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JR北海道の列車内で飢えそうになってしまう問題を考える

荷物の少ない旅を心がけていますが、
時にはそれを曲げなければならない場面もあります。

それは北海道を鉄道で旅するときに必ず直面する問題、
すなわち「JR北海道列車内での食料の確保」に対処する場合です。
この時ばかりは、荷物が多少重くなろうがとにかく食料を余分に携えて
北の大地を行く列車に乗り込むことにしています。



車内販売はもうありません

かつてJR北海道の特急列車では車内販売サービスがありました。
特急スーパー北斗の中で飲んだ缶ビールや特急オホーツクの中で食べたアイスクリームは思い出の味です。

しかし、経営難から車内販売は順次削減されていき、
2019年には完全に廃止されてしまいました。
また、車内の自動販売機すらも撤去・使用中止されてしまいました。

つまり現在では、JR北海道の車内で食料や飲料を入手できる公式の手段は基本的には存在しません
これは終点までの走行時間が4時間や5時間を軽く超えるJR北海道の特急では本当にシビアな問題です。

実際、北海道の鉄道旅行動画を見ていると、列車に乗った後でこの重大な事実に気づいて途方に暮れる投稿者の姿を度々目にします。

それならば駅の売店で何か買えばよいだろうとタカをくくっていると、さらに痛い目に合います。
早々と営業時間が終了していたり、そももそ売店自体が無い駅のほうが圧倒的に多いのです。
では駅前にコンビニくらいあるだろうと思ったら本当に何も無くて、数キロも歩いたところにやっと地元の人が使う農協系のスーパーがあるだけという地域もあります。

とにかく北の大地を甘く見てはならないのです。


まさかの石北本線トラップ

特に、道北や道東を鉄道で旅する場合においてこの問題は特に顕著なものになります。

例えば、網走駅から石北本線で特急で旭川・札幌方面を目指す場合などはまさに死活問題です。

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車内販売はもはや薄れゆく記憶の中にしか存在しません(2015年に廃止)。
車内では自動販売機という文明の利器の恩恵すら受けることもできません。
以前は網走駅の横にまるでオアシスのように輝くローソンが立地していたのですが…残念ながら閉店してしまいました。

旅人の命綱は駅構内の営業時間の短い小さな売店と自動販売機のみです。
食料と飲料を確保しておかないと、旭川までの約4時間、あるいは札幌までの約5時間半を飢えと渇きに耐えなければならなくなります。

そのためか、網走駅では特急オホーツクや大雪の発車前になると、
「車内販売はありません!」
「車内に自動販売機もありません!!」
という親身かつ非情なアナウンスがこれでもかと繰り返し響き渡るのを耳にしました。
食料や飲料を持たずにうっかりオホーツクや大雪に乗り込んでしまって路頭に迷う旅人がいかに多いかということです。


何か対策はできないのか?

では、JR北海道の列車の中で飢えないためにはどうすればよいのか?
あくまでも個人的にですが行っている対策が2つあります。

ひとつは、とにかく食料を購入できる店を見つけたら、
「その場で」
「即決で」
買い込んでおくことです。
たとえ荷物が重くなってしまうとしても。

コンビニなり駅の売店なりがあったら、決して逡巡することなく必要なものを確実に、できれば余分に買い込んでおかなければなりません。
もしそれを逃せば、次に食料を確保できるのは4時間後だったり5時間後だったりするのですから。

何年か前に釧路から釧網本線で網走へ、そこから10分に満たないギリギリの特急乗り換え時間で旭川へというルートを辿ったことがあります。
このときは釧路駅構内の小さなセブンイレブンが乗車前最後の心強い前線補給基地になりました。
なにしろ次に確実な補給ができるのは、遠く旭川駅に到着してからのこと。
実に7時間以上も後のことになってしまうからです。

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もうひとつの対策は、最低限の食料や飲料を常に携帯しておくことです。
私の場合は小さいながらも食べ応えのあるチョコバーとミニサイズの紙パックのお茶をそっとバッグに忍ばせています。
これくらいだったら私の小さなバッグにも十分に収まります。

これは単に食料を確保できる店舗が少ないという問題を解決するためだけでなく、事故や悪天候・災害などで列車内に長時間閉じ込められるような非常時のことも想定した対策です。

実際にトマムと新得の間でスーパーとかちが数時間雪に閉じ込められたときにはこの非常用食料の出番となりました。
旅先での突発的な出来事に心細く感じながらも、とりあえずお腹に何かを入れることで気持ちは落ち着くことができたのを覚えています。


北の大地は甘くない(けれど魅力的)

北の大地は決して甘くはありません。
しかし、それなりの準備や支度を整えて臨む旅人に対しては、
極上で魅力的な景色を見せてくれます。
だからこそ、私は何度でも何度でも北海道に足を運びたくなります。

現在の状況が収まったらまず最初に訪れたい場所、
それは間違いなく北海道です!



[※補足その1]
全廃されてしまったはずのJR北海道の車内販売ですが、実はごく一部に生き残っていたりします。
地元のお店やボランティアの方々などがスポット参戦的に車内で特産品の実演販売をされるケースがあるようです。
以前実際に知床斜里駅での停車中に車内販売の方が乗り込んでこられたのを見て非常に驚きました。

ただし、便や時間帯が限定されていて恒常的・根本的な食料問題の解決策には至るものではないのが残念なところです。


[※補足その2]
網走駅で食料を確保できなかった哀れな旅人には実は救済策があります。
途中の遠軽駅にてスイッチバックのために停車するわずかの時間に、
ホーム上の自動販売機でカロリーメイトを買って飢えをしのぐのです。

ただし停車時間が短いために乗り遅れの危険性があって、あまりおすすめはできませんが。


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