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誰も知らない?バンベルク
年末年始、ドイツへ行ってきたんですよ。
「へえ、ドイツのどちらへ?」
バンベルクっていう街なんですけどね。
「ばん…?」
ここ最近、筆者がよくしている会話である。かようにバンベルクは知られていない。欧州を旅慣れた人でもピンとこないらしい。「あーバンベルクね、いい街だよね」という人が一人もいないので、もしかすると本当はバンベルクなどという街は存在しなかったのではないか、あの旅は全て何かの陰謀だったのではないか、と思えてくる(参考:ビーレフェルトの陰謀)。
いやいや、そんなことはない。バンベルクはニュルンベルクから北に50kmほどに存在する、れっきとした街である。
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ミーハーな旅人(私)から見た限り、バンベルクの売りは大きく二つ。戦争を生き延びた旧市街と、ラオホビアである。
幸運なことに(あるいは何か理由があってか)、バンベルクの旧市街は第二次大戦の戦禍を免れた(1945年、連合軍の進撃を食い止めるために橋は落としたらしいが)。近くに「党大会の街」ニュルンベルクがあったため、そちらに英米の目が向いていたのだろうか。何にせよ、ポーランドにクラクフがあるように、ドイツにはバンベルクがある(知名度では前者の圧倒的勝利か?)
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文字通り川の中に建つ旧市庁舎をはじめとして、コンパクトな旧市街は歩いて散策するのにちょうどいい。何となく土臭い、中近世の香りを嗅ぐことができる(比喩表現)。
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そんなバンベルクの名物が、ラオホビアである。文字通りには「煙ビール」という意味で、まさしく燻製の香りを持つビールだ。麦芽を乾燥させる過程で燻製するためこうなるのだとか。乾燥技術が発達する前はこうするしかなく、いわば全てのビールは多かれ少なかれラオホ式だったらしい。それを今でもやっているのがバンベルクである。ビール界のシーラカンス、と言ったら過言だろうか。
そんなビーアカンスの二大醸造場がシュレンケルラ(ヘラー)とシュペツィアール。現地人に「ラオホビア飲んだよ」と言ったら「シュレンケルラ?シュペツィアール?」と問われたという事実からも論証される(サンプル数は1)。
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シュレンケルラは本家のビアホールで、バイエルン名物・ショイフェレと一緒に頂いた。燻製と言うぐらいだからさぞ重々しいかと思ったら、意外なほど飲みやすい。メルツェンはコクはしっかりあるし香りも間違いなく来るのだが、美味しいのでどんどん飲めてしまう。ラガー故か。一方のヴァイツェンも特有のバナナ香と燻製香が合わさり、意外な美味しさ。バナナを燻製しても美味しいのだろうか?
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シュペツィアールは瓶を買い、年を挟んでラッパ飲み。だいぶスッキリしていたが、コンディションが異なるのでシュレンケルラとの比較は控えたい。その他、クロスターブロイでも頂いた。ここまでくると初回のインパクトは薄れ、毎回「うめえな」という感想になってしまう。ソムリエにはなれない。
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という事で、燻製ビールの古い街、バンベルクをどうぞよろしくお願いします。名前だけでも覚えてやってください。
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