Тамацка(たまつか)@ロンドン

ロンドン在住の週末トラベラー。東欧・北欧がメインターゲット

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【サラエボ】狼と薔薇と

私がその狼のキャラクターと出会ったのは、スロベニアだった。 首都リュブリャナの現代史博物館では、1984年のサラエボ冬季オリンピック40周年を記念した特別展をやっていた。そこにいたのが、サラエボ五輪の公式マスコット、狼のヴチコである。 私は一目でヴチコが気に入ってしまった。キリっとしていながら可愛げのある、親しみやすい造形。カートゥーンなら、すぐ調子に乗って痛い目を見る役回りが似合いそう。でも劇場版ではしっかりカッコいいところを見せるんだろうな。冬季オリンピックらしくスキ

    • 【ブラチスラヴァ】アレと煙は高い所へ登る

      なぜスロバキア・ブラチスラヴァに行こうと思ったのか、今となってはわからない。特に「これを見たい」というモチベがあるわけでもなく、気が付いたら私のメールボックスにはWizzairの予約メールが入っており、Booking.comにはホテル予約が入っており、カレンダーには「Bratislava」と書かれていた。 幸い、過去の私はGoogle Mapでブラチスラヴァの目ぼしい場所を「行きたいところ」リストに一通り登録してくれていた。だから、過去の自分に従いながらブラチスラヴァの旧市

      • ジョージアとは呼べなくて

        2015年4月。そのニュースに耳を疑った。 それまで「グルジア」として親しんでいた国を、日本政府としては「ジョージア」と呼びます、という。 まぁあくまで政府としての呼称の話。我々市井の民が追随する必要はあるまい……と思っていたら、あれ以来みんな右へ倣えではないか。例えば政府が「今日からXX国のことは『おしっこエクスプロージョン共和国』と呼びます」とか言っても従うのかい? 極論はともかく。 かの国の言い分としては、「ロシア語に由来する『グルジア』という名称は気に食わんか

        • 【ノルウェー】ハイキングには適切な準備が必要です

          \当たり前だろ/(野党のヤジ) それを怠ると痛い目を見るよ、という教訓話である。恥を忍んでネタにする。 ベルゲン 2022年6月。私が初めてノルウェーを訪れたのはベルゲンだった。ベルゲンはノルウェー西部に位置する同国第二の都市。海と山に挟まれた美しい町である。ヨーロッパでもトップクラスに雨が多い地域としても知られる。 ベルゲンは「7つの山の町」とも言われる。同市が山に囲まれていることを表した呼び名だ。具体的にどの山を指すかはブレがあるようだが、「七福神」やモスクワの「

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          【サラエボ】アウトテイク集

          サラエボ旅行から、前回の記事で語り尽くせなかった細かい話題の詰め合わせをお送りする。 空港から市街地へ サラエボ空港は旧市街から西に8kmほど離れている。トラムは空港までは来ていないが、幸い空港-バシチャルシヤ間のバスが存在する。停留所はターミナルを出て真っ直ぐ、駐車場を越えた先である。時刻表の看板が立っているのでわかりやすいだろう。運行者はCentrotrans。 片道の料金は5KM(通貨については後述)。現金のみの支払いだ。空港のATM等で現金を入手して、コーヒーで

          【サラエボ】アウトテイク集

          拗らせた旅人、ワルシャワにて

          私はどんな旅行先にも肯定的なレビューをする人間である。それは、どんな旅でもいくらかは輝く瞬間があるし、わざわざ金と時間を割いた自らの旅に「失敗」の烙印を押したくない、という心理もある。 そんな私でも、ワルシャワではずっと難しい顔をしていた。いくつか気に食わない出来事があったことも事実だが、それよりも、ずっとこの街の存在意義についてモヤモヤしていたからである。しかしそれは、ここに来る前から予想していたことでもあった。 ワルシャワは第二次大戦で死んだ。西隣のファシスト共が暴れ

          拗らせた旅人、ワルシャワにて

          ベクシンスキ好きはサノクへ来たれ

          20世紀のポーランドを生きた、ズジスワフ・ベクシンスキという画家がいる。ファンタジー的世界観を舞台に、時としてグロテスクで滅びの美を感じさせる作品を残した画家だ。ある時ふと調べたところ、彼の故郷であるサノクという町に、彼の作品を多く展示したギャラリーがあるという。 これを目的にポーランドに行くのもいいな、と思った。 サノクはポーランド南東部にあり、ウクライナ・スロバキア国境に近い。辺鄙なところである。ロンドンから飛べる近隣の空港は、クラクフかジェシュフ。今回はクラクフから

          ベクシンスキ好きはサノクへ来たれ

          未完の街、ブカレスト

          ブカレストの街並みはどのような印象か。そう問われたならば、私は「パリと平壌を足して2で割ったよう」と答えるだろう。平壌は映像でしか見たことがないが、現地で肌で感じたブカレストの印象はまさにこの通りだった。 ブカレストを歩く かつて小パリとも呼ばれたバロック風の街並み。大通り沿いのもったいぶったモニュメンタルな建築物たち。かと思えば出現する、装飾もそこそこな箱のようなビル。そして中世からタイムスリップしてきたような教会たち。これらが渾然一体となっているのがブカレストである。

          誰も知らない?バンベルク

          年末年始、ドイツへ行ってきたんですよ。 「へえ、ドイツのどちらへ?」 バンベルクっていう街なんですけどね。 「ばん…?」 ここ最近、筆者がよくしている会話である。かようにバンベルクは知られていない。欧州を旅慣れた人でもピンとこないらしい。「あーバンベルクね、いい街だよね」という人が一人もいないので、もしかすると本当はバンベルクなどという街は存在しなかったのではないか、あの旅は全て何かの陰謀だったのではないか、と思えてくる(参考:ビーレフェルトの陰謀)。 いやいや、そ

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