまで読んでいただきありがとうございます。