見出し画像

久しぶりに小説を読んで


先日後輩にある小説を勧められた。
それは重松清さんの「その日のまえに」だった。

僕は全く作者も作品も知らなかったが、後輩が勧めてくれたのでKindle版を購入し読み始めた。

最初、何か言葉にできないモヤモヤがあった。
久しく小説を読んでいなかったので、この小説にのめり込めるか少し不安だったのかもしれない。

この小説は、末期ガンを宣告された患者と家族のを描いた物語だ。
余命宣告を受けた後の家族の会話、過去の思い出、家族の小さな心遣いなどが描写されている。

_____________________

「ねえ、ママ元気になったの?」

「ダイ......あのな、ママ、ダメなんだ......ずっとがんばってきたんだけど、病気、治らなかった......」

「まだ退院できないの?」

「そうじゃないんだ......」

「ずっと入院してんの?」

「......違う」

_____________________

不安だった僕だが、読み始めている間にあっという間に引きずり込まれた。
「......」や「、」に込められた余白がどんどん僕の中で大きくなっていく。

そして、気付くと涙が溢れてくる。

久しぶりに声を出して泣いてしまった。


読み終えた後、改めて感じたことがある。


家族、恋人や友達が、健康な状態で日常を過ごせているのは、決して当たり前ではない。

気付いたら悪魔に身体を蝕まれ、そいつを倒す手段は残されていないかもしれない。

先日手術を受けた父だったが、再手術が必要だと母から連絡があったため、余計に強く感じたのかもしれない。


周りの人が当たり前のように側にいてくれることに感謝しよう。

そして大切に。

ずっと、ずっと......




この記事が参加している募集

読書感想文

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?